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聖なる樹のヒプノセラピー物語      

第19章~占いと未来(1)

時間の概念がないとすると、「未来」も未来でなくなる・・・・と、ママは呟いた。

ヒプノセラピーでは、もちろん「未来世療法」も可能ではあるが・・・。

過去世と同じように、ちゃんと未来世も見に行くことができる。

それも、近未来から、ずっとずっと先の未来まで。

「最初のヒプノの教室のときに、みんなで100年後を見に行ったことがあるの」

100年後!!

「うん。数人の人が共通のことを言ってた。
あのね、車は道を走ってなかったの」

って? どういうこと?

「空を飛んでたんだよ」

ある人は、、カプセル状の乗り物で空を飛んでいたと言い、
またある人は宇宙船のようなものだったと言った。

いずれにせよ、移動手段は今のように車で道を走るのではなく、空を飛んでいた。

有名な予言者の何人かも、同じようなことを言っていたように思う。

「500年後も見に行ってみたの」

へえ!

「男女の区別がなかった。みんな、中性みたいで・・・」

そして、ママは今生の次の人生も見たと言った。

「それは偶然だったの。今の人生での未来を見に行くはずが、来世になっちゃったの」

ママは次も女性で、ヨーロッパに生まれていた。
裕福な家の子供だったそう。
15歳くらいになると、自分の部屋の大きな窓越しに夜外を眺めながら、
「私は何のために生まれてきたんだろう」とか考えてるんだって。

そして、20歳代前半になると、ママは真理に目覚めていて、
人の役に立ちたいと自分にできることをやっていた。

なんか、今の人生の続きみたいだね?

「うん」と、ママも笑っていた。

「でも、未来は変わるから」

そうなの?

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第19章~占いと未来(2)

「だって、エフちゃん、生まれた時から運命が決まっていて、そのレールの上を 操り人形のようにただ歩くだけで終わっちゃう人生だったら、面白くないでしょう?」

そっか・・・。
そういえば、ママは以前、言ってたよね。
人間には、「自由意志」がある、って。

「うん。だからこそ、人生はいかようにも変わるし、また、変えることができる」

じゃあ、ママが見た来世って、本当にそういう風になるとは限らないんだ?

限らないと思う、ってママは言った。

「以前読んだ本に書いてあったことが心に残ってるんだけど・・・、
地中海のキプロス島にいたヒーラーのダスカロスという人がね、こう言ってたの」

私が個人的に確信を持っていることだが、カルマを正確に予言できるのは、
せいぜい2・3日以内だ。
このような短期間だと、おそらくカルマの力が十分に発達してしまっているから、
実質的にその出来事のコースを変えるためにできることは何もないということなんだ。
(『メッセンジャー』より抜粋)


へえ?
じゃあ、2・3日後の未来は(予測しても)変わっていくってこと?

「そういうことになるのかなあ。
読んだのは5,6年前なんだけど、その時はエフちゃんみたいに、
”ええっ? そうなのお?”って思った。(笑)」

ちなみに、この本はユーリさんのお勧めだった。

スピリチュアルの勉強をする人は、『神との対話』や『バシャール』を読む人が多いが、
ママにはこの本が一番しっくりくるのだとか。

(『メッセンジャー』は、社会学者である著者マルキデスと、キプロス島に住むヒーラー・ダスカロスとの 対話が収録されていて、これは3部作の第1作目)

ダスカロスはこんな風にも言っている。

「真理の探求者として私個人の体験に基づくと、

何一つとして前もって決定づけられているものはない、という結論に至っている。

未来を予知するということは、起こり得ること、つまり可能性を予測しているに過ぎないんだ。

何かが起こるかもしれないし、起こらないかもしれないんだ。

その原理は、科学者が現在の事実とそれを取り巻く環境に基づき、未来のことをある程度予測することと同じ仕組みなんだ。」

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第19章~占いと未来(3)

ママは、う~んと頭を抱え込んだ。

「言ってることはわかるんだけど・・・・・。
以前だったら、そっかあ、で済んだんだけど・・・・。
なんか釈然としないよね・・・。
だって、”未来”っていうけど、本当は未来なんて、ないわけでしょう?」

すべては同時存在するわけだから・・・・、とママはぶつぶつ言っていた。

・・・・・・・・・。
ねえねえ、ママぁ!
あのさ~、そこはもう追求しなくていいんじゃないの?

「えっ?」

だって、ほら、いつか榊先生の教室で言われたって言ってたじゃない。
私たち三次元の頭ではこの時間の概念は理解できないし、うまく説明もできない、って。

肉体をもって三次元で生きてるわけだから
今の時間の流れ、過去、現在、未来で捉えててもいいんじゃないの?

ママは一瞬、ぽかんとしたが、ぱっと顔を輝かせて
「そっか、そうだよね!」

どんなに考えたって、この時間の概念は理解不可能だ。

それに、今を生きている私たちには、昨日があって、今日があり、そして明日がやってくる。

だから、その中でできることを精一杯やればいい。

「え~っと、じゃあ、(時間は直線という概念で)ダスカロスが言ってることの続き」

人間は一瞬一瞬に未来の歴史を書き換えているということである。
つまり、未来は未決定のままなのだ。
その理由は、人間は自らの選択によってそれらのエレメンタル(思考・思念が形をとったもの)をつくる自由を持っているからだ。
そして実際は、このエレメンタルが未来というものの性質を形づくるのだ。
したがって、誰かが未来に何が起こるかを予言する時、実際その人は何をしているのかというと、
これまでにつくられてきたエレメンタルの現在のあり方に基づいてこれからの展開を見ているということになる。
しかし、人間はその予言を無効にしてしまうような新たなエレメンタルをつくる自由があるということなのだ。

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第19章~占いと未来(4)

ちょっと難しい・・・・。

「うん。ねえ、エフちゃん、その人の考え方次第で未来っていかようにも変わるみたいなの」

「たとえば、占いで未来を占ってもらった時に、当たるとか、当たらないとか言うでしょう?
でも、占う人って、その(来訪の)時点での、その人の未来を見てるわけじゃない?

もし、その人が1週間後位にある本に感銘を受けて、すごく考え方が変わったとする。

たとえば、将来に悲観的だったのに、本を読んでからは前向きになるとか・・・・。
そうすると、もうその人の未来は1週間前に予測したのとは違ってくるんじゃないかと思うの。

逆もあると思うんだ。

ハッピーな未来が見えていたけど、たまたまその人が心が折れるようなことに遭遇して、 気持ちが落ち込んだとする。
そうしたら、ハッピーになるはずだった未来の展開が少し違ってきちゃうとか・・・・。

もし、来訪時のまま、その人の思考が変化なく行ったら、占い通りの未来が展開して、”占いは当たった”ってことに なって、そうじゃない場合には”当たらなかった”っていうことになるのかな・・・・?」

じゃあ、その占い師さんが、「本を読んで感銘を受けて、考え方が変わる」ことまでお見通しだったら?

「それも考えてみたの。
きっと、未来って、過去世と同じように、選択肢によっていくつもいくつも人生が存在するんだと思うの。
占い師さんがその沢山の可能性の中から、その人が歩むことになる選択肢をどこまでも 追い続けることって、果たして可能かなあ・・・・・?」

ってことは?

「未来を100%言い当てることは難しいんじゃないかな、って。

ダスカロスが言っているように、未来は未決定、つまり確定してないわけでしょう?

だから占い師さんって、その時点で読み取れる、可能性の高いものを伝えてくれるんじゃないかな。

でも、その可能性だって、自分次第でいくらでも変えられる」

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第19章~占いと未来(5)

最初のヒプノの教室で先生が言ってたんだけどね、
たとえば3年後の未来を見に行ってください、というと、
「樹海にいます・・・・・。人生に絶望してます」みたいなのが見えちゃったりすることもあるんだって。

ヒプノのセッションを受けにくる人というのはあれこれほかのツールを試してみて
それでも救われなくてヒプノに辿り着くという場合も結構あるので、
それだけ悩みが深刻だったりする。

そういう気持ちのままで未来を見に行くと、切ない未来だったりする。

えっと、つまり、そういう方向に意識がフォーカスしてるからだよね?

そう。
で、セッションをやって、ガイドさんからアドバイスをもらったり、問題解決の糸口をなんとなく掴んだりと、
ちょっと気持ちが救われてから未来を見に行くと、明るい未来が見える。

もちろん、大切なのは、誘導なんだけど。

単に「3年後」ではなくて、
「ガイドさんにもらったアドバイスを実行した場合の3年後」とか、
「一番良い状態の3年後」とか、
ある程度、見に行く未来を限定することも必要。

最近の例ではね、友達が幼い子供への放射能の影響を心配して
今の土地を離れるべきかどうか知りたいって言ったのね。

こういう問いには、ガイドは沈黙することが多い。
(と、ママは思う)

決定するのは自分だからかな・・・・。

この時もガイドは答えを言わなかった。
で、ママはこんな風に誘導した。
「この土地を離れた場合の3年後と、とどまった場合の3年後を見せてください」って。

そして、各々を見に行った。

友達の心が、とどまることにも不安を感じ、引っ越すことにも躊躇があるので、
どちらの3年後もあまり芳しくない状態が見えた。

結局、決めるのは自分なんだよね。

どちらにしても、「心のあり方」が大事だと思うんだ。

たとえ引っ越したとしても、新天地で、
「本当にこれで正しかったんだろうか」と日々苦悩しながら生活するのでは
明るい未来を作れないかもしれないし、

逆にとどまったとしても、
「大丈夫!」って思って毎日を明るく過ごしていけば、いい未来を作れるかもしれない。

あっ、そうか!
じゃあ、占い師さんのところへ行って、
その時、その人が
「引っ越しした方がいいです」みたいに言われて、やっぱり!と思って、引っ越したとしても、
その後、「ほんとにこれでよかったのかなあ・・」なんて憂鬱な毎日を送ったら、よくなるはずだった未来も変わってしまうってことだよね?

「可能性としては考えられるよね・・・」

いつだって、どんなときだって、自分の思考、言動次第なんだと思うよ、ってママ
は言った。

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第19章~占いと未来(6)

ときどき、セッションを受けにくるクライアントさんの中に、
「以前、占いでこういうことを言われたんですけど、大丈夫でしょうか?」という人がいる。

もし、何かネガティブなこと(あるいは警告的なこと)を言われたとして、
問題は、それを自分が不安に思ったり、心配し続けることだと思う、ってママは言った。

不安に思えば思うほど、意識がそこへ向き、
結果、それを現実化しやすくなってしまうから。

ママは、
「占いもヒプノも、自分が壁にぶつかって、どうしても先に進めなくなったときに、
ヒントをくれたり、背中を押してくれたりするためのツールだと思うんだ」と言った。

だから役割としては人に不安を与えるのではなくて、元気になったり、
勇気や自信をもって、一歩前に踏み出すためのものであっってほしい。

「仲間と勉強会をやってるときに、ミミさんがね、こう言ったの」

大事なのは、(占いで)当たるか、当たらないかよりも、その人の未来に大切なことを
伝えてあげられるかどうかだと思う、って。

ちなみにミミさんは占いの仕事もやっている。

占いは統計学だとも言われているが、ミミさんは霊感が強いので、
占いで出た結果にプラスして、いろんなアドバイスができる。

過去は(過ぎたことだから)当てたとしても、未来は当たり外れよりも、その人にとって何が大事かを 伝えてあげられることだよ、ってミミさんは繰り返した。

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第19章~占いと未来(7)

不思議大好き、好奇心いっぱいのママだけど、なぜか占いにはあまり興味がなかったんだって。

「それは、もしかすると、20代半ばで出会った人に、
”占いは統計学だから”と言われたことが影響しているかもしれない」

その人(女性)は、霊感の強い人で、人の考えてることも読み取れると言っていたけど、 「占いは統計学だから6割は当たる」って言ったそう。

確かに血液型による性格判断だって、該当する人としない人がいるし、
ママがいい例で、出会う人のうち9割は、ママの血液型を言い当てられない。

それに、姓名判断なら、「じゃあ、同性同名の人は全く同じ運命なの?」とか、
「漢字は画数があるけど、じゃあ外国人はどうなるの?」とか、
生年月日によるものであれば、「同じ年月日に生まれた人は同じ運命になるの?」とか 、常日頃、疑問に思っていたので、6割と言われて、そうなのかもなあ、って思ったんだって。

統計をとってパターン化しているのなら、それも頷けるかなって。

だから、(一般の)占い師さんは、占いのしくみを勉強して、そのパターンを覚えて、 占ってもらいたい人が来たら、そのいずれかのパターンに当てはめる、そういうことを するのだと思っていた。

「でも、ちょっと違うみたい・・・・。

血液型とか、人相とかは統計学的な要素が強いのかもしれないけど、 たとえば、生まれるときって、年月日以外にも、何時何分何秒なのか、生まれる場所はどこなのか(経度、緯度)とか 、いろいろあるわけでしょう? 
西洋占星術ではその生まれる瞬間の、天体の配置(惑星とか12星座とか) で占うみたいなの。
宇宙や大自然の法則を体系化しているものらしいの。
生まれる瞬間に位置する惑星や星座のエネルギー、その影響を受けるんだって」

ふうん、じゃあ、占う元になるその人のデータが詳細になれば、
「同じ生年月日だから、同じ運命なの?」っていう疑問はなくなるんだ。
だって、何時何分何秒、生まれる場所まで全く同じ人って、そうそういないよね?
・・・・あれ? でもさ~、その詳細なデータに基づく占いの結果、ってどこからくるのかな? それもやっぱりたくさんのデータを分析した結果?

それそれ!

そこがいつも引っかかってたの。
結局、「分析結果」でしょ?って。


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第19章~占いと未来(8)

それが払拭されたのは、仲間のミミさんからオラクルカードを教わったとき。

オラクルカードというのは、
天使や妖精など、聖なる存在からのメッセージを受け取るための「神託カード」である。

アメリカのドリーン・バーチュー博士という人が作ったものが有名みたい。

(たいてい)44枚のカードからなっていて、
一枚一枚のカードに美しい挿絵と短いメッセージが書き記されている。

何か聞きたいことがあるときに、カードを引き、
引いたカードに書かれているメッセージが
その質問に対するアドバイスというわけである。

「それで、驚いたのはね、みんなは引いたカードの意味を知るために
付属の説明書を見るの。
それぞれのカードの説明書きがあるから」

そして、そこに書かれていることを、なるほど~、と読んでいく。

一方、ミミさんの場合は、霊感があるので、カードを見ると、浮かんでくるメッセージもある。
そうすると、説明書に書かれているメッセージがより具体的に、幅をもってみえてくる。

「ねえ! どうしてそんなことがわかるの?」
ママは、驚いて聞いた。

ミミさんは手相を見るときもそんな感じ。

ママの手相を見ながら、
「あ~、今後はいろんなことの答えは本から得ることが多いね~」
なんてさらっと言う。

手相の統計学からは、およそはじき出されることのない答えだと思う。
(そして、恐ろしく当たる)

「だからさ」とママは続けた。

「占いの基本的なことは学んで知識として身につけるとしても、
占い師の実力って、その人自身が持ってる力に左右されるんだ、って思ったの」


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第19章~占いと未来(9)

ミミさんは、カードを(クライアントのために)引くときは、占い師とクライアントの潜在意識が 繋がることが必要だと言った。

ママもそれを聞いて納得。

占いにさほど関心のないママだけど、なぜかタロットカードにだけは魅かれるものがあったから。

「その場で引いて出てくるカードって、一体どうやって選ばれて出てくるんだろうって 不思議に思ってたんだけど、ミミさんにカードを習ったときに、わかった」

「つまりさ~、カードって、潜在意識につながるためのツールなんじゃないかな。
出てくるカードって、自分の潜在意識からのメッセージなんだと思う」

そして、そのカードの意味を紐解いてくれるのが、占い師さん。

だから、クライアントの潜在意識に繋がることができる占い師さんは、 カードの読み取りに長けているはず・・・・。

じゃあ、ママの解釈では、
一言に「占い」っていっても、いろんな種類があって、

「うん」

名前とか、手相とか、生年月日とか、そういったクライアントのデータと、 統計結果を照らし合わせるものがあって、

「うん」

一方では、タロットーカードのように、クライアント自身の潜在意識が結果を導き出す ものがあって、

「うん」

いずれも、占い師さんのリーディング能力が高いと、より自分にフィットした解釈をしてくれる?

「のかな、って。 今のところはそう思ってるんだけどね。
でも、これはママの個人的な意見だよ。
占いって、実際はママが考えるよりもずっと奥深いものみたいだから」



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第19章~占いと未来(10)

そして、ママは、「そういえば・・・」って、クスッと笑った。

「30歳のころ、恋愛で悩んでいた後輩に付き合って、あちこちの占い師巡りをしたことがあるの」

そのころのママは特に悩みもなかったので、
毎回、同じことを聞いてみたんだって。

「私は占い師になりたいんですけど、どうでしょうか?」って。

へえ! で、なんて言われたの?

全員、「無理です!」って。 (笑)

「占い師になる人は、そういう星の下に生まれている。あなたは違います」、って!

アハハ・・・・

「でね、」とママは真面目な顔になった。

「その通りだと思うんだ。やっぱり、ママはそういう星の下ではないよね~」

どういう意味?

「だってね・・・。

ヒプノセラピーって、人に答えを教えてもらうんじゃなくて、自分で答えを見に行くわけでしょう?
ママの役目はそっちだと思うもん」

占いでも、いわゆる、「霊能者」といわれる人に見てもらっても、
その場では言ってもらったことに納得するけど、日にちが経つと
また振出に戻ってしまう人がいる。

こういう風に言われたけど、そうなのかなあ・・・って。

で、そういう人が、ヒプノをやると、すご~く納得したりする。

「何しろ、答えを見せてくれるのは、自分自身だからね~」




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第19章~占いと未来(11)

「そうそう、あのクライアントさんもそう言ってたっけ」

不倫に悩んで来たクライアントさん。

霊能者のところへ相談に行ったら、
「あなたとその人は過去(世)で出会ってるのね。
その時の想いが強くて、今生、再会してるけど、
でも世間では受け入れられない関係だから、すぐに別れた方がいい」
みたいなことを言われたのだとか。

世間では受け入れられない関係、ってことは重々承知で、
だからこそ悩んで相談に行ったんです。
別れなさいと言われても、好きで別れられないから苦しんでるんです・・・・・。

彼女はそう言った。

う~ん・・・・・。
そうだよねえ・・・・。
はい、わかりました、って、すんなり別れられるものなら、何もこんなに苦しまないよね・・・。

そして、その人との関係がわかる過去世を見に行った。

幸いにも、彼女の場合にはその過去世が出てきた。

(ストーリーを追って、詳しく見ることができた)

覚醒後、彼女は、
「ああ、だから今生再会したんだ・・・!」って驚いたり、納得したり。

そして、1か月後に来た時に、明るい顔でこう報告してくれた。

「まだ、つきあってます!やっぱり好きだから。
でも、不思議と彼に対する ”執着” が無くなったんです!
だからすっごく気持ちが楽です!
(彼は会社の上司で)仕事をいろいろと教えてくれて、私が一人前になれるように
引っ張ってくれてるんです。
だから、私、今はいい仕事ができるようになりたい、って、頑張ってるんです。
いずれ、彼とは別れるときが来ると思うけど、今度は独身で彼のような人に
出会えたらいいなと思ってます」

この言葉に、ママは逆に感動したんだって。

「だってねえ、エフちゃん、状況は変わってないのに、本人の気持がこんなにも切り替わるものかと・・・」

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第19章~占いと未来(12)

彼女曰く、
「過去で縁があった、って言われてもどんな縁かもわからなかったし、
だから、自分の中で何か煮え切らないものがあったんです。
でも、過去世を見て、状況がよくわかったから、納得できた」

そっか・・・・。
ある場所の景色がいかに美しいかをどんなに説明されても、
実際に自分の目で見ないことには感動を得られないようなものかな・・・。

過去世でのその人と自分の関わりがわかったからなのか、
あるいは、追体験したことで、
「死んでも、また生まれ変わったら再会したい!」という彼女のその時の思いが解放されたからなのか、
とにかく、彼女は「執着心」を手放し、前向きになった。

他人にアドバイスをもらっても、その時は、「そっかあ!」と思うんだけど、
日にちが経つと、また出口が見えなくなって、悩む・・・。

ママはその気持ちがよ~くわかると言った。

だからこそ、自身で答えを見に行くのをサポートすることが、
ママの役目になっているのだろう。

「答えは自分の中にある」
本当にその通りだから。

ねえ、ママ、霊能者って言われる人たちは、その答えをどこから得てるのかなあ?

「ああ、それはね、きっとアカシックレコードからだと思うんだ」

アカシックレコード?

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第19章~占いと未来(13)

「うん。”魂の記録”って言われてる」

魂が記録されてるの?
それって、どういうことなの?

「宇宙のデータバンクとか、図書館とも言われていてね、全宇宙の過去から未来までのすべてのことが書かれてるんだって。
だからそこにアクセスすれば、その人の魂のこと、今までの経験とか記憶とか、未来のことまですべてわかるらしいよ」

ああ、そっか、情報を引き出すことができるんだね?
でも、そのアカシックレコードって、どこにあるの?

「宇宙にある、っていう人もいるし、潜在意識の奥深いところにあるっていう人もいる」

でも、人間=宇宙だから、
つまりは潜在意識ということだよね、とママはぶつぶつ呟いた。

「人によって言葉は違うけど、結局は同じ場所を指してるんだと思うんだ」

アカシックレコードといえば、エドガー・ケイシー(1877年~1945年)という人が有名らしい。
20世紀最大の眠れる預言者といわれた人なんだって。
彼は催眠状態でアカシックレコードから情報を引き出し、相談者に病気の治療法などを教えたりしてたんだって。
医学的知識は一切なかったにも関わらず、その治療法はかなり具体的だったらしい。
アカシックレコードは魂の記録だから、病気で相談に来た人の魂の記録を見に行けば、その治療法がわかるということみたい。

ふうん。
それって、ママたちがヒプノで見に行くところとは違うの?

「同じだと思う」って、ママは言った。

「ヒプノで繋がってるところって、アカシックレコードだと思うよ」

よくクリエイティブな仕事をしている人が、
「アイディアがふってきた」という言い方をするけど、それも 降ってくる先はアカシックレコードなんだって。

「だからね、霊能者の人が情報を取ってくるのも、 アカシックレコードからなんだと思う」

いつだったか、霊能者の夏子さんが、
「私が情報をとってくるところは、江原啓之さんと同じ場所」と言ってたけど、
結局、情報のある場所は一箇所、つまりアカシックレコードなんだよね。

「ねえ、エフちゃん、私たちはみんな過去の記憶を消して生まれてくるでしょう?
だからこそ、過去世を知る必要があるときはヒプノや瞑想の手段を使う。

でも、霊能者の人たちって、その記憶を持ったまま生まれてくるんじゃないかな。

だから、”霊視”ができるって、つまり覚醒したままでアカシックレコードに
アクセスすることができる、っていうことだと思うんだ」



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第19章~占いと未来(14)

そっかあ! 霊能者の人たちって、ヒプノや瞑想を使わなくても、
アクセスできるんだ!

ってことは、普通の人はヒプノを使って自分で同じ場所を見に行けばいいんだね?

「うん。だから、きっと自分の知りたい情報を、他人に見に行ってもらうか、
自分で見に行くかの違いなんじゃないかな、と」

うん、うん。

強いて言うなら、リンゴが必要なときに、
人に頼んで買ってきてもらうか、
自分で直接買いに行くか、みたいなね。

「不倫で悩んで来たクライアントさんはその後、霊能者のところへ再び行ったんだって。
そして、自分が見た過去世を話したら、霊能者が、 そんなに詳しく見れるの?ってびっくりしたんだって」

物語を見るように、ストーリーを見ることができるからね・・・。

ママも今はもう慣れちゃったけど、最初の頃は、
セラピストが、
「次は3年後へ」
「次は5年後へ」とか、
「20歳の頃へ」というと、
それに従って場面がどんどん変わっていくのにびっくりしたんだって。

過去世を、子供の頃から大人になり、年を重ね、亡くなるまで、
ず~っと一生を追って見ていくことができる。

だから、自分で実際に見に行って、自分で納得したい人には
ヒプノはうってつけだと思う、ってママは言った。



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第19章~占いと未来(15)

魂は万能なんだって。

魂の存在に戻れば、言葉も要らない。
相手の気持ちも、考えてることも手に取るようにわかる。

動物とだって、植物とだって森羅万象すべてのものと意思の疎通が図れる。

食べ物を口にする必要もない。

時間もない。
行きたいところを思い浮かべただけで瞬時に移動できる。

三次元でいうところの「超能力」みたいだね?

「うん。人間はもともとそういう存在なんだけど、肉体をまとうと
そういった能力を持ってること自体、忘れちゃうみたい」

「でもね」とママは続けた。

「ほら、潜在意識と顕在意識との間にフィルターができるのは、12歳位まででしょう?
だから小さい子供はまだ潜在意識に浸かってる状態なの」

つまり、いろんな能力がある?

「子供によって差はあるけど、生まれる前の記憶がある子もいるし、
人間本来の能力を、まだ忘れずに備えている子もいる」

「あのね、エフちゃん、それに関することで、最近、面白いことがあったの」

ママが2年ほど前に仕事で知り合ったゆうさんの話。

「お菓子作りが好きで、そういう教室に通ってみたいけど、3歳の子供がいるから、
今は、自分の好きなことをやるよりも、
子どもと過ごす時間を大事にした方がいいのかなあ?」って相談されたのね。

で、ママは、迷うんだったら、無理に教室に通わなくても、
家で子どもと一緒に楽しみながらお菓子を作るのもいいんじゃない?って言ったんだって。

ネットで「子供と一緒に作る簡単お菓子」みたいなレシピだって、たくさん手に入れられるし。
子どもも喜ぶんじゃないかなあ、って。


そう言いながら、ふと思い出したのがノンタンの絵本。

「ノンタン」という猫を主人公にした絵本のシリーズの1冊に、『ノンタンのたんじょうび』というのがある。

ノンタンの誕生日に、ウサギやクマさんたちが集まってクッキーやケーキを作るんだけど、 そのクッキーの作り方が書いてある。

ママは雨でお出かけできない休みの日には、当時3歳くらいだったみつるお兄ちゃんと一緒に その絵本を見ながら一緒にクッキーを作ったりした。

かわいいノンタンクッキーの絵を見ながら、お兄ちゃんも、ママもわくわくしながら
楽しい時間を過ごした。

「それを何気なくゆうさんに話したの。
そしたらね、その日の夜にびっくりするようなことが起きたの!」


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第19章~占いと未来(16)

次にあった時に、ゆうさんが、興奮しながら話してくれた。

「あの日の夜、あーちゃん(娘さん)が、突然、
”ねえ、ママ、ノンタンのクッキーを作りたい”って言ったの!」

ええっ?

ママもびっくりした。

ゆうさんが言うには、ノンタンの絵本は2年くらい前に一度図書館で借りて読んだことがあるだけ で、それっきりなんだって。

すごい偶然!

「うん、でも、ゆうさんが知らないだけで、保育園で時々読んでるのかもよ、って、 その時はそれで終わったの」

そして、その日、ママはゆうさんにトマトの話をした。

ママはある時、切ったトマトの断面を見ていて、こんな風に思ったんだって。

このひとつひとつの粒々(種)は自分がトマトの一部だってこと、知らないんだろうな、って。

「だってね、周りにも粒々があるけど、その種の入ってる袋が、自分の世界のすべてだと 思ってるんだろうなって。

粒々の種が詰まった袋は他にもあるし、そもそも種はトマトの一部なんだよね。

自分からは全体が見えないから、
見たこともない果肉の部分を、「トマト様」とか思ってるかもしれない。

ママは、きっと、人間も宇宙(あるいは神)の一部なんだけど、
このトマトのように自分からは全体が見えないので、
自分=神なんだとは気付いていない、って言いたかったんだと思う。

でも、いつだったか、ヒプノで高次の存在と話した時に、このトマトのたとえ話を
したら、
「なにもトマトでなくても・・・」って言われたんだって。 (笑)

「それでね」とママは続けた。

「その日の夜に、何が起きたと思う?」



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第19章~占いと未来(17)

ママとゆうさんは、仕事の関係で、月に1度は会っている。

次に会ったとき、ゆうさんは不思議そうな顔で、こういった。

あの日(ママがトマトの話をした日)、娘が保育園で育てたトマトを1個、持って帰ってきたの。
それを切って食べていたら、娘が急に、
「ねえ、ママ、トマトのどこが好き?」って聞くの!

ここ? (と、フォークで種のところをつつく)、
それとも、ここ? (と、果肉のところをつつく)

そして、独り言のように、
「でも、ここ(種)も、ここ(果肉)も(どっちも)トマトなんだよね」と言ったのだとか!

へえ・・・・・・!

ママも聞きながら、不思議な気分。

ゆうさんはこんなことも言った。

この間、マサコさんが誰でも植物と話ができるよ、話しかけてごらん、って言ったでしょ?

それを聞いたときに、そういえば、娘が毎朝お花に水をやりながら、
何やらぶつぶつ言ってるなあと思ったの。
3歳の子供のやることだから何も気に留めずにいたんだけど。

「小さい子供って、独り言を言いながらお人形さんと遊んだりするから、
そういう子供独特の仕草と思って、気に留めずにいたっていうことだよ」
と、ママは私に説明してくれた。

次の日、ゆうさんは水やりをしているあーちゃんに、「何を言ってるの?」と聞いてみたんだって。

おはようって、言ってるんだよ、とあーちゃんは答えた。

あーちゃんがおはようって言うと、お花もおはようって言ってくれるの?
と、ゆうさんはおそるおそる聞いてみた。

うん! そうだよ。
あーちゃんは屈託なく、そう答えた。


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第19章~占いと未来(18)

その時のゆうさんの驚きは、察するに余りある。 (笑)

その日から、ゆうさんはあーちゃんの言動を注意深く観察するようになった。

「そしたら、今までは見逃していたことに、いろいろと気づくようになったんだって」

ある時、あーちゃんを自転車の後ろに乗せてお買物に行っていたら・・・。
あーちゃんが通りすがりの誰かに声をかけていたので、ゆうさんは自転車を止めた。

そして、お友達?と聞いた。
(あーちゃんのお友達とすれ違ったのかと思ったそう)

たんぽぽさんと話したんだよ、とあーちゃんは言った。

道端のたんぽぽが、
「どこへ行くの?」って聞いてきたので、
「ママとお買い物に行くんだよ」って答えたんだって。

マサコさんの話を聞いてて良かった、とゆうさんは言った。

「そうでなかったら、たんぽぽが話すわけないでしょ!って言うところだった」

そしてまたある時。

お出掛けしようと、マンションから出た直後。
あーちゃんは、玄関の植え込みの木に向かって、突然、「ありがとう」と言った。

ゆうさんがびっくりして、どうしたの?と尋ねると、
「その洋服かわいいね、って言ってくれたの」とあーちゃんはにっこり笑ったのだとか。

「エフちゃん、その日ね、ママはゆうさんにハーブの話をしたの。
そしたら、ゆうさんがぱっと顔を輝かせて、
”私、最近、なぜかハーブのことが気になってたの!”って言ったの」

で、ハーブの話で盛り上がったんだけど、
「その日の夜に何が起きたと思う?」 (笑)

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第19章~占いと未来(19)

その日、ゆうさんがあーちゃんを保育園にお迎えに行くと、
あーちゃんが唐突にこう言った。

ママ、ミントを買って。

ミント? 3歳の子が? 急に?

「そうなの、エフちゃん。
ハーブの話なんてしたこともなかったのにって、ゆうさんはとても不思議だったんだって」

後日、その話を聞いたママは、ミントを買いに行ったら、あーちゃんに選ばせてみたら? きっと、あーちゃんにはおうちに連れて行く子(鉢)がわかると思うよ、って言ったんだって。

それで? どうなったの?

「うん。買いに行ったらね、ミントの鉢がこう、ずら~っと並んでてね、
あーちゃんはゆうさんが何も言わないうちに、
さっさと、 ”これ、これ!” ってひとつのミントを選んだんだって」

へえ!
あーちゃんて、なんだか、ママとゆうさんが話してることを知っているみたいだね。

「そうなの!しかも、ママとゆうさんが会って話をしたその日の夜に、
必ず、私たちの会話の内容に触れてくるの」

あーちゃんって、ゆうさんの潜在意識を読み取ってるんだろうか?

ママにも不思議でしょうがない。


「でね、ゆうさんはちょっと気になる話もしたの」

保育園の送迎のとき、川に架かった橋を渡る。

最近、その橋の上を通ると、あーちゃんが、
こわい、こわいと言うのだとか。

手で両耳を塞いで、「声が聞こえてこわい」って言うんだって。

それ、なんだろう?

「うん、もしかしたら、その川の辺りにいる霊の存在を感じるのかもね」

ママは仲間のミミさんに相談した。

「ママ(ゆうさん)と一緒だから大丈夫だよ」って言ってあげてね。
それで様子を見てみて。
と、ミミさんは言った。

ママは、それをゆうさんに伝えた。

「そしたら、大丈夫になったみたい。声が聞こえる、って言わなくなったって」

へえ・・・・。 良かったね。

「うん。でもね、しばらくしたら、今度は、
ママに怖い人が居る!って言い始めたんだって」


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第19章~占いと未来(20)

次に会った時に、ゆうさんは、
怖い人が居る、ってどういうことかなあ。
そういえば、最近、肩がすごく重いの。
肩こりとかしない方なのに・・・、って言った。

それで、ママはレイキを使ってオーラクリーニングをしてあげようと思った。

椅子に座っているゆうさんの背後に回り、
頭から肩に向けて手をかざした。

途端に、ビリビリビリ!ってまるで電気が流れたかのように手がしびれた。

「うわっ!」
ママはびっくりした。

指先から腕の付け根の方までビリビリ!って伝わっていく感じ。

それと同時に、ゆうさんが、
「あ~、肩が軽くなった」って言った。

ママの両腕は、しばらくしびれたままだった。

ゆうさんに何か憑いてたのかな、ってママは思った。

その日の夜は、あ-ちゃんがゆうさんの背中をぽんぽん、って叩いて
にこにこしてたんだって。

ゆうさんは「怖い人、居なくなった?」って聞いてみた。

そしたら、あーちゃんは、

「うん。でも、どこにでもいるからね~」って答えたんだって。

ふうん。ねえ、ママ、子供の時は潜在意識に浸かってるって言ってたけど、あーちゃんの場合は、 ちょっと特殊だよね?

「そうだね~・・・・。大人になるにつれて、だんだんそういう能力が消えていくことが
多いみたいなんだけど、あーちゃんはもしかしたら、このまま消えずにいくかもね~」


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第19章~占いと未来(21)

その日、ママはゆうさんにホワイトセージの話をした。

ホワイトセージの葉を乾燥させたものを燃やして、その煙で浄化をすることができる。

ネイティブアメリカンの人々が、古来より神聖な儀式の前に用いた方法である。

「今度肩が重いとか、部屋の空気が澱んでいる気がしたときは、使ってみたら?」

そして、
「ああ、そうそう、家にあるから今度持ってくるね」って、ママは言った。

あーちゃんがそのことに対しても、不思議な反応をするとは、思ってもみなかった。

ゆうさんにホワイトセージを手渡したのは2か月後。

ゆうさんが家に持って帰ると、あーちゃんがそれを見て、
「これこれ、この葉っぱ!」と言った。

え?どういうことかな?

「あのね、ゆうさんが言ってたたんだけどね、あーちゃんが
2か月くらい前に、突然自作の歌を歌ってたんだって」

こんな感じの。

♪葉っぱが来るよ、葉っぱが来るよ~
かさかさの葉っぱが来るよ~♪

え~っ? 予知してたってこと?

「っていうか、やっぱり、ゆうさんとママがホワイトセージの話をしたのを
知ってたんじゃないかな」

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第19章~占いと未来(22)

夏。

ゆうさんは家のベランダに緑のカ-テンを作るべく、ゴーヤを植えた。

収穫のとき。

ゆうさんが1本のゴーヤに手を伸ばすと、あーちゃんが、
「ママ! それは黄色くなりたいからそのままにしておいて欲しいって言ってるよ」

ゆうさんは唖然。

そして、別のゴーヤを指さし、
「これは食べて欲しいって!」

ママはその話を聞いて、唸った。
すごいね・・・・・・。

収穫がすべて終わった頃、ゆうさんが、
「もうゴーヤも終わりだね」と言うと、
あーちゃんは、
「いやだ。もっと(実が)なってほしい」

「ゴーヤさん、もう1度、たくさん実をつけて!」
とあーちゃんはゴーヤに話しかけた。

「そしたら、数日後にまた、ゴーヤがいくつもでき始めたの」
ゆうさんは信じられないという顔でそう言った。

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第19章~占いと未来(23)

次にゆうさんに会ったとき、彼女はこんな話をした。

保育園に佳奈ちゃんという子がいる。

佳奈ちゃんは、何にも理由がないのに、すぐにお友達を叩く。

誰かのそばに行っては、その子を叩く。

で、叩かれた子は、当然のことながら叩き返すらしい。

ゆうさんは、
「あーちゃんも叩き返すの?」と聞いた。

ううん。
あーちゃんは首を横に振った。

「なぜ、叩き返さないの?」とゆうさんが聞くと、
あーちゃんはびっくりしたような顔をした。

そして、こう言った。

叩いても、佳奈ちゃんにはわからないから。
私は優しくするの。
優しくすると、佳奈ちゃんもいつか優しくなるんだよ。

ゆうさんは腑に落ちないという顔をしていたが、
ママはあーちゃんってすごい!と思った。

「ねえ、エフちゃん、もし、エフちゃんがお友達を叩いたとして、
叩き返されたら、自分が悪いんだ、って反省する?」

え・・・・・、いや、また叩き返すかも。

「でしょ?自分を反省するとしたら、優しくされたときなんだと思うの」

たとえば、いつも人に意地悪する人がいる。
ある時、とても困ったことが起きる。
その時に、意地悪していた相手が黙って救いの手を差し伸べてくれたとする。
その優しさに触れたときに、その人がハッとして、何かを感じて、
以後、意地悪をしなくなるとかね。

「つまりさ、人は愛でしか変わらない、ってこと」

あーちゃんのように、生まれた時からそれを知ってる子っているんだね~、とママは
感心していた。

ゆうさんはうろたえた。
「どうしよう、私、あーちゃんはなんで叩き返さないの?って言っちゃった。
だって、私だったら叩き返すと思ったから」

「大丈夫」って、ママは言った。

「今日、帰ったら、あーちゃんを抱きしめて、こう言うの。
ママはあのあと考えてみたんだけど、やっぱりあーちゃんの言う通りだね、
あーちゃんはえらいね、って」

「そうしてみる!」とゆうさんは言った。

そして、次に会ったときに、こんな報告をしてくれた。

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第19章~占いと未来(24)

「あの日、帰ってから、マサコさんが言ったようにしてみたの」

そしたら、あーちゃんが、こう言ったんだって、

「佳奈ちゃんは悪くないんだよ。
(佳奈ちゃんの)お姉ちゃんが佳奈ちゃんを叩くから、
だから佳奈ちゃんはお友達を叩くんだよ」

すごい・・・・

あーちゃんはそんなこともわかっているんだ・・・・。

ママは、きっと、佳奈ちゃんのお母さんが、日常的にお姉ちゃんを叩くのだろうと思った。
(後日、それが事実だとわかった)

叩かれたお姉ちゃんは悲しい気持ちのやり場がなくて、自分より小さい妹を叩くのだろう。

そして、妹はその気持ちのやり場がなくて、保育園でお友達を叩く。

ゆうさんが目を丸くした。
「そうなの?」

ママは、ヒプノをやっていて、いつも思う。

生まれてきた赤ちゃんは、空っぽの電池みたいだって。

育っていく中で、親の愛情を沢山もらいながら、
その電池を少しずつ充電していく。

電池が満タンになるように育った子は、自分を愛し、人も愛せる人間になるような気がする。

そういう人は他人をいじめたり、意地悪をしたりしない。

親の愛情に飢えている子は、その満たされない気持ちを
友達へのいじめや意地悪で晴らそうとする場合がある。

でも、悲しみを他人に向けて心を満たそうとしても、
愛の電池は充電されない。

「自分が嫌い」「自分を好きになれない」と言う人が
幼児期退行をすると、たいていは、親の愛情に満たされなかった 寂しい心に行きつく。

「でもね」と、ママは言った。

「だからといって、その人たちの親御さんが必ずしも我が子を
愛していなかったわけじゃないの」

子どもって、ちょっと叱られただけでも、
「お母さんは私を嫌いなんだ」と思ったりするのだという。

ママ自身が幼児期退行を受けた時、
「子供の頃の悲しかった場面へ」と誘導されたら、
まだ4歳か5歳の頃の、保育園の場面に行ったんだって。

「そのころね、午後になるとお昼寝の時間があるんだけど、
それが嫌で嫌で・・・・。だって、ちっとも眠くないのに、寝なくちゃいけな
いんだもの。すごく苦痛でね。
で、ある日、そおっと起き上って、家まで全力疾走で逃げ帰っちゃったの」

保育園は自宅からすぐそばだった。

家に着いて、母親の顔を見た時、ママは、「ああ、もう大丈夫だ」とほっとしたんだって。

保育園の先生があわてて追いかけてきたけど、母親のもとに
戻ったママは安心していた。

それなのに、あろうことか、母親は、すみません、と頭を下げて、
ママを先生に引き渡してしまった。

ママは茫然としていた。

次の瞬間、心の中に、親に捨てられた、
そんな想いが沸き起こってきた。

えっ? それって、ちょっと大げさじゃない?

「そうなんだけどね、エフちゃん、小さい子供って、そんなことでも
傷ついたり、悲しんだりしてる、ってこと。
ママだって、そんな小さい頃のこと、すっかり忘れてたのに、
”子供の頃の悲しかった場面へ”って言われたら、そこに行っちゃったんだもの。
その時は相当ショックだったんだろうね。
だから、潜在意識の中にしっかり残ってたんだと思う。」

その場面で、セラピストがこう聞いてくれた。
「あなたはどんな風にしてほしかったの?」

「そしたらね、潜在意識下でこんなことを言ったの」

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第19章~占いと未来(25)

「保育園に戻らなくちゃいけないわけを、ちゃんと説明してほしかった」

そう言って、ママはわんわん泣いたんだって。

まさにその時は、そういうやるせない気持ちだったのだと思う。

当時、おばあちゃんは忙しかったので、ママを保育園に預けていたんだけど、
小さい子供にはそんな事情がわからない。

家まで必死で走って帰って、母親の顔を見た瞬間の安堵感。

それなのに、それなのに、先生に引き渡されて・・・・。

潜在意識下では、はっきりと記憶が蘇った。

そうだ、あのとき、母親に対して、不信感を持ったんだった・・・・。

「お母さんはおうちでやらなくちゃいけないことがたくさんあるの。
だから、もう少しだけ、保育園に居てくれる?」
って、説明してくれたら、自分は納得できた。
そして、夕方、家に戻ったら、
「今日は、ごめんね。でもおかげでお仕事が片付いたよ」
そんな風にいってくれたら・・・。

ママは自分で答えながら、びっくりしたんだって。

小さい子供って、そんな風に思ってるんだなあって。

そして、同時にもうひとつの記憶が蘇ってきた。

小学校低学年の夏休みだったと思う。

何かで母親に叱られた。

すごく悲しかった。

ママは泣いていたかもしれない。

すると、母親が、「さあ、もう泣かないで、アイスクリームでも買っておいで」と
頭を撫でて、お金を渡してくれた。

「その時ね、ああ、お母さんは私を嫌いじゃないんだ、ってほっとしたの。
頭を撫でられたからかな」

「子どもって、叱られている内容よりも、叱られている行為そのものが悲しいみたい。
叱られただけで、お母さんは私を嫌いなんだ、って思ったりする。
だから、叱った後は、必ず抱きしめて、嫌いで叱ったんじゃないんだよ、
あなたのことが大事だからだよ、ってフォローすることが大事だと思うんだ」
とママは言った。

スキンシップはとっても大事。
抱きしめると、お母さんの皮膚を通して、愛の波動が子供に伝わる。
子どもは親から愛されていると体感できる。

そうやって、愛の電池が少しずつ充電されていく。

「抱きしめられるのは小学生ぐらいまでだから、それまで、いっぱい
抱きしめて育ててあげるといいよ」と、ママはゆうさんに言った。

ゆうさんが、頷きながら、
「あっ! そういえば・・・・!」と思い出したように言った。

家にいるとき、たまにあーちゃんがそばに来て、
「ママ、ぎゅう、ってして」と言うのだとか。

そして、ぎゅうと抱きしめると、にっこり笑って、
また自分の遊びに戻っていくのだという。

そうなんだ・・・・。ゆうさんの愛情をもらいにきてるんだね。
ふっと心が寂しくなると、そうやって愛情で満たしてもらって、
また安心して遊び始めるんだね。

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第19章~占いと未来(26)

ある時、あーちゃんは不思議な行動をとった。

ゆうさんが保育園に送って行ったときのこと。

思いついたように、自分のロッカーから2枚の塗り絵を出してきて、
「これ、今日、お仕事の人に見せて」と言ったのだ。

そんなことは、保育園に通い始めてから初めてのことだった。

その日の午後、ママは急用ができて、ゆうさんに会いに行った。

仕事の話が終わって、ママが帰ろうとしたとき、
ゆうさんが、「あ! もしかして、あの絵、マサコさんに見せるのかな?」と言って、
急いで鞄の中を探し始めた。

あーちゃんが、保育園で塗り絵をした中の2枚を選んだのだという。

1枚は、アンパンマンだった。
上部の空いているところに、あーちゃんが、♡(ハート)と☆(星)を書き足してある。

もう1枚は、人魚姫だった。
海に突き出た岩の上に座った人魚姫が空を見上げている。
空には星がある。

あーちゃんはその星の横に、♡(ハート)を書き足していた。

そして、「うみのうえのせかいをみてみたいわ」と書かれたキャプションを色鉛筆で囲んであった。

ママはそれを見た時、なんだか泣きそうな気持ちになった。

あーちゃんって、水の世界から来たのかなあ、と思った。

「エフちゃん、ママが一番驚いたのはね」

うん?

「どこかわかる?」

ううん?

「あーちゃんが、♡(ハート)と☆(星)を書き足してあったこと」



「あのね、精神世界のことを勉強している人ならわかると思うんだけど、
♡(ハート)と☆(星)はね、おそらく、”愛”と”光”だと思うの」

人は皆、「愛」であり、「光」なの。

シータヒーリングでも、創造主に「愛と光を」とお願いしたりするのだという。

あーちゃんは、アンパンマンの塗り絵には、「愛」と「光」を書き足し、
「光」が最初から書かれていた人魚姫の塗り絵には、「愛」だけを
書き足してあった。

やっぱり、あーちゃんって、全部、わかってるんだな・・・・。

すごい・・・、とつぶやくママの横で、
ゆうさんは、きょとんとした顔をしていた。

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第19章~占いと未来(27)

その日の夜、ゆうさんは、あーちゃんに、
「あの絵、お仕事の人に見せたよ」と言った。

あーちゃんは、即座に、
「どんな人(に見せたの)?」と聞いたんだって。

ゆうさんが、「マサコさんっていう、女の子だよ」と答えた。
(子供にわかりやすく、敢えて、女の人、と言わず、女の子、と言ったらしい)

すると、あーちゃんは、ちょっと不満そうに、こう言ったんだって。

「男の子と女の子が一緒になった人に見せて欲しかった」

ゆうさんは、もちろん、「???」

次に会ったときに、その話を聞いたママも、「???」

その日、ママはゆうさんに渡すためにホワイトセージを持参していた。

あーちゃんもこの香りが大好きなのだという。

ママは、ゆうさんに頼んだ。

「絵を見せたのは、このホワイトセージを持ってきた人だよって、あーちゃんに言ってみて?」

へえ? あーちゃんはなんて言ったのかな?

「あのね、エフちゃん、あーちゃんは、
”それならいい、うん、それならいい”って、納得してたんだって」

ってことは、やっぱり、絵を見せたい相手はママだったってことだよね?

「たぶん・・・・」

男の子と女の子が一緒になった人、ってどういう意味なんだろう?

ママは、「さあ?」と言ったけど、「魂には性別がないみたいだからね」と
つぶやいた。

ちなみに、ゆうさんは、♡(ハート)と☆(星)のことも聞いてみたんだって。

あーちゃんの答えはこうだった。

星はきらきら光ってるでしょ。
ハートは、優しくて、暖かいの。

愛と光。

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第19章~占いと未来(28)

あるとき、ゆうさんは仕事のことで悩んでいた。

今すぐというわけではないが、いずれ転職を考えたいと。

相談されたママは、
「あーちゃんに聞いてみたら?きっと答えを知ってるよ」と言った。

「いつまで今の仕事をするかな?」という聞き方ではなくて、
「あーちゃんが何歳位まで今の仕事をしてるかな?」、って。

いつまで、という聞き方は漠然としていて、4歳の子供(あーちゃんは4歳になった)には わかりにくい。

次の日、ゆうさんからママにメールが来た。

あーちゃんは、「6歳まで。もしかしたら8歳かな?」って答えたんだって。

すごいね、あーちゃんって。

「うん。でね、エフちゃん、この話には面白い後日談があるの」

数か月後、仕事で何となくもやもやしていたゆうさんが、再びあーちゃんに、
「今の仕事、あとどれくらい続けるかな?」って聞いたんだって。

そしたら、あーちゃんは、毅然とした態度で、
「それはママのことでしょ! ママが自分で考えて。」と言ったのだとか。

へえ? なんで前回とは態度が違うんだろう?

「ママが思うのには、ゆうさんがあーちゃんに依存したからじゃないかと思うの。
人間ってさ、すぐに答えをもらえると思ったら、依存しちゃうじゃない?」

その時のゆうさんは偉かった。

ああ、そうだ、自分でちゃんと考えなくちゃ。
そのためには、自分はもっといろいろと勉強しなくちゃ、と思ったんだって。

「そしたらね、その2、3日後に、あーちゃんがしきりに図書館へ行こうよ、と言うんだって」

で、ゆうさんは保育園にお迎えに行った帰りに、図書館へ寄った。

いつもなら、まず、あーちゃんと児童書のコーナーへ行き、借りる本を決めてから
大人の本のコーナーへ行く。

ところが、その日に限って、あーちゃんが、
「ママが先でいいよ」と何度も言うんだって。

大人の本の書棚を見に行くと、
なんと、ママが以前、ゆうさんにおすすめ、と言った斎藤一人さんと小林正観さんの本が 並んでいる!
今までは借りたいなと思っても、在庫が1冊もなかったのに。

ゆうさんはそれを借りて、すぐにママにメールをした。

ママは、こんな返事を返した。
「きっと、お二人のたくさんある著書の中から、今ゆうさんに必要な本が
そこに在ったんだと思うよ」って。

その日から、ゆうさんはあーちゃんを寝かせつけた後に、少しずつ
本を読み進めた。

そして、3日後ぐらいだっただろうか。

あーちゃんが突然、不思議なことを言ったんだって。

なんて?

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第19章~占いと未来(29)

「ママ、ママも勉強した方がいいよ」って。

あーちゃんと一緒にいるときには本を読んでいなかったから、
そういう本を読んでいることをあーちゃんは知らないはずなのに、って
ゆうさんはびっくりしたらしい。

そして、10日後。

ゆうさんからこんなメールが来た。

「毎日、幸せだなあ~って感じてます」

ゆうさん曰く、図書館で借りて読んだ本が、
ゆうさんの心に変化を起こしたのだとか。

得体の知れないもやもやした気分がなくなって、
心が晴れて、そして、何の変哲もない日々の暮らしを
とても幸せだと感じるようになったんだって。

奇しくも、同時期に、以前ヒプノを受けたクライアントさんからも
同じようなメールをもらっていた。

「何の変化があるわけでもないけど、平穏無事に過ぎていく毎日を
幸せだなと思えることが幸せです」、って。

ママは、二人のこの言葉が本当に嬉しかったみたい。

毎日を、ああ、幸せだなって思って過ごせることが
どれほど幸せなことか、って。

「それでね、面白いんだよ。
あ~ちゃんがね、まるでゆうさんの気持ちに同調しているかのように、
”ママ、毎日楽しいね”って言うんだって」

あーちゃんはきっと魂の高い子だと思うし、もしかすると
このまま霊的な力が消えずに大人になっていくかもね・・・と、ママは呟いた。

「そういう人は、それなりの役目とか目的があるんだろうし、
そういった力を持つがゆえの悩みも出てくるだろうし、
だからこそ、母親であるゆうさんが支え、理解するために、
今、いろんなことを勉強してるのかもね」

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第19章~占いと未来(30)

ある夏の日、あーちゃんは保育園のビニールプールで水遊びをした。

そのとき、蝶々がひらひらと飛んできて、
「楽しそうだね。でも、私には水をかけないでね」って、言ったんだって。

ゆうさんは、今ではもうそんな話にも慣れっこになってきた。

だから、否定することもなく、普通に、「そう、良かったね」って
聞いてあげられる。

でも、少し困ったことも起き始めた。

「最近、あーちゃんを保育園に送って行くと、自転車から降りるときに
目に涙を浮かべてるの」

それが1週間以上も続き、心配になったゆうさんは先生への連絡ノートに
そのことを書いたんだって。

で、先生があーちゃんと二人だけの時に、「何かあったの?」って
聞いてくれた。

「そしたら、ほら、佳奈ちゃんって、すぐに叩く子がいたでしょう?
その子が、いきなりつねってきたり、大声で威嚇したりするのが
怖いって言ったんだって」

そして、自分だけではなくて、佳奈ちゃんが他のお友達を
叩いたり、つねったりしているのを見るだけでも、悲しくなって
しまうのだという。


それでも、佳奈ちゃんは本当はいい子だから、
佳奈ちゃんのことを好きなのだという。

「どうしたらいいんだろう?」とゆうさんは悩んでいた。

佳奈ちゃんのそういう態度を嫌だと思う子は、佳奈ちゃんを
避けて一緒に遊ばないようにしているらしいが、あーちゃんには
それはできないし、別に遊びたくないわけではない。

ただ、怖いだけなのだ。

だけど、普通の子供よりも純粋なゆえに感じる心も人一倍強いし、
「愛」を知っているので、邪険な態度をとることもしない。

ママはミミさんに相談してみるね、と言った。

ミミさんも小さい頃からあーちゃんと同じように霊的能力があったし、
今は女の子を育てているので、何かアドバイスをくれそうな気がした。

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第19章~占いと未来(31)

それで? ミミさんは何か言ってくれた?

「うん。ねえ、エフちゃん、面白いなあと思うんだけど、いつも
すっごく忙しくしているミミさんなのに、そういうときに限って
すんなり電話に出たりするんだよね~」

仕事中で電話に出られないとか、メールを送っても忙しくて
返事を忘れてたなんてこともしょっちゅうあるミミさんなのに、
ここぞという用事のときには、必ず連絡が取れる。

「それがいつも不思議でさ~。まるで、誰かが上から見てて、
大した用事じゃないときには繋がないんだけど、
本当に緊急のときには繋いでくれてる、みたいな」

ママは、「でもさ、本当にそんな気がするんだよね~」と言った。

それで? ミミさんは何て?

「ああ、そうそう、えっとね、あーちゃんは精神年齢がとても高いんだと
思うよ、って。
でもほら、(他の)子供にはあーちゃんの気持ちが伝わらないでしょう?
まだ幼いから。

だから、優しくすれば、いつか佳奈ちゃんが優しくなる、っっていう
あーちゃんの考えも、今は難しいって」

でね、あーちゃんには、こう言えばいいよ、って。

「もっと大きくなって、何か助けてあげられることがあったら、
その時に助けてあげればいいんだよ。でも今は(あーちゃんは
子どもなんだから、困ったことがあったら、先生とか大人の人に
助けてもらおうね」って。

ママは、それをゆうさんに伝えた。

佳奈ちゃんが怖いんだったら、傍に行かなくてもいいんだよ、という
ミミさんの言葉を伝えた時、あーちゃんは、
「佳奈ちゃんがかわいそう」と言って、ワッと泣いたのだとか。

でも、その後に、「もっと大きくなって、できることがあったら助けてあげる」
と言ったのだそう。

「そして、あーちゃんは次の日からは落ち着いてきたって」

良かったねえ! さすが、ミミさんだね。

「うん。ゆうさんが、ありがとう、本当にどうしていいのかわからなかった、
すごい助かった、って」


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第19章~占いと未来(32)

ちなみに、あーちゃんはその後も佳奈ちゃんとは遊んでいるが、
「自分のことも大事にしようね」というアドバイスで、
気持ちのバランスがとれたのか、動揺することは(今のところは)
なくなったんだって。

心の優しい子って、ややもすると、自分の気持ちを押し殺してでも
相手のために尽くそうとするところがある。
ミミさんもいつだったか、セッションでガイドに言われたんだけど、
「与えることだけが愛」と勘違いしてしまうって。

そのときは、「突き放すのも愛」だと悟りなさい、って言われたんだけど。

あーちゃんの場合は、佳奈ちゃんの、お友達を叩いたりする行動が、
彼女自身の性格ではなく、他の原因からそうなってしまうことを
本能で(というか魂レベルで)わかっているだけに、優しくしなくちゃ、と
思ってしまう。

そして、他の子なら叩き返すのに、あーちゃんは決してそういうことを
しないから、佳奈ちゃんにとっても好ましい存在である。

保育園に行きたくないわけでもない。
佳奈ちゃんと遊びたくないわけでもない。
佳奈ちゃんを嫌いなわけでもない。

でも、あーちゃんの小さい心は傷つき、おびえ、悲しくなってしまう。

大人になってからでいいんだよ、今は子どもなんだから、
周りに助けてもらおうね。

子どもって、生まれてからいろんな現実に直面していくわけだけど、
その都度、こうやって、誰かに助言を受けたり、対処方法を教えて
もらったりしながら成長していく。
何よりも大切なのは、傍にいる親がいつでも話を聞いてくれて、
一緒に考えてくれる、そして自分はいつも守られていて、安心できる
砦があるんだと思えること。
―だと、思うんだ、とママは言った。

「そうそう、ゆうさんがあーちゃんと話をした翌々日くらいにね、
保育園にお迎えに行ったら、なぜか佳奈ちゃんがやってきて、
ゆうさんに、ぎゅ~って(抱きしめて)して、って言ったんだって」

ゆうさんはびっくりしたけど、ぎゅーってしてあげた。

それを見ていたあーちゃんが、後で、
「佳奈ちゃんは大人の人に、ぎゅ~ってして欲しかった
んだよね」と言った。

ママはふと、佳奈ちゃんはもしかしたら、お母さんに抱きしめて
もらうことがないのかも、と思った。

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第19章~占いと未来(33)

「あのね、エフちゃん、今回のことでは
佳奈ちゃんも救われたのかもしれない」

え? どういうこと?

ゆうさんがあーちゃんに話をした翌日、
あーちゃんは(保育園で)佳奈ちゃんのそばへ行かなかったらしい。

そしたら、佳奈ちゃんが先生に連れられてあーちゃんの
ところへ来て、
「一緒に遊びたいの。
(今まで叩いたりして)ごめんね」って言ったんだって。

あーちゃんが、「もう叩かないでね」と言うと、
佳奈ちゃんは、うん、と頷いた。

そして、その翌日には
「いつも優しくしてくれてありがとう」と言ったのだとか。

今までは、叩いても、一度たりともごめんねと言ったことのない
佳奈ちゃんの口から、「ありがとう」という言葉が出た。

あーちゃんは、そのことを、ゆうさんに、
「初めてありがとうって言ってくれたから(今までのことは)もういい」
と嬉しそうに報告したのだとか。

その日の夕方に、ゆうさんがお迎えに行くと、
佳奈ちゃんが、ギュッってして、と言ったのだ。

その日以来、佳奈ちゃんは優しくなったんだって。

そして、保育園の先生が言うには、佳奈ちゃんは先生たちにも
「抱っこして」と甘えたりすることが出来るようになって、
性格が穏やかになってきてるんだって。

へえ? なんでかな?

「不思議だよね~、エフちゃん。
あーちゃんの心が変わると同時に佳奈ちゃんも変わって」

やっぱり、潜在意識の奥深いところで、みんな繋がってるからなのかな・・。

ママは、ふと、思いついたかのように、こう言った。

「そうそう、あのあとね、ゆうさんに言ったんだけど、
子どものあーちゃんにも今、できることがあるよ、って」

それは?

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第19章~占いと未来(34)

「それはね、祈り」

祈りは通じるんだよ、とママは言った。

霊能者の夏子さんも、いつだったか、
「祈りは地球の裏側にだって通じるのよ」(それくらいの力があるということ)
って、言ってたっけ。

「あのね、マザー・テレサのもとで、ボランティア志願のアンナという女性が
働いていたんだって。
ところが、彼女は難病に侵されてしまうの。
マザー・テレサは母国イギリスへ帰って養生することを勧める。

”ここにいて働きたい”と落胆するアンナに、マザー・テレサが、
”イギリスにいても、あなたにできることがあります。
祈ってください。祈りは大切な仕事です”って言うの」

あーちゃんも、祈ることができる。

佳奈ちゃんが毎日幸せでいられますように、って。

今は何もできなくても、祈ることができる。

そして、本当に祈りの力は通じるんだよ、ってママは繰り返した。


 第20章~ヒプノの世界

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