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聖なる樹のヒプノセラピー物語      

神様のお使い(1)

ママ:ねえ、エフちゃん、たとえ、「使命」とか「任務」とかを
    担っていたとしても、今生、自分がそれをしたくなけ
    れば、それでもいいみたいよ。
   
私:そうなの?

ママ:うん。 人間の自由意志は尊重されるんだって。

でも、ママの場合は、ヒプノの世界を知れば知るほど、面
白くって、楽しくて、ワクワクする気持ちを止められないので、
魂が心底望んでいるのだと思う、って言った。

以前に見た、古代ギリシャの過去世
ヒーラーの家系に生まれながら、その道を拒み、「普通の
女の子」の暮らしがしたくて、家を飛びだした。

そして、やはり、自分の生きる世界は違うと気づいたときに
は、もうヒーラーの力はなくなっていた。
「使命」を放棄したとき、大いなる存在にその力を取り上げ
られてしまったのだ。
自分の手を見つめて茫然としている姿が脳裏に焼き付いて
いる。
人を癒すことが出来た手。
神が授けてくれた手。
もはや、何の力もない、ただの普通の手になっていた。

深い後悔で泣き崩れるママ。

悲しみと絶望感に打ちひしがれて、町をさまよい、最後は
行き倒れのように死んでしまった。

過去世を再体験したときから、ママには、もう二度とあんな
想いをしたくないという気持ちが強く残っている。

今回は、絶対にやり遂げたい!って。

そして、「神様のお使いができるといいな」って。

私:神様のお使い?

ママ:そう。神様が何かをしたいときに、(肉体がないから)
   自分ではできないでしょう?
   そんなときに、上から見下ろして、「この人に頼もう」
   って、「お使い」をやらせてみるの。
   最初は隣のパン屋さんに行って、パンを買って来て、
   かもしれない。
   そのうち、「うん、大丈夫そうだから、少し遠くのお店
   まで行ってもらおうかな」、って。
   さらに、電車に乗って、隣町までのお使いを頼んでも
   大丈夫そうだな、って。

   そんな風に、だんだん遠くまで、だんだん複雑な「お
   使い」もできるようになったら、嬉しいなあって、思う
   んだ。

   そのために必要なのは・・・、きっと、「謙虚な気持ち」
   なんだと思う。

ママがそういう風に言う理由が何となくわかる気がした。

4年前、ママがヒプノの教室に通い始めた頃、毎日曜日、
「楽しい、楽しい」と夢見心地になっていたんだけど、2か月
ぐらい過ぎたある日、しょんぼりして帰ってきたことがある。

「あそこ(ヒプノの教室)は、やっぱり、ママのような(普通の)
人が行くところじゃないみたい・・・・」って。

私:どうしたの?

ママ:だってさ、みんな、普通の人じゃないんだもん。

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神様のお使い(2)

ママの話はこうだ。

その日、教室が終わった後に、スタッフのKさんと話をして
いた。
数週間ほど前に起きた火災事故の話になって、Kさんが
被害者の一人は友達だったと言った。
そして、実は3年前にその場面が視えていたと。

ママは、びっくりした。

ママ: Kさんはね、未来が見えるんだって!
    自分の意思とは無関係に、突然視えるんだって。
 
ある時は、教室で講義を受けている生徒一人一人の頭上に
未来がふっと見えたこともあると言う。

それに、ヒプノのセッションを受けていても、次にどんな場面
が出てくるのか、セラピストが何と言うのかまでわかるらし
かった。

逆にセラピスト側の立場に立った時は、クライアントが見て
いるものが同時に見えてしまう。

ママは、ただただ驚いていた。

その時、Kさんが、「マサコさん、あの・・・」と言いかけて
「あ、いや、やっぱりいいや」と口をつぐんだ。

「え?なに?なに?」と気になるママ。

しかし、Kさんは話そうとしない。

と、傍にいたミミさんが、
「彼女、足に気をつけて、って言いたいんだよね?」
そして、こう付け加えた。
「私、人の言いたいことがわかるの」

ママは、ぞおっとした。
目の前に立っている二人は、違う世界の人のように思えた。

その帰り道、ママは気持ちがだんだん落ち込んできた。
「あそこは、自分が居る場所ではない」という気がしたから。

そういう訳で、いつもなら教室の後は、はずむ気持ちを抑え
きれないぐらい興奮して帰ってくるママが、その日はしょん
ぼりしていたのだった。

理由はそれだけではなかった。
ヒプノに出会う前、ママは
コーチングの勉強を始めて、わず
か1か月で違和感を感じ、辞めてしまったことがある。
週2回、電話会議システムを使って、15名ほどの生徒たち
と、決められたテーマに沿ってコーチングのノウハウを学ぶ。

コーチ役、クライアント役に分かれてロールプレイもやるん
だけど、ママにはなんだかしっくりこなくて、「ここは私のいる
場所ではなさそう」と思った。

だから、ヒプノに関しても、「またか・・・」と思ってがっかり
したのである。

コーチングの時は、ワクワク感がなかった。
それもそのはずで、コーチングは顕在意識下で行うものだ
から。

もともと、ママの魂が求めているのは、潜在意識下の世界
でのことだから、顕在意識の方には興味が湧くはずもない。

でも、この時のママは、まだ自分の魂の目的を思い出して
いなかったから、せっかくワクワクする世界と出会ったのに、
資質的に無理のようだと思って、落ち込んでいた。

(先にコーチングを学んだのは、顕在意識の世界につまず
くことによって、潜在意識の世界に目を向けさせるための
プロセスだったのだけど、このときのママは、そんなことは
知る由もなかった)

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神様のお使い(3)

そのとき、そばで聞いていたみつるお兄ちゃんが、
「ママ、大丈夫だよ!」と言った。

みつる:だって、ユーリさんだって、ヒプノをやってるうちに
   だんだんいろんな力がついてきた、って言ってたよ。

ママ:え? ほんと?

みつるお兄ちゃんは、ユーリさんに会ったことがある。

ユーリさんはママが尊敬しているヒプノセラピストさんである。
中性的で、なんというか、かなり不思議な人。
淡々と生きている(ように見える)。

真理への探究心はすごいものがある。
心理学への造詣も深く、クライアントさんひとりひとりに適切
な話をしてくれる。
それも、静かに、語るように。

ユーリさんもまた、「普通の人」ではない。

だからこそ、ママはヒプノは、そういう、「普通じゃない人」が
やるものだと思っていた。

ママは、お兄ちゃんの言葉に少し救われたけど、でも、やっ
ぱり、そういう力って、生まれつきのような気がした。

それでも、ヒプノを学ぶことは楽しくて楽しくて、ママは、
はやる気持ちを抑えきれず、嬉々として、教室に通い続けた。

そしたら。

「あれ?」って思うことが、少しずつ起き始めたのだ。

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神様のお使い(4)

半年が経過した頃だっただろうか。

教室では、講義の後に、ペアを組んでセッションの練習を
やる。

あるとき、ママは、セラピスト側を練習していた。
「超意識さん(高次の存在)、出てきて下さい」と言った、
そのとき。
目の前に、なんだか、金色のおじいさんのような人が見え
たような気がした。

こんなこともあった。

ミミさんとペアを組んだとき。
ママがセラピスト役になった。
リラクゼーションを始めると、リクライニングチェアに座ってい
るミミさんの足元に、妖精が現れたのだ。

ミミさんは、小さな頃から霊力が高くて、妖精が見えたり
していた人なので、きっと、こんな風にいつもそばで見守っ
てくれているんだなあって、ママは思った。

また、ある時は、クライアント役になっている美帆さんの姿
が、一瞬、中性ヨーロッパの女性に見えたこともあった。

そして、植物との対話も始まった。

でも、どれも、ママにとっては、「錯覚」とか、「気のせい」
に思えるのだった。

何しろ、先生や他の生徒さんの能力がすごすぎて・・・。

1年後に教室を修了して、ママはさらに別のヒプノの教室に
通い始めた。
仲間もそれぞれに、エネルギーの使い方を勉強したり、レイ
キを極めたり、ヒーリングを学び始めたりしていた。

そして、勉強会で毎月集まるたびに情報交換をしていたん
だけど、みんな徐々に「目覚め始めて」いた。

ママ:やっぱり、そういう勉強をしていると、直感が鋭くなる
    みたい。・・・・っていうか・・・。

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神様のお使い(5)

ママ:小林正観さんが、著書の中でこんな風に言ってるの。

   「超能力は本来すべての人が持っています。すべての
   人が本来みんな超能力者ですが、ほとんどの人がこの
   力に気づいていません。
   人間の持つ意識のうち、顕在意識が15%、潜在意識
   が85%というのが通り相場ですが、よほど優秀な人で
   25%、アインシュタインでさえ40%ぐらいしか使ってい
   ないそうですね。  
   普通の人でいえば、85%の未開発部分をどう広げる
   か・・・、それが超能力を開発するテーマでした。問題
   は、隠されている能力が開けるかどうかなんですね。
   そこを開いて85%の世界につながり、それを使いこな
   せるようになると人生が一変しますよ、というのが私の
   得た経験でした」
            ~『宇宙方程式の研究』より

私: つまり、目に見えない不思議な力って、誰でもが持っ
   ているってこと?

ママ:うん。そうみたい。
   そもそも、人間って、「魂」の時は、万能なわけでしょ?
   言葉を介在させなくても、相手の考えていることがわか
   るし、時間も空間も超えて、自由自在にどこへでも行け
   るし。食べる必要もないし、眠る必要もないし。
   想念の世界だから、自分の想ったものはそのまま現実
   になるらしいし。

私:この世界でいうところの、透視とか、瞬間移動とか、念
  力とか・・・。すべて揃っているんだ。

ママ:でも、ひとたび「肉体」という着ぐるみを着ると、そうい
   う力がなくなっちゃう。

私: なんでかなあ?

ママ:人間は輪廻転生を繰り返すけど、生まれる時は過去
   の記憶を消してくるでしょう?
  だって、今生の人生の青写真を決めてきても、その記憶
  があったら、先々起きることが全部わかってるわけだか
  ら、つまらないじゃない?

  まるで、最初から犯人が誰かを知りながら推理小説を
  読んでいくのと同じだもの。

  だから記憶は消して生まれてくる。

  そして、肉体を持つことで、人間が本当は光の存在で、
  いろんなすばらしい力を持っているんだってことも忘れ
  ちゃうみたい。

  でも、スピリチュアルな世界のことを知って、勉強を始め
  ると、そういうことを少しずつ、思い出していくみたいなの。

私:新しく「知る」んじゃなくて、「思い出す」んだ!

ママ:うん。 

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神様のお使い(6)

そう。「思い出す」らしい。

「こんなことができるようになった」、のではなく、
「もともとできる力があった」ことを思い出す。

仲間の中で目覚ましかったのは、Hiroさんだった。
ヒプノの教室を修了して3か月後に会ったとき、彼女は
いろんなものの「エネルギー」を感じられるようになっていた。

物や、人や、空間や、あらゆるもののエネルギーを。

ある時は、こんな話をしてくれた。

Hiro: 仕事が終わって、いつものように地下鉄の駅に向
   かったの。階段を降りていくと、なんだかいつもと違う。
   違和感がある。し~んとして、人の声が聞こえない。
   でも、ホームにはたくさん人がいる。
   不思議に思って周りを見回していたら、少し離れた所に
   立っている親子 (父と息子)がふと目に留まったの。
   その途端、ぞっとして!

ママは、次の言葉を固唾を呑んで待った。

Hiro: 人間じゃない!って思った!
   私がそう思った瞬間、その親子が私の方に向かって
   歩き始めたの。

ママ:(こわ・・・・・!)

Hiro:私は目を合わせないようにしてた。
   だけど、その親子は、私の横を通り過ぎる時に、ちらっ 
   と私を見たの!
   まるで、 「なんでわかったんだ?」っていうような目をして。   
       
   私、こわくて! 彼らはそのまま階段を上って行った。

私:人間じゃないって・・・。 じゃあ、一体・・・?

ママ:Hiroさんが、後日、エネルギーの使い方を教わって
  いる先生にその話をしたら、先生が透視してくれて、
  「ああ、宇宙人ね」って!

Hiroさんは、1週間後にまた同じような経験をしたのだそう。

私:なんで急にそんな風になっちゃったの?

ママ:たぶん、Hiroさんのもともとの力が急に開花して、
  今までだったら繋がることのなかった次元とか空間に
  チャンネルが合うようになったからじゃないかな。

気をつけなくてはいけないことは、潜在意識を開きっぱなし
にしないことである。

スピリチュアルな世界のことを知ると、面白くて、興味深くて、
どんどん勉強をしていく。
そうすると、潜在意識の世界に繋がることも多くなっていく。
そして、自分でも気が付かないうちに、いつの間にか
潜在意識が開きっぱなしになっている。

Hiroさんの場合も、日常的に潜在意識が開きっぱなしに
なっていて、たまたま、現実とはちょっと違う世界につながっ
ってしまったらしい。

私:でも、どうやって、潜在意識を閉じておくの?

ママ:ああ、それはイメージでやればいいんだって。
  たとえば、普通、ネジって右に回すと締まるでしょう?
  だから、頭の上にネジがあって、それを右に回して締める
  イメージをするとか。
  あるいは、(額の)サードアイの辺りを、窓を閉めるとか、
  ブラインドを下すイメージでシャットアウトするとか。

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神様のお使い(7)

ママ:Hiroさんがこんな話もしてくれた。
   ある時、エネルギーの教室のときに、一人の生徒が
   最近、膝が痛いって言ったんだって。
   でも、病院に行って調べても、どこも悪いところがない
   って。
   で、先生がエネルギーワークをやってくれたんだって。

  そしたらね、膝の裏から、細いヘビがしゅるしゅる、って
  出て行ったんだって!
  そこに居た人たち、全員が見えたんだって!

私:そ、それって? なに・・・?

ママ:ある人の「怨念」らしいよ。
   本人も思い当たることがあるって。
   でも、そのヘビが「見える」、ってすごいよね。

人間が持つ本来の能力に目覚めたのは、Hiroさんだけで
はなかった。

美帆さんがある時、「人の頭の上に白い煙が見える」と
言い出した。

美帆:最初は目の錯覚かと思ったの。でも、常時、見える
   ようになってきて・・・。

ミミさんが「それ、幽体だよ」って。

ママがみつるお兄ちゃんに
「ねえねえ、美帆さん、すごいんだよ!」って
そのことを話したら、
お兄ちゃんが
「ああ、ぼくも見えるよ、夜、外の木とかじ~っと
みると、白いものが出てるよ」
と何でもないかのように言ったので、ママはびっくりした。

美帆さんはその後、力が開花して、人の病気も治せるよう
になっていった。

勉強を続けていた仲間はみんな、少しずつ変化していった。

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神様のお使い(8)


私: そういえば、ママ、「タロットカード事件」があったじゃ
   ない?

ママ:そうそう!

勉強会を始めてちょうど1年後。
最後の勉強会の日。

ママは買ったばかりのタロットカードを持っていた。

一週間前、何気なく立ち寄った古本屋さんで目に付いて
買ったものだった。
「あ、タロットカードがある。しかも、新品」と思って、すぐさま
レジに持って行ったのだ。

だけど、不思議なことに、家に帰ってから、カードが入って
いる袋を開けることもなかった。
ママが、透明な袋越しに見えている、一番上のカードを指さ
して、「このカードの絵、ちょっと漫画チックだよね」と言って、
お兄ちゃんも、手に取って「ほんとだ」と言ったのに、
なぜか、誰も袋を破いて他のカードを見ようとはしなかった。

ママは、勉強会の時に、ミミさんに使い方を教わろうと思って、
そのままにしておいた。
(ミミさんは占い師で、タロットカードも扱っている)

当日、
「ねえねえ、このカード、買ったんだけど」とみんなに見せ
ると・・・・。

部屋の空気が一瞬にして凍りついたかのように、し~んと
なった!

「え? なに? なに?」と、うろたえるママ。

皆が異口同音にこう言った。
「どうしたの? そのカード!」

それは、(なんで、そんな不気味なカード持ってるの?)と
言う風に聞こえた。

カードの以前の持ち主の、すさまじい悲しみがカードから
ひしひしと感じられるのだという。

ママは、ぞっとした。

Hiroさんが一生懸命、浄化してくれた。

ミミさんが、「マサコさん、そのカードを見た時、何も考えずに
すぐ買ったでしょ?」と言った。

そう言われれば、そうだった。
「あ、タロットカードだ」と思って、手に取って、即刻、レジに
行った。

私: つまり、「買わされた」ってこと?

ママ:らしい。

以前の持ち主は、何らかの事情があって、そのカードを
一度も使うことなく、手放してしまった。
大きな悲しみを抱えていたようだ。

カードは、人に使われてこそ価値があるので、売られて
しまったカードもまた悲しい思いをしてしまったのだろう。

みんなで浄化して、(波動が)きれいになったカードを、ママは
翌日、別の古本屋さんに持って行った。
レジでお店の人に渡すとき、心の中で、
「今度は大事に使ってくれる人の手に渡りますように」と
祈った。

そして、お店を出て、歩き始めると。

「ありがとう」っていう声が聞こえた。
ママは驚いて、思わず、空を見上げた。

そっか。
そういうことだったんだ。

私:ママに助けを求めたんだね?

ミミさんからは、
「あんまり、何でもかんでも助けてあげたいって思ってると
いろんなものを引き寄せるから、気を付けてね」って、釘を
さされてしまった。

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神様のお使い(9)

直感が少しずつ鋭くなっていったけど、それだけではなかった。

ママ:「シンクロニシティ」っていうのも、多くなってきたんだ
   よね。

私:それ、なあに?

ママ:「偶然の一致」とか、「共時性(きょうじせい)」とか言わ
   れてる。

私:ああ、あの「孫の手」のときみたいな?

ママ:それ、それ!(笑)

面白いことがあった。
ある時、ママが背中が痒い!って言い出して。

ママ:背中に手が届かない!「孫の手」があったらいいのに。
   どこに売ってるのかなあ?
って。

その2日後。
ママが100円均一の店内にいたときのこと。
後ろにいた若いカップルの会話が聞こえてきた。

男:あ、おれ、「孫の手」が欲しい。買っていい?
女:うん、いいよ!

(えっ?ここに「孫の手」、売ってるの?)
ママが振り向くと、陳列棚の端に、「孫の手」が数本ぶら
下がっていた。

それから、こんなこともあった。

あるとき、ママは、自転車でお買い物に行っった。

駅付近の大通りを走りながら、
(そうだ、○○さんに、JTBの旅行券を贈ろうかな)って、
思いついた。

そして、
(この辺にJTBって、あるのかな)って思った瞬間、横の
細い路地から、自転車が飛び出してきた。

きゃっ!危ない!って、ママは止まって、その人が横切る
のを待ちながら、ふと、その路地に目をやると、
「うっそ~!」


大通りから路地に入る角にはビルが建っていて、その1Fに、
JTBの看板。

あの時は本当にびっくりしたなあ、って、ママ。

それに、もっと日常的なことで言うと、
スーパーでお買物をしているときに、ふとケチャップに目が
留まり、(なんだろう?でも、目に留まったから買っておこう)
と買って帰ると、ちょうど家にあったケチャップを使い切って
しまう寸前で、その日はオムライスを作る予定だったから、
助かったとか、

なぜかパン粉に目が留まって買ったら、その日、揚げ物を
作っている途中でパン粉が足りなくなり、買っておいて正解
だったとか、
そんなことが多々起こり始めた。

私:ママ、すご~く日常的!

ママ:だって、本当だもん。(笑)

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神様のお使い(10)

こんな不思議なこともあった。

ある日、ママは古本屋さんで1冊の本に目が留まった。

内容はこんな感じ。
1人の女性がたまたまレイキに出会ったのがきっかけで
精神世界のことを勉強するようになっていく。
ヒプノもやるようになるのだが、彼女は次第にチャクラに手を
当てるだけで、その人の過去世が見えるようになっていく。

そして、世界を股にかけて、不思議な出来事が次々に
起きるようになっていく。

「出来事」というのも、あまりにもスケールが大きすぎて、
「事実は小説よりも奇なり」とはいうけれど、本当にこんな
ことあり得るの?っていうくらい、すごい内容なのだ。

ママは一気に本を読み上げて、どうしても著者に会いたく
なった。

会いたくて、会いたくて、その気持ちが止められない。

その著者は、幸い、ママと同じ東京に在住しているし、レイキ
を教えているようだった。
ママはレイキを教わる必要はなかったんだけど、会うために、
申込みをした。

私:それで、どうだったの?

ママ:うん。なぜ会いたい気持ちが止められなかったのか、
   わかったの。
   その人ね、過去世でお父さんだったの。

私:ママのお父さん?

ママ:うん。レイキヒーリングを教わっている間に、この人と
   どんな関係があったのかなあって、ぼんやり考えてみ
   たら、インディアンの部族が見えてきたの。
   その人がお父さんで、ママは息子だった。

  2回目のワークを申し込んだときも、同じように見てみた
  んだけど、同じものが見えた。ママは10代の息子で、
  その人はお父さん。

私:だから、懐かしくて会いたくなったのかな?

ママ:そうかもね・・・。
   いま、同じ日本に生まれて、親子で同じような仕事を
   してるんだなあって、感慨深かった・・・・。

もちろん、その人にはそんな話はしないし、魂も再会した
ことで満足したのか、それっきりになったんだけど。

「お父さん、頑張って。私も頑張るからね、って、そんな気
持ちかな」
ママはそう言って、にっこり笑った。

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神様のお使い(11)

そんなこんなで、ママも、仲間も、みんな少しずついろんな
変化が起きていったんだけど、そうなればなるほど、ママの
脳裏をよぎるのは、あの木村藤子先生の言葉だった。

ママが木村先生をたずねたとき、先生は最後にこう言った。

「みんな同じ。みんな同じなんですよ」って。

その言葉はママの魂に刻まれた。

でも、そのときは意味がわからなかった。

ママ:今はね、エフちゃん、少しは理解できるようになったと
   思うんだ。
 
   人は輪廻転生を繰り返しながら、自分で決めてきたテー
   マをクリアしたり、学んだりしながら魂を磨いてるわけ
   でしょう?
   そのために、いろんな経験をする。
   いろんな経験をするために、さまざまな役柄を演じる。

   たとえば、ここに12色のクレヨンがあったとして、すべ
   ての色を体験したいと思ったとするじゃない?

   今回は赤色を体験したくて、赤に生まれてくる。
   周りには青色の人もいれば、黄色の人もいる。
   そのときに、自分が赤色だからって、違う色の人をうら
   やましがったり、馬鹿にしたりするのはおかしいよね?

   だって、自分も過去には青だったかもしれないし、来世
   は黄色かもしれないしでしょう?

   そうやって順番にすべての色を体験するんだから、
   結局、「みんな同じ」なんだと思うんだ。

   たまたま、今生で体験している色が違うだけだよね?

私はちょっと想像してみた。

12個の魂がクレヨンの箱の前で、
「私は赤にしよう!」「僕は緑かな」とわいわいがやがや、
なりたい色を選び、個々の色をまとったとする。

色をまとった途端に、自分がその色を選択してきたことなど
すっかり忘れ、人生をスタートさせる。

そして12個全員が、順々に人生を終えて、再び魂に戻ると、
「どうだった?赤は?」
「うん、情熱的な人生で楽しかった。青さんはいつも冷静だっ
たね」
「そうだね、淡々としてたから、次は赤になってみようかな」
な~んて、感想を述べ合ったり、次なる人生に胸を膨らませ
たりしてるんだろうか。

ママは、再び、「みんな同じなんだよね」って言った。

「だから、ちょっとメッセージを受け取れたり、何かが見えた
り、感じられたりしても、それを ”自分は特別”とか、”人と
違う”とか思うのは、勘違いだと思うの。

小林正観さんが言うように、そんなのはすべての人が持ち
合わせている能力だから」

そして、今、たまたまその能力を思い出せたのだとしたら、
それを「人のために役立てたい」とママは思っている。

私:それが、「神様のお使い」なんだね?

ママ:うん。思い上がったり、傲慢になったら、「神様のお使
   い」ができなくなる気がする。
   ヒプノのセッションをやっていて最近とみに思うんだけど、
   自分は媒体として使われているだけだなあって。

だから、「謙虚でいること」はとても大切だとママは言った。

自分が媒体だとわかっていて、謙虚でいればいるほど、
神様にとって「使いやすい」存在のような気がするから。

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神様のお使い(12)

精神世界のことを勉強する人は、ヒーラーや神職などの
過去世があることが多い。

ママは、セッションでそういった過去世が出てくると、
「その場を離れて、客観的に見て下さい。どんなことが起き
ていますか?」というようなことを聞いてみる。

今のところ、答えは全員同じ。

「上から光が降りてきて、私の体を通して、患者の体に
届いてます」と言った感じ。

先日も、ある人の過去世を見に行くと、1,000年位前の巫女
さんだった。
神社でお勤めをしていて、村人たちが悩み事を相談にくると
助言をするのだとか。

ママが、「その助言は、あなたが自分の頭で考えているの?
それとも、他の存在の人がやってるの?」と聞くと、
「姿はないけど、神様のような存在の人が、私を通して
やっています」と答えた。

やっぱりなあ、ってママは思った。

ママ:それでね、エフちゃん、一体、どんな人が媒体に選ば
   れるんだろう、って疑問に思ったの。

ママ:それで、あるとき、上に聞いてみた。
   そしたらね、面白いことを言われたの。
   ”誰でも媒体になり得る”って。

   誰でもいいんだって。
   だけど、神様が上から光を流した時(通したとき)に、
   体の中に、パーッって、いっぱい拡がっていく人と、
   ほんのちょろちょろしか流れない人がいるんだって。
   つまり、人によって、流れる光の量とか、通り方とかが
   違うんだって。


私:(体の中に光がぱあっと拡散していく人と、
 通した光が体の細胞に吸収されて無くなってしまう人?
 そんなイメージかな・・・?)

ママ:それでね、たくさん流れる人っていうのは、いわゆる
   精神世界のことをよく知ってる人や、執着を手放して
   いたり、愛に溢れてる人、そういう人なんだって。
   そういう人は、光を通しやすいんだって。

ママは、話しながら、
(ああ、そっかあ。だから、自分は特別な人間、みたく傲慢
になると、”当たらなくなったり”するんだ)と思った。

そんな話を聞いたことがある。
良く当たると評判の占い師や霊能者が、お金に溺れたり、
自分の力を利用して人を騙したりした挙句、だんだん当た
らなくなってしまったって。

人の役に立てるために授かった力なのに、違う方向に行って
しまったから、「上から取り上げられた」のかと思っていた。
そうではなくて、神様が今までと同じように光を通しても、
通りにくくなってしまったのかもしれない。

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神様のお使い(13)

「愛に溢れたヒーラーっていえば、やっぱり美帆さんだよね」
って、ママ。

最初の教室で一緒にヒプノを学んだ仲間なんだけど、
ヒーリングの力がどんどん開花していった。

仲間で集まって勉強会をやっている最中に、突然
ぼ~っとしているときがあって、みんなから
「どこに行ってるの~。戻っておいで~」って、からかわれて
いたりした。

眠いのかしら?ってママは思っていたけど、後々になって
わかったことは、本当に「どこかに行っていた」のだった。

私:どこに?

ママ:神様の領域?
  いわゆる、「無の世界」?
  自分でも気づかずに、突然意識がそこに飛んでたみた
  いよ。

2012年になって、人の頭の上から白い煙みたいなのが
出てる!って言い出して、だんだん、それが見えるのが
当たり前になってきた。

ヒーリングに興味を持って、自分なりにいろいろ勉強して
いたんだけど、あるときから、病気を治すことにチャレンジ
するようになっていった。

ママ:最初はね、「血豆を治す」とかね、(笑)
  そんなことをやってたんだよね。
  「朝、子供がドアに指を挟んで血豆ができちゃったから、
  ヒーリングしてみたら、夕方には治ってた!」とかね。

半信半疑だったけど、頑張って練習を続けてた。

そして、遠隔で治す練習もやるようになったある日、
神様がすごい舞台を用意してくれた。

2012年の12月のことだった。

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神様のお使い(14)

私:すごい舞台?

ママ:うん! 癌を治したの。

私:ヒーリングで?

ママ:そう。しかも、遠隔で。

そうなのだ。
美帆さんは、癌を治してしまった。

ある日、美帆さんからメールがきた。

「今晩、ヒーリングの遠隔で、友達の友達のお母さんの癌
に働きかけるの。医者にも、地元のヒーラーにも見放された
のでお願い、って頼まれて。
だめもとで申し訳ないけど、できることはやってみようと思うの。
癌なんて最終目標だし、練習足りてないし、でも、やってみ
る。神様、助けて!」って。

翌日、再びメールが来た。
「昨夜はやれるだけのことはやってみた。後は天命を待つ
のみ」

その後、気になってはいたが、ママも美帆さんも年末年始
は忙しくて連絡を取る暇もなかった。

そして、年が明けて、2013年、1月。

「子宮癌の全摘出、回避しました!」という短いメールが
届いた。

聞けば、友達の友達のお母さんは子宮癌で、子宮全摘出、
加えて周囲のリンパ節も摘出しなければならないだろうって
言われていたらしい。

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神様のお使い(15)

私: それが治っちゃったの?

ママ:だって!! すごいよね!

ご本人はあちこちの病院へ行ってみたが、子宮全摘出と
周囲のリンパ節摘出の診断は変わらなかった。

最後は神頼みで、地元で評判のヒーラーのところを訪ねたり
もしたが、治ることはなかった。

そんなとき、たまたまヒーリングを勉強している美帆さんの
ことを聞いて、だめもとでいいから、やってみて欲しいと
頼んできたのだそう。

藁にもすがる気持ちだったのだと思う。

ママ:美帆さんがヒーリングをしてから、ちょうど1か月後くらい
  に、手術前の検査で病院に行ったんだって。
  MRIを撮ったりしたらしいんだけど。
  その結果説明を聞くのにすご~く待たされたんだって。

  たぶん、先生たち、画像を見て、信じられなくて、大慌て
  だったんじゃないかなあ。
  だって、癌が消えてるから。
  病院側も誤診だったと思われると大変じゃない?
  外科部長とか、先生たちが何人も出てきて、
  なんか、説明もしどろもどろだったらしいよ。(笑)

  で、とにかく癌はないわけだから、手術も必要なくなって、
  そのまま帰宅したんだって。

私:すご~い!

ママ:すごいね。美帆さんの友達の友達が、診察後すぐに
  メールをくれたらしいんだけど、あまりの驚きで、メール
  を打つ手が震えちゃったって! 

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神様のお使い(16)

美帆さんのヒーリング力は本当にすごいものだった。
彼女はとても愛に溢れ、かつ純粋な人なので、そういった
ことも力の大きな要因になっているのだと思う、ってママは
言った。

癌を治したことを聞きつけた知人・友人たちが、
「こういう人がいるんだけど、お願いできないかな」って、
いろんな相談を持ち込むようになった。

ママ:そして・・・。

私: そして?

ママ:美帆さんの苦悩が始まったの。

一番の苦悩は、本当にヒーリングの力で治ったのだろうか
という疑問。

ママ:なぜ、どうして治ったのか、解明できないじゃない?
   目に見えない世界のことだし。

それに輪をかけて美帆さんを苦しめたのは、治る人と治ら
ない人がいるという事実だった。

「自分の力が足りないからだ」って、美帆さんは自分を責め
るようになっていった。

でも、ママにはそうは思えない。

ママ:だって、私たちは神様じゃないんだから。
   来る人来る人、一人残らず治せるはずがないでしょう?

それに、癌のときは、癌自体が消えたので、はっきりと効果
を確認できたけど、他の病気で症状が軽くなっていたとして
も、気づけない可能性がある。

だけど、せっかく自分を頼ってくれたからには、なんとか
治してあげたいと思う美帆さんには、
「なぜ、治せないのか」、それが苦しみなのだった。

それで、ママはあるとき、美帆さんがヒーラーだったときの
過去世を見に行ってみることにした。

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神様のお使い(17)

2013年3月。

美帆さんから突然メールがきた。
「明日の日曜日、空いてる?」

ママが「空いてるよ~」って返事を返して、
美帆さんが翌日やってきた。

「なんだか、波動が悪くて」って、美帆さんが言った。

(う~ん・・・・)
ママはどんなセッションにしようかと考えて、ハイヤーセルフ
に直接会いに行くことにした。

自分がリラックスできる場所を想像して下さい、と誘導する
と、美帆さんは、「海が見える小高い丘の上にいます」
と言った。

ママ:砂浜を歩いて行って下さい。
   そうすると、ハイヤーセルフが待っていますよ。

美帆:髪の長い、白い服を着た女性がいます。

ママがハイヤーセルフに向かって、今の美帆さんに必要な
アドバイスを下さい、とお願いする。

ハイヤーセルフ:笑顔を忘れていますね。

そうだ。
美帆さんは最初の教室でヒプノを学んでいた頃から、繰り
返し繰り返し、「笑顔でいなさい」ってアドバイスされている。

ママは、なぜ、「笑顔でいること」が大切なのかを知ってい
る。
以前、潜在意識下で聞いたことがあるのだ。
「なぜ、笑顔でいることが大事なの?笑顔でいると、どうな
るの?」って。

そのとき、笑顔になると、その人の波動ががらりと変わる
ということを教えてもらった。

癌患者が、お笑いのビデオを毎日毎日見て笑っていたら、
いつのまにか癌が消えていたというのを聞いたことがある。

作り笑いでもいいから、とにかく笑顔になること。
笑顔は、自分で自分の波動を上げることのできる、とても
手軽で効果的な方法なのだという。
そして、実際にモチベーションが上がる感覚を体感させて
もらった。

ママ:顔の表情が変わるだけのことなのに、不思議だよ
   ね~。こんなに自分の波動が変わるなんて。

だから、悲しいとき、つらいときこそ、無理にでも笑顔を作る
ことで、自分を救うことが出来る。

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神様のお使い(18)

ハイヤーセルフは続けてこう言った。

ハイヤーセルフ:ひとつひとつをよく見てみなさい。
   ひとつひとつ、無駄なものはない。
   自分に何が求められているのか、何が必要なのか、
   ていねいに見ていきなさい。
   (あなたの)目を開きなさい。
   ただ嘆くだけでは、(大切なものを)見逃していく。

美帆:私が、自分のヒーリングの力を信じられないのは、
   何故ですか?

過去世で悲しい想いをしたことがあるから、とハイヤーセル
フは答えた。

ああ、やっぱり、とママは思った。

ママ:今、その感情を解放したいですか?

美帆:少しだけ見に行ってみます。

ママはその過去世へと誘導する。

美帆:白い部屋の中に女性がいます。大人です。
   髪が長くて、白い服、丈の長いワンピースのようなも
   のを着ています。

ママ:そこで何をしているの?

美帆:仕事をしています。
   困ってる人が来るのを待ってます。

ママ:困ってる人が来たら、どうするの?

美帆:病気を治します。

実際に治している場面を見に行く。

美帆:患部に手を当てています。

ママ:いつからその仕事をしているの?

美帆:小さいときから。

そして、「この仕事はとても好きだし、楽しい」と言った。

ママは、治しているときに、どんなことが起きているのかを
客観的に見て下さい、と言った。

美帆:患部に手を当てると、上から光が降りてきて、手から
   流れています。手が光を集めている感じ。
   私は、その患者がよくなりますように、って祈ってる
   みたい。

そして、少し涙声でこう付け加えた。

美帆:すごくピュアな気持ちでやってます・・・。
   馬鹿なくらい・・・・・ピュアな気持ち・・・。
   あまりにも無防備・・・。

ママは、そのとき降ってきた質問をしてみた。

ママ:もし治らなかったらどうしよう、って考えたことはある?

美帆:(即座に)いいえ!
   (明るい口調で)治してるのは私ではないし、
   治せないのも私ではないから。
   すべては神様が決めること。

ママが、
「生まれ変わったら、またこの仕事をしたいですか?」と
聞くと、美帆さんは、ためらいがちに、「こわい・・・」と呟いた。

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神様のお使い(19)

美帆:なんだか、ひどい目にあったみたい・・・。

ママはその場面へと誘導する。

美帆:悪意とか、意地悪のような、「黒いもの」をいっぱい
    感じる・・・。
    私のことを、「普通じゃない」「怪しい」「気持ち悪い」
    って。そんな黒いもの(感情)をいっぱい感じる・・。

   私は広い所にいます。
   柱に縛られてる・・・。 痛い・・・。

ママ:あなたに何が起きたの?

美帆:ある日、突然、兵士?警察?のような人が3~4人
   やってきて、私は無理やり連れて行かれた。
   私のことを嫌いな人たちがいるの。
   「魔女がいる」「気持ち悪い奴だ」「得体の知れない奴
   だ」って。

彼女はその場所で処刑されたようだった。

最後に、こう言い残した。

「なんで? なんで? どうして?
 私を嫌いなの? なんで嫌いなの?
 なんでそんなに黒い気持ちを、私にぶつけるんだろう?」

ママは、ため息をついた。
とても悲しい場面だった。

死の場面を通り越して中間世へ行く。

ママ:今の過去世を見て、どうですか?

美帆:彼女を見て、羨ましいと思った。
   ピュアだけど、無駄なものが何もない。
   「愛のみ」で。

過去世の彼女は自らが「媒体」であることを認識して、無心
に、ただひたすら、「神様のお使い」をこなしていた。
治せなかったらどうしようとか、治さなくてはいけないとか、
余計なことは考えずに、心からその仕事に勤しんでいた。

そういえば、美帆さんが来たときに、首や肩がすごく凝って
ると言ってたっけ。
ハイヤーセルフはその原因を、
「あなたはまるで、鎧を着て縮こまっている感じ。
(ヒーリングが)出来なくてはいけないと思い込むあまり、
自分をリラックスさせようとしない」と言っていた。

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神様のお使い(20)

美帆さんは、過去世の彼女のことを、
「少し頭が弱いんじゃないかと思うぐらい、何も考えない。
でも、その分、無駄がない。
そのせいで、殺されたけど・・・・。
あのピュアさが羨ましい・・・」と言った。

中間世で、彼女に会いに行ってみた。
あんな形で処刑されたことを、どう思っているのだろう。

美帆:彼女は、とってもピュアだったから、傷ついてる。
   自分のやり方がいけなかったのかな、
   じゃあ、どうすれば良かったのかな、って・・・、
   考えてる・・・。

ママ:生まれ変わりの美帆さんから、彼女に言ってあげたい
  ことはありますか? 彼女はいけなかったの?
  あなたの気持ちを言ってあげて?

美帆:いけなくなかった・・・。
   一生懸命生きて・・・。
   すごくピュアできれいだった・・。
   でも・・・・・。かわいそうだったね・・・・・。
   あの世界で、あなたみたいな人は生きていけない・・・。

ママは、少し考えて、こう言った。

ママ:沢山の人たちが彼女に救ってもらった。
   その人たちからの感謝と、ありがとうの気持ちを
   受け取って下さい。

美帆:彼女は、決して感謝されたかったんじゃない。
   ただ普通に、あたりまえのことをしてただけ。
   だからありがとうって言ってほしかったわけじゃない。
   ただ、どうして「黒い想い」があるのかが理解できな
   かった。
   だから、こわかった・・・・。
   なんで、あそこでは「黒い想い」が渦巻いてる?
   こわい、って。

彼女の魂はとても傷ついている。
今、ここで何をしてあげられるんだろう?ってママは考えた。

そうだ。
「黒い想い」を持っていた人たちも、今はもう魂だけの存在に
なって、「光」の中に帰っているはず。
自分たちが彼女にやったことを、今この視点から見てどう
思うのか、聞いてみるのはどうかな・・・。

でも彼女は、怖くて、彼らと会うのを拒んだ。
それほどに、彼女の魂の傷は深かった。

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神様のお使い(21)

ママはハイヤーセルフに尋ねた。

美帆さんが彼女の影響を受けることのないように、なんとか
癒してあげたい。それには、どうしたらいいんですか?って。

ハイヤーセルフ:パイプを太くすること。

ママ:具体的には?
   傷ついた彼女の人生はもう終わっている、
   でも、その感情が美帆さんに深く残っていて、影響し
   ているんです。

ハイヤーセルフ:それを学ぶために今の人生がある。

ママ:(そうだったんだ!)

ハイヤーセルフ:今日この過去世を見せたのは、彼女の
   ピュアさを思い出させるため。
   彼女は「黒いもの」に目を向けなかった。
   向ける能力がなかった。

   「黒いもの」を理解して、受け入れる。
   それが(美帆さんの)今生の課題。
   でも、「黒いもの」に巻き込まれたら、そのピュアなもの
   が消えていく。
   だから、バランスをとるのが難しい。
   黒いものに巻き込まれたり、恐怖を感じすぎたり、
   それを乗り越えないと、ピュアなだけではいけない。
   でも、自分が黒くなってもいけない。

   頭を使う。
   今回は頭を使わなくてはいけない。
   でも、難しい・・・。

ママは「光の人」に質問した。

こんな風に。

「ヒプノでも、レイキでも、シータでも、他のヒーリングやチャ
ネリングでも、それで癒されたり幸せになる人もいれば、
懐疑的な目を向ける人もいます。
どんなツールであっても、目に見えない世界は、万人に受
け入れられることはないと、私は思っています。
”すべての人がヒプノを受け入れ、理解してくれないと、
こわくてこれをやれない”そんな風に思ったら、私は何も
出来ないと思っています。
受け入れられなくてもいい、必要とする人が、必要な時に
やってきて、その人たちが救われたら、それでいいと私は
思っています。
私の考え方は間違っていますか?」

光の人:それでいい。それで。
    必要な人が来る。
    必要な役割がある。

ママ:でも、美帆さんは、もっと人に受け入れてほしい、
   目に見えない世界を認めて欲しいと思う気持ちが強い
   ようです。
   それは、何故でしょう?
   この過去世からきていますか?

光の人:彼女は、みんなに受け入れられたいのではなくて、
   「目」が怖いのだよ。
  (彼女を)信じない人が、彼女を見る「目」がこわい。

ママ:それは、この過去世のときに、みんなが彼女に向け
   た、その「目」のことですか?

光の人:そう。 彼女は人間不信なんだ。

人間不信。
そうだ、美帆さんのテーマはそれなんだ、きっと。
あのギリシャの過去世のときも、そうだった。
あのときも人間不信で、その過去世をクリアするのに、実に
2年近くもかかったんだった。

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神様のお使い(22)

優しくて、ピュアな心を持っていて、人のために一生懸命
ヒーリングをする。
それなのに、
「得体がしれない」「気味が悪い」と存在を否定されて、
魂が傷つき、人間不信に陥る。

美帆さんはずっとそんな人生を繰り返してきているようだった。

自分がとてもピュアだから、
自分の中には「黒いもの」がないから、
だから、他人が自分に向ける「黒いもの」が理解できない。
そういった感情が、なんなのか、わからない。

ママ:ねえ、エフちゃん、もちろん、美帆さんが、そういう
   過去世ばかりを生きてきたわけじゃないのよ。
   人間は何十回も、何百回も生まれ変わるらしいから。
   人のために一生懸命ヒーリングをしたのに、魔女狩り
   みたいな目にあったいくつかの過去世が、今生の美帆
   さんに影響しているってことなの。

そして、なぜ影響しているのかといえば、美帆さんの今生
のテーマが、そういった感情から解き放たれ、人間不信を
払拭することにあるからなのだと、ハイヤーセルフは言う。

ママ:つまり、今生は、そのテーマをクリアするチャンスでも
  あるってことだよね?

しかし、大きな問題があった。

「目」である。

美帆さんは、過去世でみんなから向けられた、悪意のある
「目」が、こわくて忘れられないのだ。

ママは、かつてHiroさんが同じことを言っていたのを思い
だした。

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神様のお使い(23)

Hiroさんの過去世を見に行ったときのこと。

立ち上がりは、7歳くらいの女の子だった。
金髪に青い目。

彼女は大人になって、看護師になった。
そして、27、8才のとき、事件が起きる。

ひとりの患者に、間違った薬を渡してしまったのだ。
それが命取りになってしまう。
申し訳ないと泣いている彼女。
「(ベッドで寝ている)患者が、私を見ている・・・。
(無言だけれど、その目は)私を許してくれている。
でも、もう助からない。死んじゃう・・・。帰ってこない」

ママが、「今、どうしたいですか?」と聞くと、
彼女は、「私が代わりに死にたい」と言った。

次の場面では、彼女は、亡くなった患者のお墓の前にいた。

まるで魂の抜け殻のようになって、その場に座り込んだ
まま、ずっと動かない。

中間世で、その患者を呼んでみると、
「何も恨んでないよ。早く立ち直って欲しい」と言った。

そして、ハイヤーセルフは、
「人は失敗するもの。それがあたりまえ。」と言う。

でも、彼女はその言葉を聞いても立ち直れなかった。

ママが、「亡くなった患者は今生に生まれ変わっています
か?」と聞くと、
Hiroさんが泣きながら、「(今の)母です」と答えた。

Hiroさんは自分を責めすぎて、魂が深い傷を負ってしまった。

ママはこのとき、過去世の書き換えをやってみた。

その患者に正しい薬を渡す場面から書き換えた。
患者は病気が治って退院し、彼女は定年まで病院で
働き続け、最後は大きな花束をもらって病院を去った。
とても幸せで、最高の人生だったと言った。

私:ふうん? じゃあ、良かったね?

ママはため息をついた。

ママ:それがそうじゃないのよね。
  覚醒後に、Hiroさんが、無言のまま、両手で顔を覆って
  しまって・・・・。
  様子が変なの。

Hiroさんはそのとき、こう言った。
「目が・・・。目が焼き付いて・・・頭から離れない」って。

患者が間違えた薬を服用し、死を待つばかりの場面。
彼女が薬を間違えたことを恨んだり、責めたりしていない。
おだやかに、むしろいたわるような目で彼女を見つめてい
たのだという。
自分を許してくれていることは、その目から十分に伝わって
きた。
それでも彼女はその「目」が脳裏に焼き付いてしまった。
「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」

ママは茫然とした。
過去世の書き換えをしても、ハッピーな人生に書き換えても、
彼女の脳裏からその「目」が消えることはなかった。

何もできなかった。

ママ:「目には魂が宿る」って言うでしょう?

セッションで過去世を見ていても、その場面に登場した人の
「目」を見ると、「あ、今のお父さんだ」という具合に分かった
りする。

どんなに輪廻転生を繰り返しても、きっと、「目」に宿るもの
は不変なのだと思う。

そして、Hiroさんのケースも、美帆さんのケースも、共に
癒しがうまくいかないのは、この「目」故なのだった。

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神様のお使い(24)

美帆さんは悩んでいた。
「私は人が好きじゃないのかも・・・。
いや、すごく好きなんだけど、好きじゃない部分もあるんだ
なあ・・・。
人の中にある、くろい部分が許せない・・。
だからそういうのが見えた時、私は怖くて逃げたくなる」

それでも、神様は美帆さんに「舞台」を用意し続ける。

2013年、5月。
今度は、ママの仕事関係の人だった。
年配の男性で、首の椎間板ヘルニアに苦しんでいた。

2年前に一度痛みが出て、そのときは薬でなんとか治った
のだという。

ママ:今年の3月からまた痛みが出るようになって、今度は
   薬も効かないんだって。
   毎日毎日痛くて、もうこんな痛みが一生続くのなら、
   リスクを覚悟で手術を受けようかと思うって。
   それでね、今、会社を経営しているんだけど、痛みで
   仕事どころじゃないから、他人に譲るつもりなんだって。
   来月に病院でMRIを撮って、手術日を決めるらしいの。

何故だろう。

ママは、その話を聞いた瞬間、美帆さんに頼んでみようと
思った。
それで、「遠隔でやってくれない?」ってメールをした。

美帆さんからすぐに返信があった。
「会ったこともない人だから、写真がないとできないよ。
ピントを合わせるのと、フォーカスするのに必要なの。
それに、治せるかどうかもわからないよ?」

ママは、治す、治さないは神様が決めていることだから、
(って、美帆さんの過去世のヒーラーが言ってたので)
結果は気にしなくていいよ、って言った。
どうせ、だめもとなんだから。

(でも、写真が必要、ってどう説明したらいいんだろう?)
彼はママや美帆さんがやっているようなことを、およそ信じ
ないタイプに思えた。

ママは考えた挙句、彼に、
「お祈りで病気を治せる友達がいるから頼んでみましょう
か? 何も聞かずに、写真を頂けませんか? お祈りする
ときに写真が必要らしいので」とメールを送ってみた。

すると、本当に何も聞かずに、すぐにメールで写真を送って
くれた。

そのとき、ママは、「あ、治るかも」って思ったんだって。

ママ:理由はないの。その人が、なぜ、写真が必要なの?
   とか、お祈りってどんなことをするの?とか聞いてこな
   かったでしょう?
   すんなり、写真だけを送ってきた。
   それで、なんだか、すべてがうまくいっているような気
   がしたの。

そして、その通りになった。

美帆さんは、またもや奇跡を起こした。 



  ⇒「神様のお使い(25)」へつづく

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神様のお使い(25)

ママ:頸椎、つまり首の骨は7個で構成されていて、その骨と骨の間
   には、「椎間板」と呼ばれるクッションの役目をするも
   のがあるんだって。
   その「椎間板」の中の「髄核」というのが飛びだして、
   神経を圧迫するので、痛みが生じるらしいの。

私:うわ~、痛そう。

ママ:その人は、6番目と7番目の間って言ってたから、
   首の付け根に近いところかな?

美帆さんから、
「ネット画像で見てみたけど、髄核とやらが、神経に突き刺
さってる~。痛いだろうなあ・・・」とメールがきた。

ママ:でもね、エフちゃん、部位が特定してると、治しやすい
   んだって。そこにフォーカスして光を送るから。

そう。「何となく胸のあたり」とか、場所が漠然としていると
難しい、って美帆さんは言っていた。

1週間後。
美帆さんが、「今日からやってみるね」と言った。
木曜日だったと思う。

そして、土曜日の夜10時ぐらいに 、
「今、その人と連絡とれる?」って聞いてきた。

仕事関係の人なので、さすがに休みの日の夜遅くには
電話できないけど、何かあった?ってママが聞いたら、
「うん。今ね、首のところの黒いのが、なくなったの」って。

「だから、今の首の状態を聞きたかったんだ」

美帆さんは、悪いところが黒く見えるのだという。
そこに集中して光を送ると、黒いものがなくなるのだとか。

ママは月曜日の朝に、彼に連絡をしてみた。

首の調子はどうですか?って聞くと、
「それがさ、調子いいんだよ!昨日も車を運転して遠出した
んだけど、全然痛みがなくってさ!」って嬉しそうな声。

それって、土曜日からですか?って聞いてみる。

「ああ、そういえば、そうだね。土曜日の夜ぐらいからかな」

へえ~っ!
ママもびっくりした。

私:すごい! 治ったんだ!

ママ:うん。治ったの。

薬も効かず、2か月間、痛みが続いていたのが、嘘のように
治ってしまった。

「痛くないから、もうMRIも撮らなくていいかな」という彼に、
ママは、
「いいえ、是非、受けて下さい」とお願いした。

何が起きているのか、知りたかったから。

髄核が飛びだしたままなのに、痛みだけがなくなったのか、
あるいは、髄核自体が、もう飛び出していないのか。

そして、2週間後、MRIの結果が出た。

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神様のお使い(26)

ママ:で、どうでした?

彼: それが、不思議なんだよね。ぼやけてるというか、
  う~ん、ぼんやり写ってるようにも見えるし、写ってない
  ようでもあるし。

飛び出していたはずの髄核が、そのようには写っていない、
つまり、もう飛び出してはいないらしいのだ。

(じゃあ、痛みがとれただけじゃなくて、椎間板ヘルニア自
体が治っちゃったわけ?)
ママは驚いた。

医者も首を傾げたらしいが、とにかく痛みもないのだから、
手術する必要はないね、ということになったのだとか。

その旨を美帆さんに連絡すると、美帆さんは泣いて喜んだ。

「ほんとにほんと?気を使って、痛みがとれたって言ってく
れてるんじゃなくて?」

ママが、本当だよ、って強調すると、美帆さんは
「なんだか信じられない」って言った。
そして、続けて、
「でも、少しでも楽になったのなら良かった。神様、ありが
とう」って。

美帆さんが、人の病気を治す媒体として選ばれたのは、
きっと、これほどまでに、「愛」のある人だからなんだろう
な、ってママは思った。

ママ:ねえ、エフちゃん、考えてもみてよ?
   自分の痛みのために、一度も会ったこともない、見ず
   知らずの人が、一生懸命祈ってくれるんだよ?
   広い世界の中には、そういう人間もいるんだってこと
   がわかってくれたら、嬉しいよね?

でも、実は美帆さんにヒーリングをしてもらう前に、ひとつだ
け、やっておかなければならないことがあった。

ママ:それはね、彼に、なぜ病気になったのかを理解して
  もらうこと。

そう。
病気になった意味を知ることもなく、ただ治ればいいというの
では駄目なのだ。

逆に言うと、病気になるのにはちゃんと理由があって、その
理由がわかると、治る確率も上がるように思われた。

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神様のお使い(27)

私:その人の理由は何だったの?

ママ:あのね、シータヒーリングを勉強したときにね、
   「思い込みのパターンがどこにあるかを探す」という
   のを習ったの。

シータによれば、人間は潜在意識の中に、知らず知らずのうち
に、「思考パターン(思い込み)」を作り出しているのだという。

そして、その思い込みが現実の生活において影響をしたり、
何らかの問題を引き起こす。

この思考パターンが存在するレベルというのが4つあるの
だそう。

核レベル(胎児期から今までの生い立ちの過程で刷りこま
れたもの)
遺伝子レベル(先祖から引き継がれたもの)
歴史的レベル(過去世から持ち越されたもの)
魂のレベル(魂にまで浸透したもの)

ママと美帆さんはこれを応用してみようと考えた。

彼が何かの問題を抱えていて、それが原因で首の痛み
を引き起こしているのだとしたら、その問題はどのレベルに
あるのだろう?

ふたりでそれを探ってみた。

美帆さんが、「核レベルだね。それも浅い感じ」と言った。

魂レベルだと、治すにしても難易度が高そうだけど、核レ
ベルなら何とかなるかもね、って意見が一致した。

問題は、どうやってそれを聞き出すのかということ。

きっと、こんな精神世界の話は理解してもらえそうもない
相手だった。

でも、美帆さんがこう言ったのだ。
「クライアントさんが神とか宇宙とか、そういった世界を理解
してくれる人だと治りやすい気がする。なぜなら(自分と)
同じ方向を見てくれるから」

美帆さんが見ている方向と、クライアントさんが見ている方
向が異なると、せっかくヒーリングをしても光が届きにくい
らしい。

美帆さんが癌を治したという噂を聞いた友人・知人たち
から次々と依頼が持ち込まれているのだけれど、
「癌でも、中耳炎でも、難聴でも、偏頭痛でも、治った人に
共通することは、そういう目に見えない世界を当たり前に
信じている人。そして、ピュアな人」

その通りなのかもしれない。

3か月後に、ママはある人から同じような話を聞いたから。

ママ:フィリピンで有名な心霊治療師が、たまたま日本に
   くることになったんだって。で、ある人が、脳腫瘍の
   友人に、治療を受けてみたら?って勧めたんだって。
   その友人はそういう世界は信じない人だから、躊躇し
   たらしいんだけど、結局受けたんだって。

私:治ったの?

ママ:腫瘍は消えたらしいよ。

でも、その心霊治療師が言うには、
「本人が信じていなくても、治すことはできるけれど、
疑いの気持ちがあると、その壁をも通して光を送らなくて
はいけない。それはとても大変」なのだと。

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神様のお使い(28)

そういうわけで、ママは、彼が今生でどんな問題を抱えて
いるのかを聞き出さなければならなかった。

躊躇はしたが、思い切って聞いてみた。
首の痛みになる原因が今生にありそうなんだけど、何か
思い当たること、ありますか?って。

そしたら、
「う~ん・・・。思い当たるとしたら、息子のことかな」と即座に
応えが返って来た。

彼の息子さんは、地方で一人暮らしをしていて、定職にも
就かず、毎日山の絵ばかりを描いているのだそう。

彼はずっと経済的援助をしているのだが、自分も年老いて
きたし、もしものことがあったら、その後、息子はどうやって
生活していくのかと考えると、(能天気な息子に対して)腹
が立つのだとか。

ママは、「子供は親を選んで生まれてくるんです」と言った。

もしかしたら、生まれる前に、「山の絵を思いっきり描きたい
んだけど、いい?」って聞いて、彼がそれを受け入れたのか
もしれなかった。
あるいは、過去に、その息子さんにとても恩があって、今生は
こういう形で恩返しをしているのかもしれなかった。

いずれにせよ、息子さんには息子さんの人生のシナリオが
ある。

彼が援助できる間はしてあげようと思うのならそうすれば
いいし、その後のことは息子さん自身の人生だから、心配
したってしょうがない。

「心配していれば、ある日、息子さんが急に気が変わって
就職して普通に働くと思います?」って、ママは聞いた。

「いや、それは絶対ない」と彼。

わかっているのだ。

「だったら、考えてもしようがないですよね?」

少し間をおいて、彼が、「そうだね」って言った。
そして、(ママが言うことを)「信じるよ」って。

ママは、自分で話しておきながら、彼の反応に驚いた。
ほんの4、5分、立ち話をするぐらいの時間しかなかったから、
必死に説明をしたが、こんなにすんなり「信じるよ」って
言ってもらえるとは思ってもいなかった。

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神様のお使い(29)

私:そして、その後に美帆さんがヒーリングをして、治っちゃ
  ったんだ。

ママ:うん。その人の場合は理由がわかったし、話すことで
  彼自身の心が変わったから、それも治る要因になったん
  だと思う。

  後日、美帆さんから聞いたんだけどね、ガンが治った人
  の場合はね、原因を見てみたら、過去世が出てきたん
  だって。

悲しんでいる修道女の姿が出てきたんだって。
自分が女性であることをネガティブに捉えてるの。
それで、まず、その修道女を癒したんだって。
自分が女性だということに喜びを感じるように。
その後に、ガンを治すためのヒーリングをしたんだって。

ママは、美帆さんからその話を聞いたとき、小林正観さんの
本を思い出した。

ある病院の副院長を長年務めてきた人の話が載っていた。
「乳がん、子宮がん、卵巣腫瘍の患者には共通項がある」

次の3つの言葉を繰り返し口にしてきたというのだ。

一つ目、女になんか生まれたくなかった。
二つ目、男に生まれてきたかった。
三つ目、今度生まれてくるときは絶対男だ。

そう言い続け、思い続けてきた人たちなのだそう。
それをず~っと自分の体に言い聞かせ、思い続けてきた
結果、自分の体が反応した。
「わかりました。じゃ、女でなくなっちゃいましょうね」
というわけで、女性特有の器官を切リ取る方向に動いた。
(『宇宙を味方にする方程式』~小林正観)

ママ:だからね、その修道女をまず癒す、ってことがとても
   大切だったんだと思うの。

ママはヒプノをやっているので、自分の「思い」が、体の細胞
にどれほど影響するかを知っている。

たとえば、どこかに「痛み」があるとき、ヒプノでその痛みの
原因を見に行くこともできるし、直接、細胞に原因を聞くこ
とだって可能である。

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神様のお使い(30)

ママ:病気になるのには、理由があるみたいなの。
   それを人生のテーマにしてきている人もいる。
   病気を通して、「学び」を得ることを目的としている場合
   もある。

もちろん、悩みや執着心が体の不調を引き起こしている場
合もあれば、過去世からの影響もある。

ママ:大事なのは、その原因を知ることかな、って。

美帆さんがガンを治したと言う話を聞いてから、2か月後
だっただろうか。

ある朝、ママは目覚める直前にメッセージを受け取った。

「今までと同じことをやっていてはだめ」
みたいな。

はっと目が覚めて、今のは何だったのだろう、って思った。

ママ:その瞬間に、あ、そうか、ってわかった。

ママは、昔テレビで見た、「高塚光」さんというヒーラーのこ
とを思い出していた。

高塚さんは、普通のサラリーマンだった。
ある時、母親が心臓発作で倒れて危篤となり、病院へ駆け
つけた彼は、お別れのつもりで、母親の首元に手を置いた。
すると、その途端に母親の意識が戻り、何事もなかったか
のように元気になった。

その噂が広まり、テレビや雑誌などでも取り上げられ、
「超能力サラリーマン」として、一躍時の人となった。

手をかざすと病気が治る、しかも彼は無料で行っていたの
で、当時勤務していた広告代理店には治してもらいたい
人が殺到した。

ママがテレビでその姿を見たのは20年以上前だという。

ママ:テレビの特番で、病気を治してもらいたい人が全国
   から押し寄せていた。会場には長い列が出来ていて、
   順番にステージに上がって行くの。高塚さんはひたす
   ら手をかざし続けていた。

ママが朝のまどろみの中でメッセージを受け取ったとき、
真っ先に浮かんだのが、その光景だった。

そして、こう思った。
そうだ、ヒーラーといわれる人たちが、へとへとになりながら
ただただ病気を治し続けるだけでは駄目だ、って。

何故、自分が病気になったのか、どういう意味があるのか、
それを考えることなく、知ることもなく、単に症状さえなくな
ればOKでは、駄目。
それは、「今までのやり方」。

これからは、ちゃんと自分の病気の意味を知って、その上
で向き合うことが大切なんじゃないかな、って。

ママ:そうじゃないと、一時的に治ったとしても、また再発す
  る可能性だってあるでしょう? たとえば、首の椎間板
  ヘルニアが治った人にしても、息子さんのことで悩み続
  けていたら、それが引き金になって、また痛みが出てく
  るかもしれないし。

それに、過去世からの影響で病気を引き起こしていること
もある。あちこちの病院へ行ったし、検査もいっぱい受けた
けど、どうしても原因が分からないようなときに、ヒプノを受け
てみると、意外と過去世の影響だったりする。

ママ:でも、じゃあ、ヒプノを受けさえすれば病気が治るの?
   って思われても困るんだけど。
   治る人もいるし、治らない人もいるだろうし。
   ただ、仮に治らなかったとしても、なぜ自分が病気に
   なったのか、何のためだったのか、それを知ることで
   病気と向き合えるようになって、その後の人生が変わ
   るといいなと思うの。

難病と闘う小学生の子供が、自分の病気のことを、「これは
神様からの宿題」と言っていたのを目にしたことがある。

それから、山元加津子さんのHP「たんぽぽの仲間たち」に
出てくる雪絵ちゃんという女の子の話。
(山元加津子さんは、石川県で養護学校の教諭をしている)

雪絵ちゃんは、多発性硬化症という病気(だんだん目が
見えなくなったり、手足が動かなくなったりしていく)を持って
いたのに、口癖のように、「この病気であることを後悔しない」
と言っていたのだそう。
理由を聞くと、「この病気になったからこそ、気がつけたこ
とがいっぱいあるから。もしこの病気でなかったら、その
素敵なことに気がつけなかったと思う。私は気がついている
自分が好きだから、この病気で良かった」と。

そして、ママが驚いたのは、雪絵ちゃんが書いたエッセイ
だった。

「 誕生日

私今日生まれたの。
一分一秒のくるいもなく、今日誕生しました。
少しでもずれていたら、今頃 健康だったかもしれない。
今の人生をおくるには、一分一秒のくるいもなく生まれ
てこなければいけなかったの。
けっこうこれってむずかしいだよ。
12月の28日、私の大好きで大切で幸せな日、
今日生まれてきて大成功。Snowに生まれてきて、
これまた大成功。」

(たんぽぽの仲間たち~「雪絵ちゃんの願い」より抜粋)

ママ:病気を選んで生まれてきてたんだね。そして、それを
   自分で知ってたって、すごい。

雪絵ちゃんはもう亡くなったけど、その時も、「今日亡くなろ
う」と決めた日に、光に帰ったらしい。

病気も含めて、すべてのことには意味があって、だからこそ
「気づく」ことがとても大事なんだと思う、ってママは言った。

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神様のお使い(31)

人は輪廻転生を繰り返す。

肉体は死んでも魂は再び別の肉体に宿り、「人生」を続け
ていく。

魂にはその都度、経験した人生の記憶が刻まれていくが、
肉体を持って生活している間は(殆どの人には、その)記憶
がないので、人生は1回きりだと思っている。

ママだって、つい数年前まではそう思っていた。
何度も何度も自分の過去世を見て、最初は妄想かなとか、
自分の頭で作り上げたストーリーかなと思っていたことが、
やがて確信に変わるまでは。

そして、人は生まれる前に自分の人生の青写真を作って
くること、そのために必要なキャスティングを設定し、国や
性別や親も選んで生まれてくること、そんなことが少しずつ
分かってきた過程で、ママが疑問に思うことが二つあった。

ひとつは、青写真を作ってくるのなら、なぜ、悲しいことや
苦しいこと、つらいことが人生に起きるのか、ということ。
わざわざそんなことを自分の青写真の中に組み込むだろう
か?

この答はとても意外だった。
一言で言うなら、「魂」のレベルでは、私たちが考えるよう
な、良いことと悪いことの線引きがないからである。

私:線引きがない?

ママ:うん。人間は、楽しいことや嬉しいことは良いことで、
  悲しいことや苦しいことは悪いこと、って線引きしてるで
  しょ?
  でも、魂的にはそんな線引きはなくて、すべてが「経験」
  に過ぎないという感じなの。

「悲しい」って、どんな感じなんだろう。
「苦しい」って、どんな感じなんだろう。
「楽しい」って、どんな感じなんだろう。

そうやって、いろんなことを体験し、味わおうとしているらしい。

ママ:だから、たとえば、医者だった人が、何十年間も病と
  闘う患者のことが心に残っていて、ずっと病気に向きあっ
  ていくって、どんな気持ちなんだろうと、今度はそちら側
  の人生を計画してくることもあるし、あるいは、身近に
  いる大切な人を亡くすって、どんな感じなんだろうと、そう
  いうストーリーを計画してくることもあるみたいなの。

  でも、それは「魂レベル」での話だから、ひとたび肉体を
  持って生まれてきたら、やっぱり苦しいことは苦しいし、
  悲しいことは悲しいよね。

じゃあ、生まれてから死ぬまで、つらいことも嫌なことも何
ひとつなくて、楽しいこと、嬉しいことばかりで人生を終えら
れたらハッピーかというと、それもまたそうでもないらしい。

ママ:だからさ、いつか「
パラレルワールド」というセッション
  をやったとき、みんなが達成感がなくてつまらないって
  言ってたじゃない?

私:ああ、自分の人生を思い通りに生きてみたらどうなるか
  っていうセッションだよね?

ママ:うん。みんな、大変なことや苦労があっても、今の自 
  分の人生の方がいいって言ってた。

「魂」の視点からみると、そう思えるらしい。

肉体を持つがゆえに、そのことを忘れているだけなのだ。

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神様のお使い(32)

もうひとつの疑問はまさにそこである。

ママ:せっかく記憶を消して生まれてきているのに、なぜ、
   わざわざヒプノをやって思い出す必要があるの?って。

ママが最初にそのことを疑問に思ったとき、高次の存在は
こんな風に教えてくれた

「それはね、記憶を呼び戻す必要がある人と、必要じゃな
い人がいて、記憶を必要とする人はね、必ず記憶を必要と
する時がくるんです。
だから、記憶に囚われないで生活する人もいれば、記憶を
呼び戻して、またひとつ私たちに近づく人もいるということで
す」

ママ:記憶を呼び戻して、高次の存在に近づく、っていうの
  が、キーワードなんだと思う。
  結局、人間の本質を思い出すってことは、魂のレベル、
  つまり人間は光の存在だってことに気づく、ってことだ 
  よね?

そして、ヒプノは人間の本質を思い出すためのツールのひ
とつなのである。

輪廻転生を繰り返してすべての経験が終わった時、人間は
もう肉体を持つ存在として生まれ変わることはない。
もはや学ぶべきことがないからである。

ママ:ただ、人々を助けるために、敢えて肉体を持って戻っ
   てくることもあるんだって。マザー・テレサとかは、そう
   いう人なのかもしれない。

ママはこの輪廻転生を、「すごろくゲーム」のようなイメージ
で捉えていると言った。

ママ:みんなスタートするでしょ?すごろくを振る回数分の
   人生があるとするじゃない?ある時は(6の目)でぐん
   ぐん進み、あるときは(1の目で)少ししか進まないか
   もしれない。ここでいう「進む」っていうのは、「学ぶ」と
   か、「気づく」ことなんだけど。

   ある時は1回休みで、のんびりまったりした人生かも
   しれないし、またある時は自分の決めてきたシナリオ
   通りに行かなくて後戻り、ってこともあるよね?

私: シナリオ通りにいかないときもある?

ママ:今までのセッションの例からいくと、「許す」ことを学ぶ
   っていうのをテーマにしてたのに、許すどころか、許せ
   ないことをしてくれる相手(もちろん青写真で決めてい
   る)に逆上して、結局、学ぶことはできなかった、みた
   いなね。
   で、中間世に戻った時に、しまった!って。
   そしてまた、シチュエーションを変えて、「許す」という
   ことをテーマに生まれ変わってきたりするの。

   ゲームの進度は人それぞれでしょ?
   生まれ変わる回数も人それぞれだよね?
   だけど、どんな人も最後は「あがり」になる。

私:ああ、そっか。だから、ママは、人間は生まれた時から
  霊格が違う、って言ってたんだ。

ママ:うん。肉体は皆一様に「赤ちゃん」から始まるから、
  スタートラインが同じように思えるかもしれないけど、
  生まれた時から霊格の高さっていうのは、人それぞれ
  だよね。
  子供なのに、「この子って、すごい大人ね」って思える
  人もいれば、いい大人なのに、「なんて子供っぽいんだ
  ろう」っていう人もいるのは、そういう訳なんじゃないか
  なと。

人間の本質は光であり、そもそもあらゆる叡智を備えてい
て、本当は、すべての答えは自身の中にあるのだということ。
そういったことを、こんな風に、何度も生まれ変わりながら、
様々なことを経験し、学び、気づきながら思い出していくの
だということ。

そのしくみを知ることで、今直面している人間関係とか、仕
事とか、病気とか、恋愛とかを魂の視点から眺められるよう
になると、考え方が変わり、ひいては人生が変わっていくん
じゃないかな、ってママは思っている。

きっと、もっと楽に生きられるようになる、って。


 第25章~魂の交信

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