先生は素敵だった。
どこが?って、まるで「石」そのもののような人だった。
ママ:石の精霊というか、石の化身というか、 うまく表現
できないけど、ああ、この人、「石」 なんだなあ、って。
「石は地球の中の愛のかたまり。人の役に立ちたいという
気持ちが強い。だから、人間に愛情をもらうと、より強く働き
始める」
先生がそう言ったとき、まるで石の化身である先生が
「石の意識」で語っているような錯覚さえ覚えた。
教室では、石(水晶)の種類とか、扱い方とかを説明してく
れたけど、ママは、そういったことよりも、先生の石に対する
愛情に心打たれていた。
ママ:たとえばね、石はいつも人間のために一生懸命働い
てくれているでしょう?
だから、新月の夜とかに、窓辺にきれいに並べて、ア
ロマの良い香りと、クラシックのような心地よい音楽で
ねぎらってあげる、とかね。
時々、石をぎゅっと抱きしめて愛情を注いであげてね、
とか。
そして、先生が水晶の種類を、実物を見せながら順番に
説明していたときのこと。
「これは、”レムリアンシード”といって、古代レムリアの記憶
を持つ石といわれています」と言って、側面にバーコードの
ような模様がある細長い石を見せてくれた。
続けて、「何故かこの石が気に入って、値札をはずし(売り
物から除外して)、ヒーリングのときに使っているの」と
先生が言った瞬間、ママは、「あ、この先生、レムリア人
だったんだ」と思った。
その後・・・・。
先生の後ろに白い服を着た女の人が現れた。
古代っぽい服装。
頭に髪飾りをつけている。
それが、先生がその日、頭に付けていたカチューシャとよく
似ていて、ママは不思議な気持ちで見つめていた。
その人が、レムリア人だという確信はある。
ママ:あのぉ~。
ママは思い切って言った。
「先生はレムリア人だったことがあるみたいです」
すると、先生があっさりと言った。
「以前、他の人にも言われたことがあるわ。ああ、あなた、
レムリア人だったのね、って」
ママはちょっとほっとした。
良かった。思い違いじゃなくって。
私:その現れた人は、先生の過去世ってこと?
ママ:うん。
この時、ママには、このレムリア人が先生に何かを伝えた
いのだということがわかっていた。
セッションをやるのは、2週間後と決まった。
2週間の間、ママの脳裏に何度も浮かんでくるものがあった。
石の教室の部屋に置かれていたソファである。
ママ:そのソファのカバーが赤だったの。教室に行ったとき
は全然気にならなかったのに、帰ってきてから、幾度
となくそのソファのことが思い出されて。
「赤」っていうのが気になってしようがないの。
なんだか、その部屋の中で、赤い色がそぐわないとい
うか・・・。浮いちゃってる感じなんだよね。
セッション当日。
部屋には大小様々な石がたくさんある。
ひときわ大きい石を、彼女は「校長先生」と呼んでいた。
ママは、石の教室を受講したとき、石が先生と話したがって
いるような気がしたが、それがどの石なのか特定できなか
った。
とりあえず、セッションのとき、校長先生をそばに置くことを
提案した。
すると、先生が、占いで使われているような丸い水晶玉を
持ってきて、「ここ2、3日、この子が主張してくるのよね」と
言った。
そう、先生は、石と会話ができるのだ。
「じゃあ、セッションのとき、頭のそばにこの水晶玉を置いて、
校長先生は少し離れたところから見ていてもらうことにしま
しょうか?」って、ママは言った。
そして、セッション開始。
ママは、まず、レムリア人の過去世の人、校長先生、丸い
水晶玉(この時は、”丸玉さん”と呼ぶことにした)、仕事の
ガイドを呼び出した。
それ以外にも、先生の今のご家族や、インナーチャイルド、
イルカなどが自らやってきて、賑やかなセッションになった。
レムリア文明ととクリスタル(石)は、切っても切れない関係
のようだ。
ん?まてよ?
ママは疑問に思った。
ママ:あの~、先生はクリスタルと一緒に転生して、レムリ
アの時の叡智をみんなに伝えていますが、私は
どうして(クリスタルではなくて)ヒプノだったの?
同じレムリアにいたのに?
先生:あなたは潜在意識と繋がることがとても得意だったの。
とっても好きだった。
「意識」に焦点があるの。
(石とかの)媒体を使うよりも、ダイレクトに潜在意識に
働きかけるのが好きだった。
ああ、すごく納得、ってママは思った。
アロマや石やその他の媒体を使うことよりも、ヒプノが楽しく
て、興味深くて仕方がないから。
先生:だけど、あなたをすごく助けてくれるクリスタルがあ
るから、それを活用するといいわ。
そして、先生は具体的なことを教えてくれた。
さて、こんな感じでセッションは終了したんだけど、すごいの
は、ここからである。
ママは帰宅後、大変なことを思い出した。
せっかくインディアンの過去世が出てきたのに、「あとで
話しを聞くから」と言って、すっかり忘れていたのだ。
慌てて先生にメールをした。
すぐに返信が来て、ママはその内容に仰天した。
セッション後、先生に素晴らしいことが起きていたのだ。
まず、今後の仕事に関するアイディアが次から次へと湧き
出てきて書き留めるのが大変なくらいだということ。
インディアンの過去世、そして、それとは別にインド人の過
去生も出てきて、先生と統合したこと。
その他、いろいろ。
最後に、丸玉が、「マサコさんはあなたの中のとても大切な
ものを開花させてくれたのだ」と教えてくれたことが書いて
あって、ママは胸が熱くなった。
自分が媒体となって役に立てたのなら、こんな嬉しいこと
はない。
それにしても、先生、すごい人だった・・・。
マチ子さんに一緒に学ぶ仲間がもうひとり増えたよ、って
報告すると、彼女はすごく喜んだ。
その喜び方が普通じゃないように思えたんだけど、今に
なって考えると、ひとみさんとの再会を魂が喜んでいたの
かもしれない。
そして、初顔合わせの日。
その日はインナーチャイルドの勉強をした。
休憩時間にママがお茶の支度をしていると、ふたりの楽し
そうな笑い声が聞こえてきた。
「あれ?このふたり、姉妹だったことがあるのかも?」
って、ママは思った。
確信はなかったんだけど。
ママ:そのことを何気なく言ったんだよね。
そしたら、ひとみさんは気になったのか、たまたま覚え
ていたのかわからないけど、次の教室のときに確認し
たの。
不思議なビジョンが見えた。
セッションをやっているママの姿。
そのママとおばあちゃんが、ぴったり重なっている。
ママは茫然とした。
(私じゃなくて、おばあちゃんがセッションをやっていたの?)
ああ! だから!
謎が解けた。
私:謎?
ママ:マチ子さんとひとみさんと3人で勉強を始めてから、
変だなあって、ずっと思ってたの。
セッションをやるたびに、「クライアントさん以外の、誰か
の魂と話す」展開が出て来るの。
ヒプノのコースでは、説明の後、台本に沿ってセッションの
練習をする。
みんな始めてだから、なるべく基本に忠実に行う。
それなのに、マチ子さんやひとみさんがセッションをやると、
何故か必ず複雑な内容になってしまって、ママが途中から対
応せざるを得なくなるのだった。
しかも、毎回と言っていいほど、セッションに登場する(クライ
アントでない)人たちの魂を癒す必要性が生じる。
「おかしいなあ、なんでだろう」って、ママはいつも不思議に
思っていた。
あるとき、ママはマチ子さんのセッション中、ハイヤーセルフに
聞いたこともあった。
「なぜ、最近、セッションのたびに、魂と話すシチュエーション
になるの?」って。
私:そのときは何て言われたの?
ママ:魂と交信をすれば、(目の前の)クライアントを癒すだけ
ではなくて、そのクライアントの身近な人も同時に癒せる。
1回のセッションで複数の人を癒せるって、言われた。
「みんな、こわがってそれをやらない。
でも、あなたはそのやり方を良く知っている。
そのことに長けている」と。
ママは、正直、戸惑っていた。
マチ子さんやひとみさんが現れた途端に、何故こんな展開に
なったのか、わからなかったし。
なるほど、おばあちゃんが背後で操っていたのか・・・。
ママが、「セッションをやってたのは、私じゃなくて、おばあ
ちゃんだった」と言うと、ふたりも驚いていた。
家族三世代が千年以上のときを経て、集結しているのだった。
そしてみんなで「魂の癒し」を行っている。
解催眠後、ママはマチ子さんにお願いをした。
「私が今見た場面を、確かめに行ってくれない?」って。
マチ子さんは普段、瞑想をやっているので、軽い誘導だけで
すぐに過去世に入ることができる。
ママは、こんな風に言った。
「今、私が見た黒い服を着た魔女の人に会いに行きます」
しばらくすると、マチ子さんが、(魔女が)出てきた、と呟いた。
ママ:その人に聞いて・・・・。
あなたは魂と交信が出来る方でしたか?
魔女:私はたくさんの魂を救ったよ。
だけど、それを理解してもらえなかった。
ママ:あなたはいつも水晶玉を使ってやってたの?
魔女:(頷く)。私の大事な道具。
ママ:どんな風に交信していたの?
水晶玉に魂が映るんですか?
魔女:水晶玉にその人の魂が映る。
その魂と話をする。
ママ:あなたには家族がいましたか?
(答えを待つ間、ママは不安と期待でドキドキした)
魔女:2人の娘がいた。
ひとりは小さいうちに死んだ。遠い昔のことだけどね・・・。
ママ:もう一人は?
魔女:ちゃんと生きてたよ。
ママ:あの・・・・。
その人は、結婚してふたりの娘を授かりましたか?
魔女:ああ、かわいい孫、二人だよ。
ママ:あなたが住んでいたのはイギリスなの?
魔女:イギリスの南部。
ママ:西暦でいうと、どのあたり?
魔女:800・・・・。
ママ:では、おばあちゃん、お願い。
今度は光の視点から見て下さい。
(時間と空間を超えたところから見渡してもらう)
あなたの娘とかわいい孫ふたりは・・・・、
生まれ変わって、今ここ(の部屋に)にいますか?
返事をもらうまでの数秒間が、とても長く感じられた。
魔女:(私は)守ってる・・・・。
ママ:私と、マチ子さんとひとみさんがそうなの?
魔女:ここ(この部屋)にみんないる。
やっぱり間違いなかったんだ。
みんな、家族だったんだ。
ママ:どうして今日、この過去世を見せてくれたの?
魔女:あなたが魂を呼ぶことを心配してるから。
説明しに来たの。
ママ:問題ないよ、って?
魔女:そう。いろいろ救えるから問題ない。心配いらない。
ママがヒプノをやっていて感心するのは、こういうときである。
何かで悩んでいると、こんな風に答えをくれるとき。
私:ママは、何かで悩んでたの?
ママ:悩んでた、ってわけじゃないんだけど、最近、セッション
中に登場人物の魂と話すことが多くなってたでしょう?
そのことを仲間のミミさんに話したら、「気を付けた方がい
い」って言われたの。
ミミさんはこう言った。
「魂と直接話しができれば、、癒しが早い。
だけど、その人の魂を呼んで話すということは、本人の肉体
から魂が抜けているわけだから、慎重に、本人に害のない
ように、守りながらやらないと」って。
そっか。
魂だけを呼び寄せるということは、本人は、いわば幽体離脱
状態になるわけか。
ママは急に心配になった。
ママ:エフちゃん、幽体離脱っていうのは、人間の肉体から
意識だけが抜け出す現象なの。
眠っているときならともかく、起きてるときに意識が抜けた
ら、心配だよね?
そういうわけで、ミミさんの忠告を聞いてから、ママの心に
迷いが生まれた。
それで、ママは実験をしようと思いついた。
教室でのセッションの練習のとき。
マチ子さんのセッションをやりながら、ひとみさんの魂を呼びだ
してみた。
「ひとみさんの魂、出て来て下さい」って。
(もちろん、呼び出す前にはハイヤーセルフの許可を得て、
大丈夫かどうかを確認している)
ママは誘導しながら、同じ部屋の中にいるひとみさんに
注目した。
ママが魂を呼んだ瞬間、ひとみさんが小声で、「あっ!」と
言った。
「今ね、なにか、胸の辺りから、ぽん!って抜けたような気が
した」
(え~っ・・・!)
それを聞いて、ママはますます心配になった。
魂との交信って、やってもいいのかな・・・・?
私:ママがそんな風に心配してたから、魔女のおばあちゃん
が、大丈夫だよ、って言いに来たの?
ママ:うん、エフちゃん、そういうことだよね?
そして、単に、心配いらないよっていうだけではなくて、
ちゃんとやり方も説明してくれた。
ママ:そのやり方っていうのが、また意外な方法なんだよね。
だけど、とっても安全な方法だから、セラピスト養成コース
のカリキュラムに組み込んでいこうと思ってるの。
ママ:それでも、ちょっとだけわかることはね・・・。
「過去世を書き換える」ってことは、フォーカスする
過去世が変わるってこと。
たとえば、こんな感じ。
夜、懐中電灯を持って、書庫へ行く。
扉を開けると、懐中電灯に照らされた先に、
『№1』っていうタイトルの本が見えたとするでしょう?
それが、今、見た過去世だとする。
で、今度は懐中電灯を他の方向へ向ける。
すると、『『№2』というタイトルの本が照らされる。
私:それが、書き換え後の過去世?
ママ:うん。つまり、書庫には最初から本がぎっしりあ
るの。でも、暗くて見えない。
だから、たまたま懐中電灯で照らされた1冊を
唯一の「過去世」だと思ってる。
でも、別の場所を照らしてみると、他の過去世も
ちゃんと同時存在してるわけ。
「それに」と、ママは続けた。
ママ:セッションで見える過去世が変わるだけじゃな
くて、自分への影響が変わる、っていうのがすご
い点なんだよね。
私:それって、よくわからないな~?
ママ:う~ん、すっごい短絡的な表現をすると、
さっきまで、ここにあったのは梅干し入りおにぎり
だったのに、いつのまにか、鮭入りおにぎりに替
わってた、みたいな。
私:おにぎりの具が入れ替わってる?
ママ:うん。自分では同じおにぎりだと思ってるのに、
食べると、味が違う。(笑)
だから、正確に言うなら、過去世を「書き換え」て
いるのではなくて、もうひとつ別の過去世を見に
行ってるんだよね。
マチ子さんが見たイギリスの過去世を、ママが見に
行って、再びマチ子さんに検証してもらって、さらに
1か月後には、ひとみさんにも見に行ってもらった。
2013年の暮れのことである。
ママ:ねえ、エフちゃん、マチ子さんが過去世を検証し
てくれたときに、魔女のおばあちゃんが、娘二人
のうち、ひとりは幼いときに亡くなった、って言った
でしょう?
ママもマチ子さんも、そこは(ふうん、そうなんだ~)
ってスルーした。
それなのに、ひとみさんだけは妙にそのことを気に
していた。
「娘がもうひとりいるって言ってましたよね?子供の
ころに亡くなったって」
ママ:うん。そうだね。
ひとみ:その人も生まれ変わって、今、日本にいるのかな?
ママとマチ子さんが顔を見合わせた。
「さあ?」
特段気にならなかった。
ひとみ:これから出会うのかな?だって、家族でしょう?
ママ:そうだけど・・・・。
ママには、ひとみさんが何故それを気にしているのかが
わからない。
ひとみ:だとしたら・・・・・。
ママ:?
ひとみ:みなちゃん・・・?
ママは「あっ!」と思った。
みなちゃんは、ひとみさんの大学時代からの友人である。
ひとみさんと「幼児期退行」の勉強をした時に、
「幼児期退行はとっても大事だから、誰か練習台になって
くれる人がいたらお願いしてみてね」って、ママが言った。
生徒同士だと練習しても上手くいくことが多い(ヒプノを習おう
と思う人は、たいていよく視えるから)ので、なるべく生徒以外
の人で練習して、ママがその場でアドバイスをした方がより
実践的だから。
その話しをした時点で、ひとみさんの頭には既にみなちゃんの
名前が浮かんでいたのだと思う。
ひとみさんがスピリチュアルな世界にぐいぐいと引っ張られ
ていったのは、わずか4か月前のことである。
今まで自分が全く知らなった世界のことを、これまで付き合っ
てきた友人たちに話しても、なかなか理解を得られないことが
多い。
そんな中、みなちゃんは色メガネなしで理解してくれる数少な
い友人のひとりなのだと、ひとみさんは言っていた。
こういう経緯があって、ひとみさんはイギリスの過去世にも
みなちゃんが関係しているのではないかと思ったらしい。
ママ:それに、巫女さんの過去世を見たときに、みなちゃんが
今生はひとみさんのやるべきことをサポートするために
再会している、って言ってたしね。
私:そうなんだ!
さて、ひとみさんが見たイギリスの過去世は、こんな感じ。
最初の場面。
ひとみ:白いタイツに、ちょうちん袖のワンピースを着た白人の
女の子です。金髪でウエーブのかかった長い髪に、青い
目をしています。
年は・・・13~14才かな。
ママ:周りを見て下さい。何が見えますか?
ひとみ:辺りは一面、緑・・。
赤い家に向かって、誰かと一緒に歩いてる。
お母さん・・・かな? つば付きの帽子を被ってる。
ママは、緊張しながら、こう言った。
「顔を見て下さい。あなたの知っている人ですか?」
ひとみ:う~ん・・・。つばが広くて、顔が見えない。
そこで、ママは夕飯の場面へと進めた。
一家団欒の場面なら、家族全員を見ることができるので。
ひとみ:お父さんと、お母さんと、お姉ちゃんがいる。
お姉ちゃんは、マチ子さんのような気がする。
しっかりしていて、頼りになる感じ。
お母さんは・・・。ニコニコしていて、優しい感じ。
マサコさんみたいです。
(やっぱり!)
ママはなんだか嬉しくなった。
どんなものを食べているか、聞いてみる。
ひとみ:白いスープ・・・。生クリームのシチューみたいな。
一口食べてもらうと、「美味しい!」と言った。
(いいなあ・・・)
ママは、ヒプノでは、常に客観的しか見えないので、食卓を
見ることはできても、こんな風に味わうことはできない。
重要な場面へ進むと、ひとみさんが面白いことを言った。
マチ子さんが「書き換え」をしたいと言ったので、そうした。
彼が5歳の場面に戻って行った。
そして、父親に向かってこう言った。
「(お父さんは国のために人質にと言ったけど)僕が大きく
なったら、なんとかできる。
人質は愛じゃない。人質は暴力だ。
僕はちゃんと”愛”で人と仲良くなれる。
何もしないのは愛じゃない。ただ黙って見ているだけだ」
マチ子:僕がそう言うと、父は泣いて喜んでくれました。
「すまない。相手の属国になるのが嫌だったのだ」と。
書き換え後の未来を見に行くと、彼は相手国の娘と結婚式を
挙げていた。
マチ子: 二つの国が盛大に祝福してくれている。
すごく幸せだ・・・。
ママはハイヤーセルフに、「これで大丈夫ですか?」と聞いた。
ハイヤーセルフは「十分」と言った。
ママ: なぜ、インドの青年が瞑想で出てきたの?
ハイヤーセルフ: 彼が解放してほしかったから。
そっか・・・。マチ子さんの過去世であるインドの青年はこれで
救われたんだなあ、ってママは感慨深かった。
が、そのとき、マチ子さんが、
「インドの青年は私の過去世じゃない」って言った。
マチ子: 私の過去世は、彼と結婚した「女の子」。
ママ:(えっ?そうなの?)
マチ子: でも、これで私の「思い」も解放された。
ママは、なんだか腑に落ちなかった。
「女の子」がマチ子さんの過去世なら、どうしてその子が主役
の過去世を見に行かなかったのだろう?
セッション後に、マチ子さんがこう言った。
「あのね、先日、仕事に必要なセミナーを受けに行った
んだけど、そのときたまたま知り合った男性がいてね、
その人の顔を見た瞬間、
”あっ! この人、あのインドの青年だ!”って思ったの」
ん? ってことは、今見た過去世は、その男性のもの?
なんでマチ子さんが、その人の過去世を見たわけ?
(続く)
その答えは、次にマチ子さんに会ったときに、彼女自身が教
えてくれた。
「私は彼に恋をしていた。でも、(当時)彼を救うことはできな
かった。それで、今度生まれ変わったら、必ず彼を助けると
約束したの。
私: それが、今生の、そのセッションだったわけ?
ママ: みたいよ。
時を超えて、そんな形で救うこともあるのかと、ママも驚いた。
「それでね、インドの青年の話にはまだ続きがあるの」と、
ママが言った。
ママ:また別の日にね、インドの青年の話になったの。
その人は昔の恋人だったわけだから、今生再会してるって
ことは、今後何か縁があるかなあ?って。
「たまたまセミナーで知り合っただけだし、また同じ業種の
セミナーに参加したとしても、彼が来るかどうかは
わからない。それにわたしより年下かも」
マチ子さんがそう言ったとき、ママはぞくっとした。
ママ: 真実に触れた時とか、魂が知っていることを耳にしたと
きって、鳥肌が立ったり、ゾクゾクしたりするんだよね。(笑)
そして、ママは自分でも思わぬことを口にした。
ママ: ねえ、マチ子さん、もし何か縁があったときに、自分は
年上だからとか、自分なんて・・・とか、そういう風に自ら
身を引かない方がいいみたい。
ママがそう言った途端に、マチ子さんの目からみるみる涙が
溢れ出した。
「だって・・・・」と言ったきり、言葉に詰まって、ぽとぽと涙を
流している。
こんなに動揺したマチ子さんを見たのは初めてで、ママは
慌てた。
聞けば、以前、年下の男性に告白をして、つらい思いをした
ことがあるのだという。
そのときの心の傷が未だに癒せていないのだとか。
マチ子: そのことは今まで誰にも言ったことがなかったの。
その男性は仕事で知り合った人で、もう後姿をみただけでも
胸がきゅんとなって、はやる気持ちを抑えきれなかったのだと
いう。
しかも、彼には婚約者がいて、彼女も知っている人だった。
にも関わらず、マチ子さんはどうしても「告白」をしたかったの
だとか。
ママ:それって・・・・・。何か、過去世とか、関係してそうだね。
マチ子: うん、それは知ってるの。
ほら、修道士だった過去世があったでしょう?
あの時に思いを寄せてた女性がいて、それが彼なの。
当時は聖職の身だったから、恋愛はご法度だし、
ましてや告白すらできなかった。
ああ、そっかあ。
その当時、とても心残りだったのだろう。
その感情を今生に持ち越していたんだ。
でも、「あれ?」って、ママは不思議に思った。
「今生、告白できたのに、なんで感情が解放されてないの
かな? 」
それどころか、ますますつらい立場に置かれてる。
なにせ、婚約者はマチ子さんの知っている人である。
彼女からしたら、「わたしという婚約者がいることを知ってるの
に、彼に告白するなんて!」と腹立たしく思ったことだろう。
現に、彼とも、彼女とも、その後、気まずくなってしまったのだ
という。
そのとき、ふと、ママは何かを感じた。
「ねえ、もしかして、ほかにもその人との過去生があるんじゃ
ない?」
マチ子: えっ? そうなのかなあ?
ママ: 見に行ってみようよ。