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聖なる樹のヒプノセラピー物語      

ヒッピーになりそこねた(1)

ママ: エフちゃんが生まれるより

  ずーっとずーっと前の話だからね、

  ふる~い話になるよ。(笑)



それはママが25歳のとき。

ママはヒッピーのように生きたいと思って、

ひとりでスペインへ行ったんだって。



なぜ、「~のように」なのかというと、

ママ自身、ヒッピーの何たるかを

よく理解していなかったから。



そもそもヒッピーの発祥はママの世代よりも

一回り前の世代だから、

ママにはよくわからなかった。



だから、

「社会の枠から外れ、自由にふらふらと生きる」

という誤った認識で捉えていたんだって。(笑)



インターネットもない時代、

ましてやママの住む田舎には大型書店もない、

極めて情報の乏しい中で

スペインを選んだ理由は・・・



ママ:22歳ぐらいのとき、バイト先の同僚が

  スペインへ行ったときの話を聞かせてくれたの。


  彼は30歳ぐらいだったと思うけど、

  大学時代にトンネル工事のバイトに精を出し、

  溜めたお金で卒業と同時に世界一周の旅に出た。


  まず、イギリスで英語を勉強して、

  その後は各国を旅してまわって、

  スペインでは

  洞窟でシプシーと暮らしたんだって。


  洞窟から見上げる満天の星、

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  朝は市場へ行くと、

  新鮮なオレンジなどの果物が並び・・・って。

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ヒッピーになりそこねた(2)

ママ: エフちゃんには想像もつかないかもしれないけど、

  私が子供の頃は、「オレンジ」って、

  今ほどポピュラーじゃなかったの。

  洋ナシとかも。


  だから、

  「新鮮なオレンジが市場にたくさん並んでいる光景」

  っていうのは、まさに「外国」を思わせるのよね・・・。

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 ジプシー、洞窟、満天の星、市場の果物・・・・・・

  まさに、「自由」っていう感じ。


私: それで行こうと思ったの?


ママ: ううん、全然。

  外国へ行きたいとも思ってなかったし。

  私の住んでる田舎では外国へ行くなんて

  まだ珍しかったし・・・。



スペインへ行くことを考え始めたのは、

それから2年後のことなのだという。

ママはそのころ、人生に迷っていた。

自分が何をやりたいのかがわからなくて。


ママ:強いて言えば、世界中の遺跡巡りが夢だった。

  それも、岩とか洞窟とかに描かれた壁画とか

  絵文字とか、そういうのを見て回ること。


私: ママって、ちょっと変わり者だったんじゃない?(笑)



ママ: そうなのかなあ…。(笑)

  いつも、自分のやるべきことは何なんだろう?って

  ぼんやりと考えてた気がする。


  ってことは、今思えば、

  何かやることがあるはずだ、って

  何となくわかってたのかな・・・?

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ヒッピーになりそこねた(3)


ママ: で、自分で自分のことを持て余して、

  日本の外へ出てみようと思ったの。


  どこへ行こうかな?って考えた時に

  スペインの話を思い出して。


  田舎の書店でようやくみつけたぺらぺらに薄い本に

  スペインの情報がたった1ページだけ載ってたの。



  1日5食で、

  シエスタと呼ばれる「お昼休み」が13~16時まであって、

  みんなはいったん自宅に戻って

  ボリュームいっぱいの昼食を

  ゆっくり時間をかけて食べる。



  街には、「バル」と呼ばれる一杯飲み屋があって、

  ワインは水のように安価で、

  カウンターに並ぶおつまみをつまみながら

  夜を過ごす。



  まるでパラダイスだなと思って。

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  よし、決まり!って。(笑)



  とりあえず、1年間、昼も夜も働いてお金を溜めた。


  みんなは「言葉はどうするの?」って心配してたけど、

  「人類みな兄弟だから何とかなる」って、

  な~んにも不安に思わず、

  もう日本には帰らないつもりで

  片道チケットだけ購入して日本を脱出した。



  パソコンもない時代でしょ?

  情報は『地球の歩き方』っていう本だけ。

  旅行者たちが情報を寄せたのをまとめたガイドブック

  みたいな。


  今でいうと「口コミ」?

  そのスペインのページだけをビリビリと破り取って

  持ち歩いた。


  破り取れるぐらい情報が少なかったってこと。(笑)


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ヒッピーになりそこねた(4)


  あとはSONYのラジオ1台と、


 (イメージ的には、こういう感じの ↓ )
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  成田空港で 『6か国語会話集』 っていうのを買って、

  スペイン語、イタリア語、フランス語、

  英語、ドイツ語、日本語だったっけな?

  (↓ こういう感じの)


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すごい!これがあれば

  世界中どこへでも行ける!って思った。


  それから、思いつきで買った「花札」と。




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私: 花札? なんで?


ママ: それがさ~、今考えるとおかしいんだけど、

  空港で目に留まったんだよね~。


  あっ!と思って。


  食べるお金が無くなったら、

  にわか大道芸人よろしく路上で

  「これぞ東洋のタロット占い~!」とか何とか言って、

  デタラメでもいいからなんかパフォーマンスをやって

  日銭を稼げるかもって。



私: ! ! !



ママ: ラジオで情報を聞けるし、

  「6か国語会話集」で言葉はOKだし、

  花札で日銭は稼げるし、


  この3種の神器があれば、

  とりあえず生きていけると。


ママは若さゆえに無謀で、

そして今考えれば、あまりにも無知だったのだ。

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ヒッピーになりそこねた(5)

ママ: 親には前日の夜になって、

  「明日からスペインへ行くって言った。

  向こうに友達がいるとかなんとか嘘をついて。


  本当は、飛行機のチケットを購入しただけで、

  現地についてからの宿泊先すら

  決まっていなかったんだけど。



ママは日本にもなんの未練もなかったのだそう。

一生、フラフラと当てもなく彷徨いながら生きる、

自分の人生はそんなイメージだったんだって。



当時は、バックパッカーというのが流行っていて、

若者はリュックを背負って

世界中を格安で旅行していた。


『地球の歩き方』もそういう人たちが

記事を投稿していた。



ママは生まれて初めて、しかもひとりで

海外へ旅立った。



そのころはスペインへの直行便がなかったので

とりあえず、フランスのパリまで。


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パリからは国際列車でスペインのマドリッッドへ

行く予定だ。

地図 - コピー 


ママ: まずパリに着いたらね、

  空港から市内にでなくちゃいけないわけ。

  で、国際駅に行く。



私: 成田空港から東京駅へ行くような感じだね?



ママ: そうそう!

  空港で、『会話集』を広げて、

  「市内へ行くバスはどこですか?」って聞いてみた。

  そしたら、その人が指さした先にバス停があったの。



  タイミングよくバスがやってきた。


  たくさんの人たちがわ~っと群がってきて、

  みんなバスの下部に荷物を積み込んでるんだけど、

  私は肩に担いだバッグだけだったから、

  そのままバスに乗り込んだ。


  一番に乗り込んで、

  「あれ~?お金を払うところがないなあ?」

  って思いながら、

  一番前の座席に座ったの。


  で、続々と乗客が乗り込んできて、

  ほぼ満席になったの。



そして、バスが出発すると、

ママは不思議な光景を目にすることになる・・・。

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ヒッピーになりそこねた(6)

ひとりの男性が運転手の横に立って、

なにやら自己紹介らしきことを始めたのだ。


身振り手振りで面白おかしくしゃべっていて、

みんなの笑いを誘っている。


ママは生まれて初めて聴くフランス語で

意味はまったく分からないが、

バスの中で自己紹介をするなんて

なんてフレンドリーな国だろうと思った。



そのとき。

笑顔でしゃべっていた男性がふとママの方を見た。



その瞬間、さっと顔色が変わり、

「໓ໃໃຢฑൡ൲൴൧൮൫!!!」

と叫んだ。


うろたえるママ・・・。


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彼はなおも凍りついた表情で叫び続ける。

「൧൮໓ໃໃຢฑൡ൲൴൧൮൫!!!」



ママ: (う・・・・あ・・・、な、なに?)

  (あ、もしかして、乗るときに

  お金を払わなかったから?)


  え、えっと・・・・

  あ、あの、 ハウマッチ?



無賃乗車をなじられているのだと思ったママは、

お財布を見せながら、

必死で払う意思があると伝えようとしたんだけど、



彼はますますエスカレートして、

「ൡ൲൴൧൮໓ໃໃຢฑൡ൲൴൧൮൫!!!」

と叫び続けている。



そして、乗客たちは全員総立ちになって、

「なんだ、なんだ」と大騒ぎしながら

ママの方を見ている・・・・・

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ヒッピーになりそこねた(7)

(ど、どうしよう? 何を言ってるの?)
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そのとき、突然、日本語が聞こえた。


「あんた、日本人?」


ママはその声のする方へ振り向いて、

「はいっ、そうです!」って叫んだ。


(助かった!)


ひとりの中年のおばさんが、かたことの日本語で

「これはわたしたち韓国人のツアーバスよ」

と言った。


ママ: (ええっ?)

  (韓国人?)

  (ツアーバス?)

  (じゃあ、しゃべっていたのは、韓国語?)


  (どうりで語尾が

  「~ムニ」 「~スミ」 って、

  やたら「」が耳について、


  フランス語ってこんな感じだっけなあ?

  って思ったんだよね・・・・・ )



とにかく、自分が間違えて韓国人のツアーバスに

乗ってしまったことだけは分った。


そうだ・・・・

飛行機、大韓航空だったっけ。


成田を出発した飛行機は、

2時間後にはソウルへ着き、

韓国人ツアー客を乗せて

パリへと飛んだのだ。


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ヒッピーになりそこねた(8)

片言の日本語が話せるおばさんは、

添乗員らしき人と相談したのか、

「市内までは乗ってよろし」と言ってくれた。

(「よろしい」ではなくて、「よろし!」と言った)


今でこそ「韓流ブーム」が起きて、

戦争を知らない若い世代の人たちは

「反日感情」をそれほど意識することは

ないかもしれないけど、


当時はまだ反日感情がけっこう強く残っていた。


特に年齢が上がるほど、その傾向は顕著で、

この観光バスに乗っている人たちは

ほとんどが中高年層だったから、


「乗っていていい」と言われたけど、

「親切で」というよりも、

「迷惑だけど仕方ない」といったニュアンスだった。



確認もせず、早とちりして、

バス停に来たバスに飛び乗ってしまったママは、

もう車窓の景色を楽しむゆとりもなく、

ただただ小さくなっているしかなかった。



今度は、

「これが韓国語かあ」と思いながら

車中で飛び交う言葉を聞いていた。



そして。



市内に入ると、突然バスが止まった。


ドアが開き、

先ほどのおばさんがまた片言の日本語で、

自分たちはここから市内観光に入るので、と

ママに降りるよう、促した。



荷物を持って降りたママは、

周りをきょろきょろと見回し、

そこがごく普通の道端であることに愕然とし、

救いを求めるようにおばさんを見た。



おばさんは、

金は要らない、行ってよろし」と・・・・・。


次の瞬間、ドアがピシャッ!と閉まり、

バスは走り去った。





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ヒッピーになりそこねた(9)

そこは駅でもなく、

わかりやすい建物の前でもなく、

ごくごく普通の道端。



20キロの荷物を肩に担いだママは、

(リュックではなく、肩からかけるナイロンのバッグ)

ひとりぽつんと立ちつくし、途方に暮れた。



そもそも、自分がいったいどこにいるのかすら

わからないのだ。


パリの地図を持っているわけでもない。


右も左もわからない。


どうしたものか。



少し歩くと、大通りに出た。

車がたくさん走っている。


そうだ、とりあえず、タクシーをつかまえよう。

スペイン行きの列車が出る「オーステルリッツ駅」へ

行かなくちゃ。

夕方6時の寝台列車に乗って、

翌朝9時ぐらいには

スペインのマドリッド駅へ着く予定である。


日本のように手を挙げると、

タクシーが止まってくれた。


旅行会話集を見ながら、

「オーステルリッツ駅へ行ってください」と言ってみる。



が・・・・。

何やら質問してくるのだ。


「? ? ?」

ママが答えられずにいると、

運転手は手で降りるように促し、走り去ってしまった。



別のタクシーを止める。


乗り込まずに、

「オーステルリッツ駅へ行ってください」

と言って様子を伺うと、

またもや、何か質問してくる。



「? ? ?」

そして、バタン!とドアは閉まり、走り去る。



3台目に挑戦するも、結果は同じ。



きっともうタクシーはだめだ。


どうしよう・・・・・。




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ヒッピーになりそこねた(10)

このとき、ママは

フランスの地下鉄路線図を持っていることを思い出した。


日本を出発する前に、

スペイン政府観光局と

フランス政府観光局へ行って

役に立ちそうな資料をもらっておいたのだ。



  ( ↓ これは最近のもの。

      30年前はもっとシンプルだったと思う)


パリ地下鉄 

フランス語は読めないけど、

路線を辿って行けば目的地へ着けるはず。



今はまだ午前中。

スペイン行きの列車は夕方の出発だから、

いくらなんでもそれまでには到着できるだろう。



よし!

ママは腹をくくった。



再び、 『6か国語会話集』を開く。


フランス語で、「地下鉄はどこですか?」は、

「ウ・エ・ラ・メトロ?」



行き交う人に、「Excuse me」って呼びとめて、

「ウ・エ・ラ・メトロ?」って聞く。


たいていの人が、その方向を指さしながら、

「Vous allez tout droit jusqu'au~」って教えてくれる。



話している内容はちんぷんかんぷんだから、

指だけを食い入るように見つめ、

「サンキュー」って、指さした方向に進む。



5メートルぐらい歩いたら、立ち止まり、

また誰かを呼びとめて、

「ウ・エ・ラ・メトロ?」って聞いて、

指さす方向へ進む……。



それを繰り返しながら、少しずつ地下鉄の駅へ

近づいて行く作戦だ。



10人目ぐらいのとき、

指さす先には、地下へ降りていく階段が!


やった!ようやく駅だ!


喜んで階段を下りて行くと、

あれ? 受付・・・・?


ここは地下鉄の駅ではないのかと聞くと、

「劇場」だという。



あ~あ・・・・


20キロの荷物を担いで地上に戻り、

再び5メートルおきに道を聞いていく。



そして、遂に!

駅に到着。



駅名を地図上で探して驚いた。

目的のオーステルリッツ駅とママが今居る地点は

地図の端と端。



ママ: エフちゃん、

  東京駅へ行かなくちゃいけないのに、

  今は横浜駅に居るような感じだよ。

  タクシーに乗れなくて良かった!

  恐ろしいほどの料金がかかるよね・・・・








 

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ヒッピーになりそこねた(11)

さあ、ここからは楽々。


東京に住んでいたことがあるので、

地下鉄の乗り換えは慣れている。


何回か乗り継いで、無事オーステルリッツ駅に着いた。


 ( ↓ 現在の
オーステルリッツ駅はこんな感じ)

250px-Gare_Paris-Austerlitz.jpg 
  (wikipediaより)


ママ: ここでさらなる試練が待ち受けていたのよね。

  マドリッド行きのチケットを買わなくちゃいけないのに、

  切符売り場に並んで、自分の番が来ても、

  切符が買えないの。


私: どうして?


ママ: 会話集を見ながら、

 「マドリッドまでのチケット」って言うんだけど、

 何かを聞いてくるの。

 フランス語だからわからないし、

 困っていると、

 手でシッ!と追い払うような仕草をされる。



後ろにもたくさんの人が並んでいるので、

ママにかまっていられないのだろう。



仕方がないので、また列の最後尾に並びなおす。



そして、ママの番がくると、

「成立しない会話」が再現され、

シッ!と追い払われる。


で、また最後尾へ・・・・。

そして、追い払われる・・・・・



困っていると、

誰かが「日本人ですか?」と声をかけてきた。


見ると、日本人の若い男性だ。

「リーガルの靴、履いてるから、日本人かなと思って」

ママはリーガルのスニーカーを履いていた。


彼もママと同じ目に遭っていた。

並んでは追い払われ、チケットを購入できない。


スペイン語で話してみたけどダメだったのだそう。

彼はスペイン語が話せる。

行先はママと同じマドリッド。


ここのチケット売り場は英語もだめ。


そう、つまり、こちらが何語で言おうが、

向こうはすべてフランス語でしか返してこないのである。

フランス語オンリー。


そういえば、学校で、

「フランス人はフランス語に誇りを持っているから、

フランス語でしか話さない」みたいなことを

聞いたような気が・・・・。
 

ママ: インフォメーションでもフランス語なの!

(当時の話です)


ふと気づくと、少し離れたところに

日本人らしき男性が二人、

ママたちと同じように困った表情を浮かべて

立ち尽くしていた。


彼らは大学生。

スペイン語を専攻していて、

これからマドリッドへ短期留学するところだという。


そのとき。



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ヒッピーになりそこねた(12)

さらなる悲劇が・・・・。


チケット売り場(2か所あったと思う)の窓口に

シャッ!とカーテンが閉められたのだ。



ああ・・・・


お昼休みに入るらしい・・・・

フランスではお昼休みは、ゆうに2時間はとるという。


もう並んでいる人は誰もいない。

ママたち4人はチケット売り場の前で取り残され、

顔を見合わせたまま、

「どうしよう・・・・?」


しばらくすると、

一か所の売り場のカーテンが少し開いて、

若いお姉さんがこちらを覗いた。



「お金は持っている?」と聞いてきたので、

頷いて、お財布を見せると、

何やらチケットを売ってくれるような素振り。



助かった!


どうやらママたちに同情してくれたようである。


各々、チケットを握りしめ、ほっとする・・・・。


ママ: 売り場の人がフランス語で質問してきたのはね、

  席を1等にするのか、2等にするのかとか

  たぶんそういうことだったみたい。

  (これは随分あとになってわかった)



出発は夕方6時だから、まだ時間がある。


4人で駅近くの「パリ植物園」を観光することにした。


たまたまここで出会っただけなんだけど、

同じアクシデントに巻き込まれ、切り抜けると、

なんだか「同士」のような連帯感をもつから

不思議である。


ママ: エフちゃん、今考えれば、

 こんなのはアクシデントの範疇にも

 入らないんだけどね。

 チケットを買うのに、てこずっただけなんだから。



ママたちはこのあと、本当の「アクシデント」に

巻き込まれることになるんだけど、

この時はそんなことなどつゆ知らず、

みんな初めてのスペインにワクワク胸を躍らせながら、

のんびり「パリ植物園」を楽しんでいた。

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 (現在のパリ植物園のHPから)


ちなみに・・・・

最初に声をかけてきたお兄さん(マサ氏)は20代半ば。


関西でサラリーマンをしていたんだけど、

ある朝、通勤の途中に突然、

「俺は何をやってるんだ!」と思って、電車を降り、

会社を辞めてしまったのだという。


大学時代にスペイン語を学んでいたのだそう。


大学生のタカ君、モト君は

スペイン語を専攻しているので、

休学して短期留学に行くところ。


スペイン語ができるこの3人と出会ったのは、

幸運としかいいようがない。


言葉なんてできなくたって、人類みな兄弟なんて

楽観的だったママには、とんでもない苦難の道が

待ち受けていたからだ。



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ヒッピーになりそこねた(13)

パリを夕方6時の寝台車で出発する。


チケットに記載された指定席は

1つのコンパートメント(個室)に2段ベッドが2つ。

4人なのでちょうどいい。


荷物を置いて食堂車へ移動し、夕食をとる。


その後は

車窓から見える異国の景色を楽しんでいたが、

みんな疲れていたので

早めに就寝することに。


翌朝目が覚めたら、もうスペインだね、って、

ワクワクしながら横になると、

列車のゴトンゴトンという単調な音と振動の中、

ママはすぐに深い眠りへと落ちていった。



そして・・・。

どのくらい経ったのだろうか。


騒がしい音で目が覚めた。

辺りは真っ暗で、まだ夜中のようである。


コンパートメントの入口に車掌らしき男性が立って、

大声で叫んでいる。


何を言っているのか、

一体何が起きたのか、

事態が飲み込めずにいたが、

乗客たちがどんどん列車から降りていく。


「荷物を持って、列車から降りろ!」

たぶん、そう叫んでいたのか・・・・。


わけのわからないまま、

とりあえず荷物を持って列車から降りる。


駅の外には人だかりができている。


しばらくするとバスがやってきた。

全部で3台。

今度はそのバスに乗れと。


何がどうなっているのか・・・。


バスは出発すると、

真夜中の道をひたすら走り続ける。


どこに連れて行かれるのだろう。

このまま捕虜収容所へでも連行されるのだろうか。


とにかく言葉がわからないので不安で不安で

しようがない。


約3間後、ようやくバスが止まった。




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ヒッピーになりそこねた(14)

バスが止まったのは、鉄道の駅の前。

ホームには列車が止まっている。


バスから降りた乗客たちが、

われ先にと列車に乗り始める。


まるで真夜中の民族大移動の絵さながらの光景である。


ママたちは、自分たちの指定席を探してウロウロ。

ようやく辿り着いたコンパートメントのドアを開けて

びっくり。

4つのベッドには、見知らぬ黒人たちが寝ている。


チケットを見せながら身振り手振りで、

ここは私たちの席だと伝えようとするが、

彼らはちらりとママたちを見て、知らんぷり。


さあ、困った。


席を間違えていることを

どうやって分らせればいいのか。


「どうしよう」

通路に立ち尽くしていると、

列車が動き始めた。

 (通路のイメージ。左側が車窓、
  右側がコンパートメント)
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そのとき、大柄な体つきの車掌がやって来て、

「早く部屋に入れ」というようなことを叫んでいる。


ママたちは、

自分たちの指定席に、

他の人たちが乗っていると伝えようとするが、

もちろん言葉は通じない。


そして、 車掌は、

その人たちに向かって、

「もしもし、ここはこのお客さんたちの席ですよ」

と言ってくれるどころか、


ママたちに向かって、

「なにしてるんだ!

列車はもう動いてるんだぞ!

空いてる席を見つけて早く中に入れ!」

らしきことをわめいている。


仕方がない。


あっちこっちのコンパートメントを覗き、


 (コンパートメントのイメージ)
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ひとつでも空いている席を見つけて、

4人バラバラに寝台にもぐりこんだ。




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ヒッピーになりそこねた(15)


ママ: それで結局、何が起きたかというとね、

  フランスからスペインへ向かう国境辺りに、

  「バスク地方」っていうところがあるんだけど、

バスク地方

  当時、そこでよくテロ事件が起きていたらしいの。


私: こわ~っ!


ママ: うん、でも、

 今みたいにネットがあるわけじゃないし、

 情報は少なかったからね。

 なんにも知らなくて。


私: それで?


ママ: 列車の進行先の線路上に、

 爆弾を仕掛けたという情報が入って、

 見に行った警官が殺されたんだって。


私: え~っ?


ママ: それで、列車を止めて、

  危険区域をバスで迂回した、というわけ。


  現地の人たちはそういう事情を分かってるから、

  バスから降りるやいなや、

  われ先にと列車に乗り込んで

  すぐに自分の席を確保していたわけ。


私: そっか、非常事態のときはもう指定席なんて

  関係ないんだ。


ママ: それなのに、日本人は律儀だから、

  自分の指定席に戻ろうとしちゃって。(笑)


何はともあれ、このあと列車は無事に走り続け、

翌朝には、スペインの首都、マドリッドに到着した。



そして、ママたちが、

自分たちの身に何が起きたのかを知ったのは、

この翌日である。


ママ: もし言葉がわかっていたら、

  あのとき、何が起きているのか理解できるので、

  すごくこわくて不安だったかもしれない。


  でも、何にもわからないまま、

  急き立てられるように

  ただ、バスに乗ったり、

  列車に乗ったりしていただけだから、


  後で事件のことを聞かされても、

  「え~!そうだったんだ~」って

  なんか、他人事みたいだった。




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ヒッピーになりそこねた(16)

さて、マドリッドに着いて、みんなとはお別れ。


無鉄砲のママと違って、

3人は事前に日本の旅行会社を通して

宿泊先を手配してきていたから。


ママはひとりで『地球の歩き方』を片手に

今夜の宿を探す。



スペインではホテルを「HOSTAL(オスタル」という。



ママ: スペイン語って面白いの。

ほとんど「カタカナ読み」すればいいの。

日本語の母音は、「ア・イ・ウ・エ・オ」でしょ?

スペイン語は、「ア・エ・イ・オ・ウ」なの。(笑)


だから発音しやすい。


たとえば、「駅」は、

英語だと、「station」で、「ステーション」だけど、

スペイン語だと、「estación」で、「エスタシオン」


私: へえ!(笑)


ママ: HOSTALはね、安いところだと、

建物の1フロアに、

貸し部屋がいくつかあるような感じ。

住人たちの居住スペースも一緒になっている。


私: ああ、つまり、部屋をたくさん作って

  宿泊用に貸しているんだね?

  民泊っぽいね。


ママ: うん、トイレとシャワーは共用で。


   道を歩きながら「HOSTAL」の看板を見つけたら、

   飛び込んで「今夜一部屋、空いてますか?」って

   聞いてみるの。 


   ほとんどの部屋がツインになってる。

  シングルはあんまりなかったなあ・・・・。


1人で泊まってもツイン料金を取られるから、

ママは日中、

独り歩きの日本人の女の子を見つけると、

「今日の宿は決まってる?」って声をかけて、

同宿できる人を確保するようにした。


 

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ヒッピーになりそこねた(17)

ママ: 当時は日記もつけていなかったから

  ここから先は、

  記憶だけを頼りに話すことになるので、

  時系列にはならないけど・・・。


私: ママはなんで今になってこの話を

  しようと思ったの?


ママ: う~ん・・・そうだね・・・・。

  セラピストをやってきて、

  いろいろと思うことが出てきたからかなあ。


私: たとえば?


ママ: 二つあるんだけど、

  ひとつはね、セッションに来る人って

  なんらかの悩みを抱えてくるわけでしょう?


私: ママのところに来る人って、

  そういう人、少ないじゃん。


ママ: あははは・・・・

  そうなんだよね。

  仕事とか、恋愛とか、人間関係の悩みよりも、


  わりと、

  「自分のやりたいことがわからない」とか、

  「自分がわからない」とかね、

  そういう人が多いよね。


  ミラクルセラピー講座を受講する人に至っては、

  「なぜかわからないけど、

  ここに行かなくちゃ!と思った」

  っていう人ばかりだしね。(笑)


私: それで?


ママ: うん、そういうのを聞いているうちに、

  ああ、なんて贅沢な悩みなんだろうなあって。


私: ? ? ?


ママ: スペインにいるときにね、

  レバノンから命からがら逃げてきた

  20代の男の子がいたの。


  その子にとっては、

  「生きる」ということは、

  「自分はいかに生きるべきか」って

  考えることではなくて、

  「明日のパンをどうやって手に入れよう?」

  ってことだったんだよね。


私: 詳しく聞かせて?



 

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ヒッピーになりそこねた(18)

ママ: うん。

  マドリッドでは最終的に

  長期滞在者用のHOSTAL(オスタル)に

  半年ぐらい住んだの。

  もちろん、1泊とかでもOKのところなんだけど

  比較的長く滞在する人が多かったのね。


  あるとき、

  レバノン人の男の子がやって来て・・・。


  彼は金髪で色白で、

  まるで王子様か貴公子のような印象を与えるほどの

  イケメンだったの 。

  27歳ぐらいだったかなあ・・・。


  「国から逃げてきた」って。


  美容師で、

  レバノンでも最高級のホテルの中に

  お店を持っていたんだって。


  仕事は成功していて、

  経済的にも豊かで

  美人の恋人がいて、

  高級車を所有していて、

  幸せに暮らしていたんだって。


  でも、あるとき、

  ホテルが爆破された。


私: え?


ママ: 当時、レバノンでは内戦が起きていたの。


そして、アメリカ、イギリス、イタリア、フランスなどの

多国籍軍が派遣されていた。


彼は、道には首のない死体が

ゴロゴロしていたと言った。

家族も、恋人も友人とも連絡が取れず、

安否もわからないまま、

有り金を持って、 ひとりで、

命からがら逃げてきたのだと。



スペインに着いて、

言葉がわからないので、

とりあえずタクシーを拾って

「ホテルへ」と言うと、

マドリッドの高級ホテルへ連れて行かれたのだそう。


2、3日宿泊したが、

とてもお金が持たないと思い、

安い宿泊先を探して、

ママと同じHOSTAL(オスタル)へ

辿り着いたのだった。




 

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ヒッピーになりそこねた(19)

ママが住んでいたHOSTAL(オスタル)は

とても家庭的だった。


オーナー夫妻はまだ若く、

ご主人は30歳ぐらいで、

奥さんは28歳だった。


小学校に上がったばかりの男の子と

3歳の男の子がいた。


ママ: ご主人はお勤めしていて、

 HOSTAL(オスタル)は

 奥さんがひとりで仕切っていたの。

 常時5~6人の滞在者がいて、

 滞在者専用のキッチンもあったの。

 
そこでみんなと顔を合わせることが多かった。


レバノン人の彼は優しい人だった。

みんなは何となく彼のことを敬遠していたけど、

ママは嫌いではなかった。


だからだろうか、彼もママには身の上話を

聞かせてくれた。


異国で身よりも知り合いもなく、

ひとりぽっちで

生きていくすべすらなく

3カ月の観光ビザが切れれば

不法滞在になる。


手に職があっても、

働くことができない。


生きることに切羽詰っていた彼の苦しみが

平和な日本で育ったママにはわかるはずもなかった。

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ヒッピーになりそこねた(20)

私: それで、どうなったの?


ママ: うん、すぐにスペイン人の女の子と結婚したの。


私: え~?


ママ: 彼はすごいハンサムだったでしょう?


  街を歩いていたときに、

  彼に一目ぼれした女の子が声をかけてきて、

  交際して1か月ぐらいで結婚したの。


  身寄りのない彼のために、

  HOSTAL(オスタル)の若夫婦が

  教会で立会人になって。



彼の本意はわからない。

祖国には安否のわからない恋人がいる。


それでも、「明日生きる」ためには、

スペイン人と結婚する以外にないのだ。


結婚すれば、

滞在できるし、

仕事もできる。

彼にとって「生きる」道が開ける。


「最近、よく彼のことを思い出すの」

とママは言った。


平和な日本で生活しながら、

命の危機におびえる必要もなく、

「自分のやりたいことって何だろう?」

って悩めるのは、

ある意味、贅沢な幸せだなあって思って。


ママだって、今思えば「自分探し」のために

スペインヘ行ったようなものなんだから。


私: そうなの?

  ヒッピーになるためじゃなかったの?

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ヒッピーになりそこねた(21)


ママ:ヒッピーにはなれなかったんだよ。(笑)

  言葉ができなかったから。


私: え~?

  だって、「人類みな兄弟」って思ってたんじゃ・・・?


ママ: 兄弟だって、

  言葉が違えば「会話」はできないんだよ。


私: そんな初歩に立ち返ったんだ。(笑)


ママ: そう。

 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

 の格言さながらに、

 まさに自分が身をもって体験した時点で

 ようやく悟るんだよね。(笑)


悟ったいきさつはこうだ。


ママはマドリッドへ着いて、

荷物を宿へ置き、

ひとりブラブラと街を散策していた。


そのうち、トイレへ行きたくなった。


「Excuse me(エクスキューズミー)」と言えば、

通行人は立ち止まってはくれるものの、


(トイレって、スペイン語で何て言うの?)


(えっと、デパートへ行けばトイレはあるだろうから、

デパートはどこですか?って聞けばいいのかな?

スペイン語でデパートって何て言うんだろう?)


通行人は、ママがまごまごしている間に、

立ち去ってしまった。


このとき、はじめて。


ママは、(どうしよう!言葉がわからない!)

って焦った。


当時のスペインでは英語は全く通じなかったし。

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ヒッピーになりそこねた(22)


私: 用意周到とか、

  備えあれば憂いなしとか、

  全く考えない人だったんだね。


ママ: っていうか、

 「言葉がわからないと困るんじゃないかな」

  っていう発想自体、なかったわけだから。

  何とかなる、って思ってたわけでしょ?


私: でも、何とかならなかったじゃん。


ママ: そうそう。(笑)

  で、ヒッピーになる前に、

  まずは言葉を勉強しなきゃ、ってね。


私: ははははは・・・・・


ママ: さっき、いまさらこんな昔話をしようと

  思ったわけが二つあるって言ったでしょう?

  二つ目がこれなの。


  後々になって、

  自分の人生を振り返ったとき、

  若気の至りだったとはいえ、

  なんて軽率で無鉄砲だったんだと

  思ったりしたこともあったの。


  もちろん後悔はないけど。


  でも、18、19歳ぐらいならともかく、

  20代半ばって言うと、

  周りはみんな学校を卒業して

  社会人になってる わけだからね。


  今みたいに「フリーター」なんていう言葉も

  なかったしね。



そう、ママはある意味、

アウトサイダーだったのだ。



ママ: 別にやりたいこともなかったし、

  将来のことを考えるわけでもないし。


親世代からみると、

決して感心のできる生き方ではなかっただろう。



ママ: ところがね、今の時代は

  高校とか、ううん、中学校とかでも

  不登校の子供がいる時代でしょう?


  ときどき、クライアントさんからも

  そういう相談を受けたり、

  直接お子さんと話すときもあるんだけどね、


  そんなときにいつも思い出すのが、

  このときのことなの。



  そして、


  大丈夫、

  人生なんて、いくらでもやり直しがきくし、

  たとえ周囲に照らして

  遠回りをしているように思えても、

  その経験が生きるときは必ずくるし、

  だからそんなに深刻に悩まなくたっていいよ、

  って思えるんだよね。

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ヒッピーになりそこねた(23)


人生の選択肢なんていくらでもある。

周りと歩調が違ってたって、大丈夫。

自分は自分のペースで生きればいい。



ママは自分の経験を踏まえて、

そんなふうに思うようになったんだけど、


何よりそのことを知ってほしいのは、

子供の不登校に悩んでいる親御さんの方なんだって。



ママ: レールから外れずに生きてきた親ほど、

  子供のことを心配するから。


  そして、

  「普通は学校へ行くでしょ!」

  「普通は・・・・」

  「普通は・・・・」

  って、子供を追い詰めてしまう。


  それは自分の価値観にすぎないのに、

  そのことに気が付いてない。


  あるとき、不登校の子供が

  ぽつんとこう言ったの。


  「自分は普通じゃないから、

  存在価値がない。

  死んじゃった方がいいんだ」って。


  胸が締め付けられる思いだった。


  普通じゃないことがそんなにいけないこと?

  「普通」ってなに?って。


  中学生ぐらいだと、

  自分の世界は学校と家庭が大半でしょう?


  学校に行かなければ

  居場所は家庭しかない。


  でも、その家庭の中で

  「おまえは普通じゃない・・・」って

  追い詰められたら・・。

  生きる気力も奪いかねない。



  でもね、

  世界は広いんだよ。


  視野を広げてみたら、

  いろんな生き方をしてる人がたくさんいるんだよ。


  大事なことは自分が後悔しないように
  
  自分らしく生きることなんだよ、って

  伝えてあげたい。


  大丈夫なんだよ、

  これから成長して、

  自分の目にする世界が広がれば、

  きっと、

  自分は自分でいいんだって思えるから、
 

  どうか自分はダメな人間なんだとか、

  生きている価値がないとか、

  そんなふうに自己否定しないでね、って。

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ヒッピーになりそこねた(24)

私: つまり・・・・

  ママが今になって

  若いころのことを思い出したのは、


  平和な国にいて、

  「人生」について考えるのは、

  なんて贅沢で 幸せな事なんだろう、

  って思ったことと、


  人生は回り道したり

  道草をくっているように思えても、

  体験したことはいずれ「糧」になる、

  だから、「すべて良し」なんだ、

  っていうことを伝えたかったから?



ママ: まあ、そんなとこかな。(笑)

  エフちゃん、要約するの、上手いじゃない!

  ははは・・・


  あとね、スピリチュアルを学んで、

  人はみなシナリオを決めて生まれてくるってことが

  わかったでしょう?


  私も若いころは、何の考えもなく

  フラフラ生きてきたように思ってたけど、


  最近になって、

  子供の頃からのいろんな出来事、


  たとえば、

  小さい頃に読んだ本も、

  興味を持ったことも、

  出会った人たちも、

  就いてきた仕事も、

  ぜ~んぶ1本の糸に繋がり始めたの。


  それで、
  
  な~んだ、結局、

  こういう風になってるのかって。


  自分のやってることの関連性がわからなくて、

  ジグゾ-パスルのように

  あっちのピース、

  こっちのピースって

  ばらばらになってるときは


  さも思いつきだけで

  あれをやったり、

  これをやってみたり、

  無意味なことをやってきたって思いがちだけど、

  人生には本当になにひとつ

  無駄はないんだなあって。


  ヒプノに出会ったときだって、

  「このまま何もしないで私の残りの人生は

  終わってしまう」って焦ってたけど、


  ハイヤーセルフは、

  「これからのあなたの人生は、

  『残りの人生』ではありません。

  これからが本番なのです」

  って言ったの。   


  それを聞いたとき、

  「え~っ?」って驚いたけど、

  本当にその通りになってるし、


  だから、

  人生のメインがどの時期にくるかなんて

  人によって異なるんだから、


  「標準コース」でなくても心配することはないし、

  それよりも

  自分らしく生きていけばいいんだと思うんだよね。

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ヒッピーになりそこねた(25)


スペインでは、いろんな日本人に出会った。


今と比べれば、自由に生きている人は

まだまだ少なかったかもしれないけど、


ママ: でも、田舎よりは東京、

  そして、東京よりはスペインで、

  自由人と出会う確率は高かったよね。


ママは滞在中、フランスで困難を共にした

マサ氏、タカ君、モト君とは頻繁に会っていた。


ママ: 携帯電話もない時代なのに、

  どうやって連絡を取り合ってたのかな?

  覚えてないけど。(笑)


マドリッドに到着して間もないころ、

せっかくだから、

「闘牛」を見に行こうということになった。


そこでひとりの日本人の男の子に出会った。

20歳だという。


ママ: 驚いたのはね、まだ20歳なのに、

  老人のようにというと大げさだけど、

  すっごく老けて見えたの。

  なんかもう、

  人生に疲れ切っている感じで。


彼は高校を卒業してから2年間、

世界を放浪してきたのだという。


(わ~、すてき!)

さぞかし面白い話をたくさん聞けるかと思いきや、

彼の口から出たのは意外な言葉だった。


「もう疲れた。

日本が一番いい。

早く日本に帰りたい」


私: 何があったんだろう?


ママ:怖い目にいっぱい遭ったんだって。

  一番怖かったのは、

  コロンビアにいたときだって。


  昼間、普通にアパートにいたら、

  制服姿の警官がいきなり入ってきて、

  銃を突きつけ、「手を挙げろ」。

  「金を出せば命は助けてやる」って。


  強盗じゃなくて、警官だよ?

  そんなの、日常茶飯事だったって。


その後、続けて言った言葉が怖かった。

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ヒッピーになりそこねた(26)

ママ: 抵抗したら、

  銃で撃たれて、

  その辺の川に死体を放り投げて終わり、って。


  「川に死体が浮いてたって、

  身元不明で処理されるだけ」って。


  それを聞いたとき、

  あ、確かにそうだよね、って。


  死体になっても、

  パスポートを所持していなければ、

  身元なんてわからないし、


  放浪してたら、

  今どこにいるかなんて

  日本の家族にだって知るすべがないんだから、

  待てど暮らせど帰って来なくて、

  最終的には

  行方不明ってことになるんだろうな、って


  そう考えたら、ぞっとしちゃった。



彼はくたびれた老人のような顔で、

「日本が一番いい。治安もいいし」って。


放浪の最後に闘牛を見ようと思って

スペインへ来たのだという。


マドリッドへ到着したばかりで

ワクワクと胸躍らせているママたちには、

彼の話を聞いてもあまり実感がなかった。


ママ: でも、マドリッドだって、

  決して治安が良かったわけではないけどね。


私: そうなの?



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ヒッピーになりそこねた(27)


ママ: 当時はそんなによくなかった。


マドリッドへ着いて、

とりあえず腹ごしらえしたいけど、

スペイン語もわからないし、という人の多くは、

「マクドナルド」へ行く。


なにしろ、マドリッドの中心地に位置しているし、

外観もゴージャスで目を引くのだ。

mig.jpg

中へ入ると、床は大理石!


ママ: ここでやりがちな失敗はね、

  特に一人旅の人なんだけど、

  テーブルを確保して、

  そこに重たい荷物をよいしょと降ろして、

  そのまま注文に行ってしまうこと。


私: ? ? ?


ママ: ハンバーガーを買って戻ってきたら;、

  荷物は消えている。


私: 盗られちゃうってこと?


ママ: もちろん。

  置いて行く=盗られる。



それはお店に限らず、どんな場所でも。


ママ: 私たちと同じように列車でスペイン入りした

  日本人の男の子に出会ったんだけどね、

  彼は列車の網棚に荷物を載せたまま

  トイレに行って戻ってきたら、

  荷物がそっくり消えていたって。


  だから、

  スペインヘ着いたときは何にも荷物がなくて

  貴重品だけ持ってた。


私: うわ~! かわいそう!


ママ: もっと悲惨なのは、団体の観光客。

  ひと目で「観光客」ってわかるから、

  すぐに狙われる。


  あるときなんてね、

  日本人の団体さんが添乗員の後ろを

  2列になってぞろぞろと歩いてたの。


  そしたら、盗人がその列を見るや否や

  ダ~ッ!って全速力で後ろから

  追いかけていって、

  ひとりの男性が肩にかけていたカメラを

  追い越しざまにひったくったの。


  彼が「あっ!」と叫んだ時には、

  盗人の姿は、もうはるか前方にあった。


私: ママはそれを目撃したの?


ママ: うん。



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ヒッピーになりそこねた(28)

ママ: HOSTAL(オスタル)の主人に

  言われたんだけどね、

  もし盗んでいる現場を目撃しても、

  言っちゃだめだって。

  日本みたいに、「どろぼ~!」なんて

  叫んだらだめなの。


私: どうして?


ママ: 凶器を持ってるから、

  騒いだら刺されちゃうって。


  それとね、

     いつも50ペセタ(お金の単位はペセタ)

  紙幣を持ち歩きなさいって。


  もし強盗にあったら、

  それを差し出せば、命だけは助かるから、って。


  あのころは1ペセタが2円ぐらいだったと思うから、

  約1,000円だね。

  大卒の初任給が6万円ぐらいだったと思う。


私: もし紙幣を持っていなかったら?


ママ: 「お金がない」って言うと、

  刺されるかもしれないから、

  必ず1枚は持ち歩いて、

  「金出せ」って言われたら

  差し出すように、って。


私: そうなんだ~!


ママ: 一度ね、シエスタ(お昼休み)に

  街を歩いてたらね、

  観光客らしい中年の女性が

  お店のウインドウを覗きこんでいたの。

  ショルダーバッグが背中側に回っていて。


  そしたら、目つきの悪い二人組が

  目ざとく見つけて、

  ひとりが通りに立って見張り役、

  もうひとりがそおっと女性の背後から近づいて行って、

  スッとお財布を盗んだの。

  ほんの一瞬の出来事だった。


私: ええ? ママはどうしたの?


ママ: すぐに駆け寄って、

  「お財布を盗まれましたよ!」って

  言ったんだけど、その時はね、

  「マネー!」っていう単語が出てこなくて、

  「ディネロ! ディネロ!」ってスペイン語で

  叫んでた。


  だから、その人、

  たぶんアメリカ人だったんだと思うけど、

  「?」って顔で。


  脳みそは、

  (何だっけ?英語でお金って何だっけ?)って

  フル回転するんだけど、

  もうスペイン語しか出てこなくて。

  すごくもどかしかった。


 お知らせがあります!(*^_^*)


 

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ヒッピーになりそこねた(29)

とにかく、


治安の良い日本では考えられないことばかり。


ママ: たとえばね、当時の公衆電話はね、

  あらかじめ電話機の上に

  硬貨を何枚か立てて置いておくの。

  

  1回の通話可能時間が3分だとすると、

  3分経つごとに、

  硬貨が順繰りに投入口に落ちていくしくみ。


  ある日、電話中に、硬貨を補充しようとしたら、

  1枚が下に落ちちゃって、

  公衆電話ボックスの下のすき間から

  外に転がっていったの。

スペイン電話

  通りかかった若い男性が駆け寄ってきて

  拾ってくれたから、

  「親切!」って思ったら、

  そのまま持ち去ってしまって。(笑)


私: え~?

  拾ってくれたんじゃなくて、

  盗って行っちゃったんだ。


ママ: あとね、すごかったのはバスに乗ったとき。

  前扉から乗車して、運転手にお金を渡すの。

  運転席の脇にお金を置く台があって、

  運転手は受け取ったお金を

  コイン別に並べるんだけど・・・。

61j1F3HaudL__SL1000_.jpg

  あるとき、

  赤信号で止まったら・・・。

  運転手がいきなり硬貨をわしづかみにして、

  ズボンのポケットに突っ込み始めた。

  3回ぐらい繰り返してたかな。


私: それって、乗客から丸見えなんじゃ・・・


ママ: もちろん。

  でも、みんな見て見ぬふりだったよ。



 

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ヒッピーになりそこねた(30)

ママ: ある日本人の女性は、

  宿泊していたホテルで深夜、銃声が聞こえて、

  翌朝、中庭に銃弾が落ちていてびっくりした、

  って言ってたし。


  スリやひったくりも多かった。

  日本だと、スリって単独のイメージがあるでしょ?


私: うん、男性ひとりとか。


ママ: スペインでは、

  親子連れのスリもけっこういたの。


私: え~っ?


ママ: 小さい子供を連れたお母さんとか。


私: 家族だと、まさかスリだとは思わないよね。


ママ: そこを狙ってるんだね。

  ある日、横断歩道の信号待ちしてたんだけど、

  その日は微熱でぼ~っとしてたの。


  左隣に立ってた人が、

  「気を付けて!盗みよ!」って大声で言ってくれて。


  肩からかけていたバッグを見たら、

  右隣に立っていた女性が、

  そおっとバッグのファスナーを

  開けようとしていたみたいなんだけど、

  大声を聞いて、パッと手を放して、知らん顔。

  その人も小さい子供を二人連れていて・・・・。


  親子連れでも油断大敵。


私: 隣の人が教えてくれて良かったね。


ママ: もっとも、バッグの中には

  辞書しか入れてなかったけどね。

  貴重品はいつも上着の内ポケットに

  入れてたから。

  そして、ファスナーには「鈴」を付けて、

  誰かが触ると音で分かるようにしてた。


  でも、そんな日常を過ごしているうちに、

  いつのまにかすごく用心深くなって、


  帰国したときは、

  電車の中でバッグを膝に乗せたまま

  居眠りしている人たちを見ると、

  (ああ、危ない!盗られちゃう)って。(笑)



 

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ヒッピーになりそこねた(31)

ママ: 国がまだ貧しかったんだよね。

  デパートの前ではジプシーの3歳ぐらいの女の子が

  一生懸命フラメンコを踊ってたり。

  その子の親が少し離れた所から見てるの。

  子供だと、みんなが同情してお金を恵むでしょう?

  こんな小さい子に踊らせてお金を稼がせるんだ、

  って驚いた。


  あとね、物乞いをする人たちもね、

  組織になってるみたいだった。


私: なんでわかるの?


ママ: 毎朝、地下鉄の駅から

  ぞろぞろと集団で出てきて、

  「じゃあな、今日も頑張ろうぜ!」


    みたいな挨拶しながら方々に散って行くの。


  手にはお金を恵んでもらうための、

  洗面器みたいな容器を持っていて。


私: ええ~?


ママ: 小さい子供を連れている人もいるんだけど、

  聞いた話では我が子ではなくて、

  「借りてる」らしいの。

  その組織に属している人たちの子供たちなんだって。



マドリッドの中心地には

売春をしている女性たちも

常時たむろしていた。

2,000円が相場なのだとか。

(新卒の月給が6万円ぐらい)

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ヒッピーになりそこねた(32)

ママ: 画期的だったのはね、「蚤の市」。

  日曜日の朝にやってるんだけど、

  「泥棒市」とも呼ばれてるの。


私: 泥棒市?


ママ: 泥棒して手に入れたものも売ってるらしい。

  半信半疑だったんだけど、

  行ってみたら本当にそうだった。


私: どうして盗品ってわかったの?


ママ: ケンカしてたから。

  店の人とお客さんが。


  レコードを並べて売ってるお店があったの。


  そこへやってきた中年のおばさんが、

  商品を見るなり顔色を変えて、

  「これは先週うちから盗まれたものだ!

  あんた、盗んだんだね!」って 、

  持っていたハンドバッグを振りかざして

  店のおばさんを殴ろうとしたの。


私: え~・・・・・?


ママ: そしたら、店のおばさんもすごい剣幕で

  「人聞きの悪いこと、言うんじゃないよ!」

  って怒鳴り返して。


ママがそこまでスペイン語がわかるはずもないので、

「雰囲気からすると、

たぶんそういう会話だったんじゃないか」

ってことだと思うけど。


ママ: それにね・・・。




 

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ヒッピーになりそこねた(33)

ママ: 日本語を勉強しているスペイン人の女の子と

  友達になったのね。


  お父さんが宝石店を営んでいて、

  かなりのお金持ちなんだけど。


  夏に一家で日本へ旅行して戻ってきたら、

  応接セットが一式そっくり盗まれてたんだって。



私: え・え・え・・・!


ママ: 住んでたオスタル(アパートメント)の

  ご主人もね、「とにかく泥棒が多いから

  車で出かけるときも気が抜けない」って。


車で出かけたときは、駐車場に停めたら、

カーステレオなどは全部取り外すのだそう。


ママ: そうしないと、

  窓ガラスを割って盗まれるんだって。


そもそも、車は走りさえすれば

用途を満たしているという考えなので、

ぶつけたりしても修理をしない。


路上に止めてある車は

みんなボコボコである。


ママ: 日本のように、

  傷がついたり、へこんだりしたら

  修理に出してきれいにする、っていう考えは

  ないんだよね。


私: そうなんだ~


  ねえ、ママ、今さあ、

  「日本語を勉強しているスペイン人」って

  言ったけど、どうやって友達になったの?


ママ: ああ、それはね・・・。笑




 

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ヒッピーになりそこねた(34)

ママ: スペイン語を話せるようになるには

  どうしたらいいかな~って考えてね、


  そうだ! 

    日本語を勉強しているスペイン人を

  探せばいい!って思ったの。


私: どうやって探したの?


ママ: 日本の大学でも外国語を勉強するときに

  「外国語学部」ってあるじゃない?

  そういうところを探せばいいかな、って思って、

  マドリッド大学を覗いてみたら、あったの、

  日本語を学ぶコースが!



ここで付け加えておくと、

ママはいきなり大学のことを閃いたわけではない。


マドリッドへ着いて、

言葉が全くできず、

これではヒッピーどろこか、生活もままならないと

ようやく自覚したママは

まずスペイン語を勉強しなければと思った。



タカ君とモト君がマドリッド大学の語学コースへ

通うというのを聞いて、

ママも一緒に学ぶことにしたのだ。


海外の大学にはたいてい

大学進学を目指す留学生のために

語学学校が併設されている。


ママ: 入学するにも、大学の事務局へ行って

  手続きしなくちゃいけないでしょ?


  タカ君やモト君はちゃんと事前に

  日本の旅行会社を通して

  手続き済みなんだけど、

  私は自分でやらなくちゃいけない。


  でも一言も話せないし。


  そうしたら、

  たまたまそこに日本人の男性が

  手続きに来ていて・・・。

  彼が見かねてサポートしてくれた。


  「一言も話せないんですか?」って

  驚きというよりも、あきれた感じで・・・・。


そりゃあ、そうだろう。


みんなスペイン語を学ぶための

確たる目的を持っている。


仕事で必要とか、

もっとレベルアップしたいとか、


ママ: あと、フラメンコを学びに来ていて、

  そのためにはスペイン語が必須だからとか。


ママのように何の目的もなく

ただふらふらしたいだけで、

下地も全くなくて、

おまけに年齢だってもう20代半ばなんて・・・・。


ママ: 世の中は、

  人生にしっかりした目的を持って歩んでいる人は

  「偉いね」って言われるけど、

   行き当たりばったりで生きてる人には

  生きづらい時代だったからね。

  今みたいに、「フリーター」の存在もなかったし。

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ヒッピーになりそこねた(35)

ともかく、こうしてママは

語学学校の初級クラスに入ることになった。


そして、住まいも、

これまた、たまたま見つけた機関のお世話で

スペイン人の家庭にホームステイすることになったのだ。


ママ: そこはほかに3人のアメリカ人の女の子が

  ホームステイしていたの。


  お母さんと22~23歳のきれいな娘さんの

  2人暮らしで、

  娘さんには日本人の婚約者がいてね・・・。


おそらくホームステイ用の部屋は3部屋しかなかった

のだろう、


ママは1ヶ月だけの約束だったので、

ふだん娘さんが使っている部屋を空けてくれた。



語学スクールでは

レベルに応じたクラスに入るのだが、

ママはもちろん初級のクラス。



でも、初級どころか

スペイン語の「ス」の字さえ知らないレベルである。


ママ: つまり、知識はゼロ。

  なにしろ、アルファベットや数字の数え方から

  学ばなきゃいけなかったんだから。



当然、授業にはついていけるわけもなく、

全く理解のできない外国語を何時間も

聞いているだけだから、苦痛でしょうがない。


ついに、1週間も経たないうちにやめる事態となった。


ママ: ある日、教えている女性の先生が

  ぽかんとしている私に気がついてね。

  私の席までやってきて、

  「スペイン語、まったくできないの?」って

  聞いてきた。

  (おそらく、そう聞いたんだと思う)


  うなづいたら、

  「じゃあ、ここで学ぶのは無理よ」

  って。

  たぶん、「もっと勉強してから来た方がいい」

  というようなことを言っていたと思う。


私: それで?


ママ: そうだなあ、って思って。

  ただ聞いていたって、分かるようになるものでもない

  って、それがわかったし。笑

  苦痛以外のなにものでもなかったからね。


私: それでどうしたの?


ママ: 現地で知り合った日本人の女の子がいてね。

  フラメンコを習いに来てたの。

  その子が、

  「いい語学スクールがあるよ。

  私もそこへ通ったの」

  って教えてくれて。



 

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ヒッピーになりそこねた(36)

それこは駅前にある古い建物の一室だった。

生徒は10人ぐらいでこじんまりとしていた。


ママ: 来ている人たちは全員アラブ人だったの。

  しかも男性ばかり。

  
  この教室での授業はとても良かった。

  少人数でわかりやすくて、丁寧だったし、

  女性の先生も優しかったから。



アラブ人の男の子たちも

スペイン語を「一から学ぶ」レベルだったので、

ママは気後れすることなく、楽しく学べたのだそう。


ママ: 面白いことがいっぱいあったの。

  たとえば、発音。

  ほら、日本人って英語の「R」と「L」の

  発音が難しいでしょう?

  彼らは難なくできるわけ。

  で、私が苦労しているのを見て笑う。


  ところがね・・・

  彼らは、


  「パ・ピ・プ・ペ・ポ」の音を出せないの。


私: え~?なんで?


ママ: 「パ・ピ・プ・ペ・ポ」の音って、

  考えてみれば、

  上唇と下唇を軽く触れ合わせて出しているでしょう?

  エフちゃん、ちょっとやってみて?


私: パ・・・ピ・・・プ・・・・

  ほんとだ!


ママ: ね?

  でも、彼らは母国語にそういう音を持ってないの。

  だから、出し方がわからない。


  懸命に両唇を軽く触れ合わせて

  「パ・ピ・プ・ペ・ポ」って言おうとするんだけど、

  どうしても、


  「バ・ビ・ブ・ベ・ボ」になっちゃう。



  スペイン語で「ドア」のことは

  「puerta(プエルタ)」って言うんだけど、

  何度やっても、「ブ、ブ、エルタ・・・・」って。笑


  顔を真っ赤にして、

  「ブ、ブ・・・」って言ってる様がおかしくて。



ママはこれが目から鱗だったんだって。

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ヒッピーになりそこねた(37)

子供は親の話す「音」を耳で聞き、

それと同じ「音」を出すことで言葉を覚えていくのだと

痛感したんだって。


ママ: だから、

  生まれてから一度も「聞いたことのない音」は

  どうやって出せばいいのかがわからない。


  英語の「R」と「L」もそうだよね?


  「RA」と「LA」と、日本語の「ラ」の音の違いは、

  舌の位置なんだけど、

  エフちゃん、ちょっと、「ラ」って言ってみて?



私: ラ・・・


ママ: 舌の先が口内の上部に触れてるでしょう?


私: うん


ママ: 「LA」の場合は、

    舌先をその場所よりもう少し前に触れるの。


  「RA」は、どこにも触れない。


  でも、

  「ラ・リ・ル・レ・ロ」って言ってみればわかるけど、

  舌先は必ず口内に触れてるでしょう?


私: ラ、リ、ル、レ、ロ・・・・・。ほんとだ。


発音


ママ: 日本語には

  「RA」や「LA」が存在していないから、

  その音を出すような舌の動きを知らないんだよね。


  同様に、彼らも上下の唇を軽く触れ合わせて

  「プ」という音なんて

  生まれてから一度も出したことがないわけで・・・。

  

それに、子供のときは聴力がいいから

どんな音を聞いても真似ができるけれど、


20代から聴力は低下するといわれている。

そうなると、「音」を正しく聞き取ることができにくくなる。



ママ: ってことは、正しく発音することもできにくくなる

  ってことだよね?

  だから、小さいときに外国語に触れると

  ネイティブなみの発音ができるけど、

  大人になってから学んだ場合は

  そこまでうまくできない。

  絶対音感がある人は別だけど。


このときの体験が、

帰国後、英会話スクールに就職したママには

すごく役に立つことになる。


ママ: なにしろ、

  外国語を本当に一から学んだわけだから。笑

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ヒッピーになりそこねた(38)


さて、もう30年も前の話で

おまけに日記もメモも何もつけていなかったから

ママのおぼろげな記憶なんだけど、


おそらくそのスクールのあと、

また別の語学学校へ通ったはずだという。


どこでその学校の情報を手に入れたのかも

全く覚えていないって。



ママ: そこも少人数で

  すごく丁寧に教えてくれた。

  前のところとの違いは、

  いろんな国の人が来ていたところ。


ママと同い年の中国人の女の子もいた。

まだ25歳なのに、結婚していて、

おまけに子供もふたりいた。


ママ: 郊外でご夫婦でレストランを経営していて、

  お店が忙しいと学校を休むことがあったの。


  で、次の授業のときにノートを見せてあげると、

  ふんふんとうなづいて理解している様子なので

  「日本語なのにわかるの?」って聞いたら

  漢字を指差して、「わかる」って。


  「雷」とか「雨」とか、

  漢字だけを拾って読んでたみたいで・・・・。笑



驚いたけど、

そんなこともあってすごく仲良しになった。



ぜひお店に遊びに来てと言われ、

デンマーク人のクラスメイトと一緒に一度だけ

訪ねたことがある。


ママ: デンマーク人の女の子も20代前半で、

  その子はスペイン人の家庭にホームステイして

  いたの。

  無料で住ませてもらいながら

  現地の学校へ通って。


  その代わりに、

  ホストファミリー宅のベビーシッターや家事手伝いを

  やって、お小遣いももらえるっていうシステムだった

  みたい。


  ヨーロッパの若い子達は

  そういったシステムを利用しながら

  春休みや夏休み、冬休みを使って

  世界の国々で生活し、

  国際交流を深める経験を積んだりしてた。

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ヒッピーになりそこねた(39)

ママ: 中国人のクラスメイトのお店を訪ねたときは

  それはもうすごい歓迎ぶりで・・・。


  そもそもbar(バー)も併設された高級レストラン

  だったんだけど、

  豪華な中国料理が次から次へと運ばれてきて。


  食べるのは二人しかいないし、

  「もう無理」って言っても、どんどん出てくる。

  最後はついにギブアップ。笑


  ディスコにまで繰り出してね・・・・


  あのころは

  人種の違いとかあまり気にしなかったなあ・・・


  でも、国民性の違いを感じることはあった。


  そこの学校で遠足みたいなのがあって、

  バスで観光地を巡ったのね。


  白雪姫の舞台になったお城へ行ったとき、

  お城の上におびただしい数のカラスがいて。


  それを見た瞬間、デンマーク人の子が、

  「わあ!かわいい!」って興奮して・・・。


  (えっ?不気味、じゃなくて、かわいい?)


  おどろいた~! 笑


  「いつかデンマークへ遊びに来てね、

  日本人は珍しいからきっと家族も友人たちも

  驚くと思う」って言ってくれたけど、


  お互いに言葉もあまり話せなかったから

  学校が終わったらそれっきりになっちゃったけど。


  3ヶ月ぐらいは通ったのかな・・・

  う~ん、思い出せない。



私: でも、ママ、30年以上経ってから

  デンマークを訪ねる とになるんだから

  不思議だよね。


ママ: ほんとだね。

  いまや、現地では日本人は珍しくないけどね。笑

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ヒッピーになりそこねた(40)

クラスにはブラジル人の男の子もいた。


あるとき、彼が、

「僕が住んでるオスタルはすごくいいよ、

ちょうど一部屋、空いてるよ」と話しかけてきた。


それで、ママはそこへ移ったのだ。



ママ: そのときはね、

  最初に住んでいたホームステイ先を出て、

  別の所にいたの。

  おばあちゃんが一人で暮らしていて、

  空いている2部屋を貸してたの。


  1部屋にはおじさんが住んでいたみたいだけど

  朝早く仕事に行って、

  夜遅く帰ってきていたから

  ほとんど顔を見たことがなかったし、

  私が行ってまもなく、おばあちゃんとケンカして

  出て行った。



このころ、ママはまだ

全くといっていいほど言葉ができなかったけど、

おばあちゃんはママのことをまるで孫娘のように

かわいがってくれた。



ママ: 市場へお買い物へ行くときも

  一緒に行こう、って。


  初めて「チリモジャ」っていう果物を食べて、 
  
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  あまりの美味しさに驚いて・・・・。

  果肉が濃厚なヨーグルトみたいな感じで、

  梨のような甘ったるさで。

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  こんな美味しい果物、食べたことない!!

  「美味しい、美味しい!」って言ったら、

  次からも買ってくれて。


  ほかの果物よりも値段が高かったんだけど。

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ヒッピーになりそこねた(41)

私: どうしてそこを出たの?


ママ: 1日2食付の下宿契約だったから

  費用が結構かさんだの。

  朝はミルクティに菓子パン、

  夜はメインの鶏肉料理に野菜サラダを

  作ってくれた。


  今考えると、おばあちゃんは

  寂しい一人暮らしの家に孫娘のような子が来て、

  嬉しかったのかな。

  「マサコ、マサコ」ってかわいがってくれた。


でも、ママは

ブラジル人のクラスメイトに誘われるままに、

オスタル(アパートメント)へと移ったのだった。


場所は

マドリッドの中心地、「プエルタ・デル・ソル」広場から

すぐそばの通りにあった。



そして、ここで住み始めてまもなく、

ママは前述のマドリッド大学へ行き、

掲示板に張り紙をした。


「スペイン語と日本語の交換レッスンをしませんか?」

って。


ママ: もちろん、自分で書けるはずもないから、

  誰かに手伝ってもらったんだと思うんだけど。


私: それで、どうなったの?

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ヒッピーになりそこねた(42)


ママ: 連絡先はそのオスタルの電話番号にしたの。

  希望者から電話がかかってくると、

  オスタルの女主人フィナが出て、

  待ち合わせの日時と場所を決めてくれた。


ママ:  そして、身振り手振りで、

  「マサコ、日の時に、デパートの前に行って」

  と言いながら、相手の名前を書いたメモを

  渡してくれたの。

  エル・コルテ・イングレス (El Corte Ingles )っていう

  デパートだったかな・・・。


数人から電話がかかってきた。

そのうちのひとりが、旅行中に家に泥棒に入られた

女の子なのだそう。



私: でも、ママ、

  大学で日本語を勉強している人が

  いるんじゃないかとか

  その人たちと交換レッスンをしたらどうかなんて

  よく思いついたね。


ママ: そうだねえ・・・・

  おかげでスペイン人の友達がたくさんできて

  すごく楽しかったんだよね~


外国語を勉強したくてその国へ行ったら、

現地で友達を作るのは必須かもしれない。


せっかく留学しても

日本人同士ばかりで行動していると、

当然日本語を話すことになるので

もったいないと思う。

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ヒッピーになりそこねた(43)


ママ: 大学生のタカ君は、空手をやっていて、

  しかも黒帯だったのね。


  それで、

  マドリッド市内の空手教室を探して顔を出したら、

  「日本人の黒帯が来た」って大歓迎されて、

  その教室にちょこちょこ通って、

  友達がいっぱいできてた。



そのとき、ママは

(なるほど~、こんなふうに、

世界のどこへ行っても通用する「何か」を

やっているのっていいな)って思ったんだって。



異国で言葉が通じなくても、

共通でできるものを持っていると、

それを通して交流が図れるし、

友達も作れるから。



タカ君とモト君は

3ヶ月間スペインの語学学校へ通って、

そのあとイギリスへ旅行してから帰国した。



ママ: イギリスへ旅行する日、

  手作りのお弁当を作ってあげようと思いついて。


思いつきは良かったけど、

実はママは料理が全くできなかった。


卵焼きと、ポテトサラダと、おにぎりと、

あ~、まずはご飯を炊かなくちゃ、って。


オスタルには宿泊者が自由に使えるキッチンがあって、

調理器具や食器も揃っていた。


ママ: ご飯は確か、

  「始めチョロチョロ、中パッパ」

  だったっけ?ってトライしたんだけど、

  大変なことになっちゃって・・・・。

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ヒッピーになりそこねた(44)

お鍋からは煙がもくもくと出始めた。

なべ 


ママは気にも留めず、おかずを作っていたんだけど、

廊下から騒ぐ声が聞こえてきたのだ。


ママ: オスタルはね、玄関を入ると

  オープンのリビングがあって、

  そこから奥まで廊下が続いていて、

  突き当りがキッチンなの。


「火事だ、火事だ!」って大騒ぎで

オスタルのご主人がキッチンのドアを開けると

黒い煙に包まれて、ママが立っていた。


ママ: 煙が廊下にまで充満していたらしいんだけど、

  全然気がつかなくて。


  ご主人が、「マ、マサコ?」って

  驚いた顔で立ち尽くしていた。笑



かくして、

焦げたおにぎりを持たされたタカ君とモト君。


お礼に、って

イギリスでバーバリーのセーターを買ってきてくれた。


私: うわ~!

  高くついたね~!笑

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ヒッピーになりそこねた(45)

このころのママは、

とにかく言葉を覚えなくちゃと、猛勉強に励んでいた。


ママ: エフちゃん、今でもあるのかなあ、

  「単語帳」っていうのがあってね、

  英単語を暗記するときとかに使うやつ。


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  それを現地で買って、

  スペイン語の単語を記入して持ち歩いてた。



朝起きてから、夜寝るまで、

道を歩いているときも

電車に乗っているときも

常に単語帳を見ながら

ひたすらに単語を覚え続けた。


1日13時間ぐらい勉強していたんだって。

ママは生涯であんなに勉強をしたことはないって。



ママ: 追い詰められないとやらない性分なのかもね。

  ハハハ・・・・



でも、その甲斐あって、

3ヶ月ぐらい経つと、

旅行会話ぐらいは不自由しなくなった。


ママ: 旅行会話っていったって、

  駅はどこですか?とか

  これはいくらですか?とか

  それぐらいだから。



英語圏の国だったら、

少なくとも中学や高校で少しは習っているわけだから、

ここまでの苦労はなかったと思う。



「でも、今になって思えば、

スペインへ行くことはシナリオで決まっていたんだろうね。

だって、旅行先って

ほぼ過去生が強く残っているところだからね」

って、ママは言った。



 

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ヒッピーになりそこねた(46)

現地で知り合った日本人の中に、

50歳の女性がいた。


ママ: 東京の一流ホテルの中の宝石店で

  働いていたんだって。


外人の観光客がとても多かったのだそう。

英語は堪能で不自由しなかったんだけど、

メキシコ人も多くて、

スペイン語も必要だったんだって。


働きながら夜間、スペイン語の勉強を続けたけれど、

さらに磨きをかけるため、

思い切って留学してきたのだとか。



「あと10年早く来ていたら・・・・」というのが

彼女の口癖だった。


「どんなに勉強をしても、

朝に覚えたことを、夜には忘れてしまう。


お金で何でも買えるとしたら、年齢を買いたい。

あと10年若かったら、

勉強したことがもっともっと身につくのに」



彼女の意欲にも敬服だけれど、

現地で知り合った日本語を勉強している人たちにも

ママは頭の下がる思いだった。


ママ: だって、エフちゃん、

  外国語を一から学ぶのって、

  本当に大変だもん。


まさにママは身をもって体験したわけだ。笑


ママ: しかも、日本語には漢字があるでしょう?

  日本人だって、小学校1年生から

  毎年少しずつ覚えていくのに、

  彼らはもっと短期間で学ぶわけだからさ。


  音読みとか訓読みとかもあるし。


  いや~、日本語は大変だと思うよ。

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ヒッピーになりそこねた(47)


ママ: それをコツコツと勉強するスペイン人たちは

  本当にすごいと思う。


私: その人たちは、どんな目的で日本語を学ぶの?


ママ: 日本企業がたくさん進出してたから、

  日本語ができると就職に有利なんだって。


当時、大学の初任給が月6万円ぐらい。


日本への飛行機チケットは

片道で15万円ぐらいだっただろうか。


記憶は曖昧だけど、


いずれにせよ、

気軽に観光で日本へ行くのすら容易ではない時代。


ましてや自費で日本留学など

よほどのお金持ちでなければかなわない。


ということは、

自国の中だけで勉強を積み重ねなければならない。


私: そっか、そういう状況だから、

  日本人と交換セッションができるのは

  貴重な機会なわけだね。


おかけで、ママは友達がたくさんできて

充実したスペイン生活を送ることができたんだけど。


ママ: ちなみに、エフちゃん、

  日本語って、漢字もさることながら、

  擬態語、擬音語が多いのが大変らしいよ。


私: それは何?


ママ: たとえば、風が「ぴゅーぴゅー」吹く、とか。

  雨が「しとしと」降る、とか。


  花びらが「ひらひら」と舞う、とか。

  「ぎらぎら」「どんどん」「さめざめ」・・・・


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ヒッピーになりそこねた(48)


ママ: ふだん、当たり前に使っているけど、

  「さめざめと泣くって、どういう意味?」とか、

  「かんかんに怒る、って?」って聞かれても、

  説明できない。笑


  さめざめはさめざめだよ、とか

  かんかんは、かんかんじゃん!って。笑


  あとさ、

  「ちょっと」と、「ちょっぴり」と、「少し」の

  使い分けとか、


  「ちょうど」と、「ぴったり」はどう違うのかとか。


私: うわ! そんなの、わかんない。

  もう身に染み付いちゃってるし。



ママ: そうなんだよね。

  外国語って、バイリンガルの人は別だけど、


  大人になってから学ぶと

  なんだか「記号」を勉強してるみたいというか。


  日本人同士だと、

  「さめざめ」って言っても

  その感覚が理解できるけど、


  これが外国語だと、

  「このタイミングでこの言葉を使うんだな」って。


  まるで「記号」を伝えているかのよう。



私: ふ~ん・・・

  確かに、言葉の持つ「感覚」まで理解するのって

  難しいよね・・・。


ママ: 実際、そのことを指摘されたときに

  なるほどって思ったんだけどね。

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ヒッピーになりそこねた(49)

たまたま同じオスタルに宿泊していた日本人に

紹介してもらった年配のスペイン人女性は

若いころ、大使館勤務で日本に滞在していた方だった。


日本語はペラペラ。

その語学力を生かして、

スペイン語を勉強する日本人に

プライベートレッスンを行っていた。


ママ: あのね、エフちゃん、

  日本語もスペイン語もどちらもできる人に

  教わるのがいいの。


  スペイン語だけの言い回しを覚えていくよりも、

  「日本語でこう言いたいことは

  スペイン語ではどう表現するの?」って

  聞けるでしょう?


  あと、

  スペイン語で話したことを

  正確な言い回しに直してもらえるし。



ママが言うには、

外国語を学ぶ上でこれはとても有効なのだという。



帰国後、英会話スクールの受付をやっていたとき、

英語を使うビジネスマンたちの希望は

「バイリンガルの先生に習いたい」だった。


どちらの言語も母国語として精通している人に

教えてもらうのが理想だと言っていた。


「旅行会話の場合」とか、

「自己紹介の場合」とか、

パターンで表現を覚えるのではなくて、


今まさに日本語で言いたいことを

「英語ではどう言うの?」というのが知りたい。


そのためには、


「今まさに日本語で言いたいこと」の意味も

それを「英語ではどう言うか」も


母国語レベルで理解できる人が

うってつけというわけだった。

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ヒッピーになりそこねた(50)


ママ: だってね、

  大使館で働いていたその女性が

  言ってたんだけどね、


  どんなに勉強しても、

  たとえば、

  「しんしんと雪が降る」の

  「しんしん」の意味がわからない、って。


私: しんしん・・・


ママ: エフちゃん、外人に

  「しんしん」って、どういう意味?って聞かれたら、

  説明できる?


私: え~・・・・・

  う~ん・・・・、難しいなあ・・・・


ママ: だよね?

  あえて言うなら、「静かに」とかかな?

  でも、実際は、そういう意味じゃないよね?


  なんかこう、ひっそりと降り積もるような、

  独特の情感って、あるよね?


  この感覚はきっと、日本で生まれ育った人にしか

  分からないんだと思うの。


私: なるほどねえ・・・・・


ママ: だから、たとえば、彼女が

  スペイン人に日本語を教えるにしても

  「しんしん」の正確な意味は教えられないでしょう?



これと同じことを、ママは今、痛感しているんだって。


「目に見えない世界」のことを伝えるときに。


ママ: リーディングやチャネリングで

  受け取ったことって、

  相手に伝えるときには

  「言語化」しなくちゃいけないじゃない?


  でも、

  3次元とは異なる次元から受け取っているわけだし、

  私たちが普段使っているような「言葉」で

  降ってくるわけでもないし、

  強いていうなら、

  「感じとっている」に過ぎないわけ。

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