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聖なる樹のヒプノセラピー物語      

第2章(1)~弟との出会い

さて、ある日のこと。
ママはとても興奮して帰ってきた。
(と言っても、ヒプノの教室の日は、大抵興奮して帰ってくるのだけど)。
 

その日は「過去世退行」の練習をしたそうだ。
ママは男性のAさんにセッションを行った。
Aさんは視覚派で過去世も映像ではっきり見えるそうだ。


「それがね、西暦600~800年位のハワイでの過去世だったんだけど」


「海のそばの村で父親、母親、お姉ちゃんと暮らしていたんだけど、
生まれつき特殊な力があって、
6歳で自分から家を出て、山へ行くの。
そして、山の神様を鎮める仕事をするの。
火山が噴火しないように、火口に赤いお花を投げ入れて
お祈りをするんだって。
だけど30歳を過ぎた時に、自分にはもうこの仕事は無理です、
って 訴えて、聞き入れられるんだって」


ママはちょっと間をおいて、
「・・・それでね、誰に聞きいれられたの?って聞いたらね、
『大いなる存在に』って答えたんだよ!
そして、それは”死”を意味するって!」


2年後、彼は病死する。
中間世に行った彼に、「この人生で学んだことは?」と聞くと、
「自分で決めた使命はやり遂げなければならない」と答えたそう。


ママはこの言葉を聞いてびっくりした。
かつて、全く同じ言葉をママ自身も言われたことがあったから
そう、そしてその時の(過去世の)想いこそが、
今生、ママをこの道に導いたのだ。


覚醒した彼はしばらくしてから、
「なんかさ~、あのお姉ちゃんって、マサコさんだった
ような気がする」とぼそっと言った。 



「ええっ、光栄だわん!」なんてママは浮かれていたけど、
(だってAさんはイケメンだから)
なぜママがAさんと今生、この教室で出会って、このセッションを
行うことになったのか、それは1カ月後に知ることになる。


そう、人生って本当にうまくできてるんだ。

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第2章(2)-1 弟と出会ったわけ

1カ月後。
 

教室の後、いつものように皆でお茶をしていた時のこと。


ママはまた興奮していた。
その日の「過去世退行」で、ママはAさんと同じ過去世を
見てしまったからだ。


南の島の砂浜を、8歳くらいの女の子(これがママ)が母親と歩いている。
1枚の白い布の服を腰紐で縛ったような服装。


砂浜の傍に小さな集落がある。
その中の一軒の住居。
小屋といった方が適切かもしれない。
草でふいた屋根。
お父さんと弟も一緒に住んでいるような感覚はあるが、
顔ははっきりとは見えない。


家の前で火をおこし、魚を焼いて食べている。


視える光景が、以前、Aさんのセッションをやった時に
彼の口から語られたそれと酷似している。


ある日、弟は家を出て行った。
夜が明ける前、村人がまだ寝静まっている時を
見計らって。
山へ行ったのだ。

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第2章(2)-2 弟と出会ったわけ

その日から
ママは毎日、夕方になると家の前に立ち、海を眺める。
 

水平線の向こうに、大きな大きな濃いオレンジ色の夕陽が
ゆっくりと沈んでいくのをじっと見つめながら、
山へ行った弟はどうしているだろうと想いを馳せるのだ。


夕陽が沈むにつれ、
空は濃紺とオレンジの帯が入り混じった美しい様相を見せる。


そしてオレンジの最後の淵がすっと水平線に潜った瞬間、
あたり一面、すべてが闇に飲み込まれる。


一瞬の内に訪れる闇。
まるで、突然世界から一切の色が消えたかのような、
真っ暗な空間。

その厳かな瞬間、
ママは抗えない自然の力に畏敬の念すら感じると言った。


セッション後もその光景はくっきりと脳裏に焼きついていると
話すと、一緒にお茶をしていたS先生がぶるっと身震いした。
「鳥肌が立つ」って。


そう、何故か、真実に触れる時、よく鳥肌が立つ。


ママはその後、大人になり、村の若者と結婚し、
60代で子どもや孫に看取られながら人生を終える。


「思い残すことはありますか?」とセラピストに聞かれ、
「私は平凡で幸せな人生だった。
唯一気がかりなのは弟のこと。
山へ行った弟はあれからどうなったのだろう。
私は今こうして死んで行くが、弟はそのことすらも知らない」
と涙ぐむママ。


「弟に会いたい」


息を引き取り、肉体を離れた時、上のほうから弟が迎えに
来てくれた。
それで、ママは弟が先に亡くなっていたことを知るのだ。


人生がうまくできてるというのは、こういうわけだ。


まず、ママはAさんのセッションを行い、
Aさんの口から彼の人生を語ってもらう。
その後、ママが同じ過去世を見ることで
心残りだった弟がAさんに生まれ変わっていることを知る。

 
つまり、あの過去世での「弟に会いたい」という想いは
1,000年以上もの時を経て、この教室でAさんと出会うことで叶う。

そして、
山へ行った弟が、その後どのような人生を送ったのかは、
Aさんのセッションを通じ、彼自身の口から語られることで
知ることができたのだ。



さて、この話には後日談がある。
数ヵ月後、ママがセッションでハイヤーセルフにこう聞いた。
「最近、とても疲れている。エネルギーを充電するには
どうしたらいいですか?」って。

その答えは、

「山へ行きなさい。
かつてあなたの弟が山の神様に仕えた。
だからあなたは(姉として)山から恩恵を受けることが出来る」

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第2章(3)~使命をやり遂げる

ママが興奮して一部始終を話し終わったとき、
一緒にお茶をしていたAさんが言った。
「実は今日、またあの過去世を見たんだ」
 

「でも、今度はマサコさんが出てこなかった」


「え?そうなの?
で、他は?全く同じ?」


「いや、使命を全うして、40代後半で亡くなった」


それを聞いて、ママは思った。

そっか・・。
使命を放棄したAさんは、その人生を終えた時に
「自分で決めた使命はやり遂げなければならない」
と言っていた。

だからもう一度同じ地に生まれて
今度はその使命を全うしたんだ。


う~ん、なるほど・・・。

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第2章(4)~出会い


その時、ミミさんが言った。
「Aさん、私のセッションにも出てきたよ」
 

ミミさんが過去世退行のセッションを受けたときのこと。


彼女は、中世のヨーロッパの村に住む女の子で、
なんと生徒の美帆さんとは姉妹だったという。


教室でも、ミミさんと美帆さんはとっても仲良し。


そして、その村で、薬草の知識などに長けているお婆さんが、
Aさんだったという。


「へ~っ、不思議~!」


と、Bさんが、
「俺、武道をやってるんだけど、道場の人は全員昔の仲間だよ」と言った。


Bさんは中世のヨーロッパで、沢山の戦士を率いる指揮官だった
過去世があるが、今の道場の仲間は全員その時の戦士なんだそう。


ママは、知り合いの夏子さんの言葉を思い出した。


夏子さんは生まれつきいろんなものが視える人なんだけど、
魂にはグループがあって、
同じグループの人とは毎回(の人生で)出会う、と言っていた。        


その時々で縁の濃さが違うので、
ある人とは単に交差点ですれ違うだけかもしれないけれど、
いずれにせよ、全員と出会うのだとか。

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第2章(5)~過去のつながり

好奇心旺盛なママは次の教室の時、早速確かめてみた。
 

この時もペアを組んだのはAさん。
過去世退行のあと、中間世にいったところで、
「(教室の)先生とはどこで縁がありましたか?」と聞いてみた。


意外な答えが返ってきた。
「この星(地球)では、(縁は)ない」


「えっ?」

ママは動揺を隠しながら、
「では・・・、地球に来る前の星で、縁がありましたか?」と聞いてみた。

 
「そう」と、頷くAさん。


「そ、それは・・あの・・・なんという星ですか?」

答えを待つ間、きっとママの心臓はドキドキと高鳴っていたと思う。


しかし、即座に
 「今知る必要はない」という答えが返ってきた。


潜在意識はとっても賢いので、あまりにも愚問だったり、
不要な質問には答えないことがある。


だが、この教室に集まってきた人達は
やはりみんな何らかの縁があるのは間違いなさそうだ。

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第2章(6)~生まれ変わり

ねえ、ママ、Aさんは過去世の中のお姉ちゃんが今のママなんだ、って、どうして、わかったの? 
ママも、そのときの弟が今のAさんだって、なぜ、わかったの?」
 

「それ、みんな聞くんだよね・・・」


ママは、「う~ん・・・」と言ってしばらく言葉を探していた。


「何となく、わかるんだよね・・・。
体験すると、あ、こんな感じか、とわかるんだけど・・・。
強いて言えば、目かな・・・」


「目?」


「うん、セッションのときは、過去世の中に出てきた人の
目を見てください、って言うようにしてる」


例えば、家族が出てきたとき、
お母さんだったとすると、「どんな感じの人ですか?」と聞く。

「優しそうな人です」とか答えが返ってくるんだけど、
「では、目をよく見てください」と言って目に意識を向けさせると
「あ、今の母です!」なんて具合にわかるんだそう。


つまり、目が今生のその人と同じ、ってこと?


「そういえば、いつだったか、お茶してたときに、
生徒のTさんが、突然、美加さんに向かって
”あ、美加さんって、僕が江戸時代に一方的に恋してた町人の娘だ!” って 言ったんだよね」


その時に、
「目でわかった!目が同じ!」って言ってた。


目に魂が宿るのかな・・。


ちなみに、ミミさんの場合は、過去世の人の顔に、今生の人の顔がふ~っと重なって見えるのでわかるんだとか。        


美帆さんの場合は、過去と現在の人が同一のオーラを発しているのでわかるんだそう。              


ママの場合は面白くて、過去世の人なのに、その人の顔だけは
今生の顔になっているんだって。


え? それって、よく観光地とかにある「顔出し写真」みたい!
なんか、笑える・・・。


 第3章~過去世の見え方

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