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聖なる樹のヒプノセラピー物語      

第11章~コーチング(1)

『植物の力』には、植物が「場」を通して私たち人間の潜在意識に作用しているということが書かれていた。


ママは今でこそこの意味が理解できるけど、最初は潜在意識なんて全く意に介していなかった。


それは非現実的な空想の世界に過ぎなかったのだ。


そもそもママはヒプノセラピーではなく、「コーチング」というのを勉強していた。


「コーチングっていうのはね、自分の夢や目的などのヴィジョン達成のためのプロセスをサポートするっていうか・・・」


???・・・ママ、ちんぷんかんぷんなんだけど・・・。


「あ、ごめん、ごめん。
え~っと、例えば、ここにOLの人がいるとする。
で、その人に5年後の自分はどうなっていたいですか?って聞いたとするでしょ?
つまり、5年後の自分のヴィジョンだね」


うん。


「アパレルの仕事をしているので、その頃にはパリに留学して勉強してたらいいなあ、って答えたとする」


うん。


「じゃあ、そのためにはどんな準備が必要だと思う?って聞くの」


うん。


「で、その人が、留学費用を貯めることと、フランス語を勉強すること、って答えたとするでしょ?」


うん。


「じゃあ、どの位の期間、留学したいの?そのための費用はいくら必要なの?ってまた聞くわけ。
例えば、1年は行きたい、それには300万は必要かも、って答えたとする」


うん。


「それで、今はいくら貯金があるの?50万?じゃあ、あと250万は必要だね?
これから5年間でどうやって貯めていく?ってまた聞くわけ」


全部そうやって聞いていくの?


「そうだよ。必要な質問を投げかけることで、本人が自分で考えて答えを出していくの。
だって、みんな”答えは自分の中にある”からね」


ふうん。


「フランス語はどうする?今はどれくらい出来るの? 0?じゃあ、まず何から始めたらいいと思う?って」


「そうしたら、まず、お金を貯めたいので、語学の方はラジオ講座で勉強します、とかね答えるわけ」

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第11章~コーチング(2)

「つまり、まず、目標を決めるでしょ?

そして、現状を明確にするでしょ?

その現状と目標との間のギャップを分析するでしょ?

例えば、必要なものを(5段階の内の)5とすると、今の自分の状況は何段階なのか。
もし1段階なら、これから5までいくために何をすればいいのか・・・・・って。

そこから、自分がとるべき行動を決定する。

そうやって達成までのプロセスを自身で作り上げていくの」


ふうん。


「コーチはそれをサポートするの。
月に1回とか、状況を聞いて、フォローしたり」


ママは、なぜ、それを勉強しようと思ったの?

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第11章~コーチング(3)

「人からアドバイスを貰うのではなくて、自分で答えを出していくっていう方法がいいな、と思ったの。
コーチはその答えを引き出すためのサポートをするだけなの。
みんな、答えって自分の中に持ってるんだよね」


ママがそういう考えに至ったのには理由があるんだって。


「まだ、エフちゃんが生まれるずっと前のことなの」


住んでいる地域で、親が10代の我が子を殺すという事件があった。
家庭内暴力が原因だったが、親はずっとカウンセリングを受けていた。
そして、アドバイスに従っていたが、子供の暴力は次第にエスカレートし、ついには悲しい結末を迎えてしまった。


ママはその時、同じ人間同士で、人が人にアドバイスをするということをすごく考えさせられたんだって。


もちろん人が何を言おうと、決断し、行動するのは本人自身だけれど。


人はそれぞれ状況も、環境も、人格も千差万別なのに、その人に的確なアドバイスって どこからどうやって導き出すのだろう・・・・。


それは、ママがこの事件以前からず~っと考えていたことでもある。


「だって、自分も、誰かに何かを相談した時に、アドバイスをもらって、”あっ、そうか!”と 思う時もあれば、言われたことがピンとこないときもあるしね」


だから、コーチングに出会ったとき、
「自分の中に答えがある」、そして「その答えを導き出すお手伝いをする」って 聞いて、「これだ!」と思ったんだって。


しかも、ママは10年前にも一度コーチングを勉強しようと思ったことがあった。


その時はたまたまテレビに、コーチングを(アメリカから)日本に導入した会社の人が出演していて、内容を聞いた時にママは「ああ、きっとこれはこれから日本で必ず必要になるだろう」と 思ったんだって。


そして一応資料は取り寄せたものの、いろんな事情で勉強するまでには至らなかった。

今回再び巡りあうことで、「やっぱり縁があった」とママは思ったみたいなんだけど、実はこれこそがヒプノへと繋がるための道筋になるのだから、人生って面白い。

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第11章~コーチング(4)

気込んでスタートしたコーチングの勉強だったが、3ヶ月もしないうちに ママの顔は曇り始めた。


「何かが違う・・・・・」
ママはその頃、よくそう言っていた。


「なんでかなあ・・・・」


練習台に、と5人を紹介してもらったが、コーチングはうまく機能しなかった。


ある人はお母さんとの葛藤を抱えていた。

普通の親子のように映画を見に行ったり、食事に行ったりしたい。
自分なりに歩み寄る方法を考えて、その結果を2週間ごとに聞いてフォローすることにしたが、 うまくいかなかった。


頭で考えた方法はあっても、気持ちがついていかなかったのだ。


また、ある人はどうしても甘いものがやめられない。
ちょっと病的でさえある。
これもうまくいかなかった。


またある人は自分の人生において一体自分が何をしたいのかがわからない。
これもまたうまくいかない。


ママは、自身もコーチについてコーチングを受ける義務があったので、 (そういうシステムになっている)、そのことを相談してみた。


そしたら、あっさり言われたのだ。


「それはコーチング向けのテーマではないですね」って。

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第11章~コーチング(5)

それを聞いてママはショックを受けた。


ママ、つまり、コーチングに向くテーマと向かないテーマがあるってこと?


「うん。そういうことだよね。
コーチングは目標達成のために自分の行動に変化を起こしていく、そのためのサポートなんだけど、 ママの練習台になってくれた人たちは、”心の問題”とかさ、方向性が違ったんだね、きっと」


もちろんそれにも意味があったのだ。


顕在意識での解決ではなく、潜在意識下での解決に行き着くために。


でもその時点では、ママはそんな人生のシナリオは知る由もなかった。


コーチング自体はとても良いツールだと思う、とママは言った。


「だってね、コーチが的確な質問をしてくれると、ちゃんと自分で考えて、答えが出てくるんだもの」


例えば、5分間のショートコーチングを練習した時のこと。


コーチ: 5分間でどんな目標について話したいですか?

クライアント: (職場での)時間管理について。

コーチ: 具体的には?

クライアント: 定時に帰りたいのですが、いつも残業になってしまって。

コーチ: 5分という短い時間ですが、何についてはっきりさせたいですか?

クライアント: ひとつひとつの作業には無駄はないと思うのですが・・・・ 
何が駄目なのか、気付くきっかけになれば・・。

コーチ: 時間管理が出来ている状態を100とすると、今はどれ位?

クライアント: そうですね・・・。70くらいかな。

コーチ: 70からいきなり100は無理ですが、75に上げるとしたら何が出来ますか?

クライアント: 前日に翌日の仕事を計画するのですが、サポート業が多いので、予定  外の仕事が入ってくるんですよね・・・。

コーチ: 予定外の仕事ですね。それが妨げになっている?

クライアント: 困っている人を見るとつい放っておけなくて。

コーチ: 他には?

クライアント: メールが多いので対応に時間を取られます。

コーチ: もう1つ挙げるとしたら?

クライアント: 遅くなりがちな日はミーティングが多いです。

コーチ: 今、三つ挙げていただきましたが、それ以外にはありますか?

クライアント: 自分の生産性とか、業務プロセスの見直しとか・・・・。

コーチ: ここまでで、何か見直しのきっかけはありますか?

クライアント: はい、(答えながら気付いたのですが)仕事に優先順位をつけようと思いました。

コーチ: では、その為に明日から出来ることは?

クライアント: 予定外の仕事に対応できるように、先回りしてなるべく情報を掴んでおくことかな。

コーチ: ここまで話してみていかがですか?

クライアント: そうですね、残業になってしまう理由や問題点がはっきりしました。 明日からは事前に情報収集するよう頑張ってみます。

コーチ: では、また来週聞かせてください。


「こんな感じなの。すごいでしょ?」


職場でも5分で行える。


「でも、コーチングに向かないテーマで悩んでいる人はどうやって救えばいいの?」
ママはそのことばかりを考えるようになってしまった。

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第11章~コーチング(6)

自分がやるべきことは他にあるのだろうか?


ママはその答えが欲しかったけど、どうすればいいのかわからなかった。


自分が知っているはずだけど、どうやって自分に問えばいいのか、その手段がわからない。


瞑想とかで答えが降ってくるのだろうか?
でも、瞑想なんて簡単にマスターできるわけではないし・・・。


そして、ふとヒプノセラピーのことを思い出した。
自分自身でヒプノセラピーってできないものかな、と。


ネットで「セルフヒプノ」と検索してみると、
結局は教室でヒプノ自体を学ばなければならないようだ。


ヒプノとかはそれなりにサイキックな力を持っている人が学ぶものであって、 自分には無理だと思っていたママはすぐにあきらめた。


こうなったら、最後の手段。


ママは一生懸命に祈った。


「神様、私のやるべきことを教えて下さい」って。


夢の中で答えを下さいって。


1日目も2日目も答えはなし。


3日目。金曜日。


ママはふと、ビデオでも見ようと思った。
ネットで検索して、面白そうなものを5本ピックアップ。


でも、レンタルビデオ店では1本しか借りられなかった。


それは自分を宇宙人と名乗る男が警察に保護されるシーンから始まる物語。
 

彼は病院の精神科へ送られるが、地球から1000光年離れた惑星からやってきたと主張。 医師たちは彼の妄想だと思うが、その惑星が実在することが判明。
 

ーと、ここまでは、本当に異星人なの?と思わせる面白さ。


だが、後半になってママはびっくり。


医師が彼に催眠療法を試みるのだ。


ママはその場面に目が釘付けになった。
 

「神様、これが答えですか?」


・・・・本当に?


本当に?

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第11章~コーチング(7)

映画を見終わった後もママの自問自答は続いた。


そして恐る恐るヒプノの教室を検索し始めた。


なんと!


すぐ近くに良さそうな教室がある・・・・。


ママはしばらく思案していたが、やがて意を決したようにそこに電話をかけた。


その後のママの行動は早かった。


「エフちゃん、お留守番お願いね」


数時間後にはその教室を訪れ、
入り口を入った瞬間に、「ああ、ここに来るんだ」と直感でわかり、
翌々日の日曜日にはもう生徒として授業を受けていたのだから。


そしてあの夢のようなワクワクする日々が始まるのだ。


「信じられない!楽しくって、楽しくって、まるで地上の楽園!」
その言葉を何度聞かされたことだろう。 (笑)


ママは毎週日曜日が来るのが待ちきれないと言った。


日曜日になると朝からそわそわとして、
お昼過ぎに出かけ、
教室のあとは必ずみんなとお茶をして夜帰ってくる。


大抵は興奮していて、
「ねえ、聞いて、聞いて!すごいんだよ!」と
ヒプノの話し。


そしてまた、「ああ、本当に楽しい。ウソみたい」と夢見心地で繰り返すのだ。


ママが見た映画は『K-PAX(光の旅人)』というのだけど、
エンディングが謎に包まれている。


観る人によって判断は分かれるんだけれども、
「スピリチュアルなことを勉強している人なら答えはひとつだと思う」ってママは言った。

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第11章~コーチング(8)

ヒプノの勉強を始めてすぐに、ママは
「ねえ、エフちゃん、面白いんだよ。
ヒプノってね、”答えは自分の中にある”っていうの」と言った。


あれ? ママ、確かコーチングの時もそう言ってたよね?


「うん。コーチングの答えは顕在意識の中にあって、ヒプノの答えは潜在意識の中にあるの。 答えのある場所が違うんだよね」


両方合わせると100%だ。


「うん。でもね、人の意識を100%とすると、潜在意識はそのうち90%って言われてるんだって」


ってことは、答えがより沢山あるってこと?


「そうかもね・・・。問題は、10%の顕在意識で一生懸命考えても見つからない答えが、実は潜在意識の中にある場合に、 自分ではそれに気付かない、ってことじゃないかなあ」


というと?


「たとえば、コーチングの練習台になってくれた人の場合」


うん。

「お母さんとの葛藤を何とかしたくて頑張っても、顔を見ると、どうしても心がくじけてしまう」


うん。


「その原因が幼少期にあるとか、過去世から来てるとかだったら、 そっちのフリーズされた感情を解凍、放出する必要があるわけでしょ?」


ああ、そっかあ・・・。


「もちろん、顕在意識で解決できる場合もある。でも顕在意識の中で堂々巡りになる場合もあるよね」


 第12章~潜在意識

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