聖なる樹のヒプノセラピー物語      

第3章(1)~過去世

「じゃあさあ、その”過去世”っていうのはどんな風に見えるの?
本当に、そんなの、見えるの?」
 

「うん。でも、何となく、だよ」


ママは結構ぼんやりとしか見えないと言った。


ぼんやりしたものが、、ふっと見えるのだそう。


「でもね、見え方は人によって全然違うみたい」


ママはぼんやりだけど、TさんはまるでYouTubeでも見ているかのように 映像がくっきり見えると言った。
 

「しかも、動画なんだって!

例えば、江戸時代の街並みだとすると、そこを自分が主役になって 歩いていたりするんだって!」


ところが、「今、どんな気持ちですか?」と聞かれると、わからないらしい。
で、歩いてる自分の顔を見ると、にこにこしているので、
「嬉しいみたいです」と答えたりするらしい。
しかも、音はなくて、まるで無声映画を見ているようだと言っていた。


人によっていろいろ違うらしい。


ママの場合は映像のようには見えないんだけど、
気持ちとかは全部感じ取れるんだって。


だから、ハワイの過去世で、毎日夕陽を見つめながら弟のことを偲ぶ時は本当に胸が切なくて仕方がなかったし、 
亡くなる時も悲しみが込み上げてきて、涙が止まらなかったと言った。


ぼんやりした静止画がふっ、ふっ、と浮かんでくる感じなんだけど、感情だけはもうそのときのまま 、
つまり自分が、その過去世の人物に戻って感情を味わっている感覚なんだって。


ママが通っている教室では、さすがにヒプノを勉強しようと思った人達が集まっているだけあって、映像で見える人の方が多いのだそう。 

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第3章(2)~過去世の見え方

ママが習ったのは3通りの見え方のタイプだという。
 

「え~っとね、視覚派、聴覚派、感覚派の3通り」


視覚派っていうのは、さっき言ったTさんみたいなタイプ。
映画を見ているように、映像とかで見えるんだって。


でも、普段起きているときに見ている景色と比べて
すこし霞がかかっているような感じ、という人もいる。


そして聴覚派。
音とか、声とかで聞こえてくる。


感覚派は、身体感覚で感じるのだとか。


例えば、過去世で海の傍にいるとき。
海が見える人。
波の音を聞く人。
海の傍にいるような感じがする人。


このように、自分が受け取るイメージは人によりさまざま。


でも聴覚と感覚が混ざったようなイメージの人もいるし、
だから、ママは「この人はこのタイプ」と一概には決められないかも、と言った。


そもそも、その「見え方」って重要なのだろうか?


「うん。ヒプノセラピーを受ける人って、ある程度調べてくるでしょ?
そうすると、過去世がはっきり映画のように見えると思って来る人が多いの」


で、映像が見えないとがっかりしたり・・・。


もっと困るのは、期待してセッションに望み、
「あれ、何も見えない、なぜ?なぜ?」なんて
セッション中に頭で考えてしまうケース。


考えることで、顕在意識の方が優位になり、催眠からさめてしまうんだって。


「だから、最初のカウンセリングのときに3つのタイプを
説明しておいた方がいいよね」


それと、後はセラピスト側の問題なんだけど、
安易に「何が見えますか?」なんて言ってしまうと
視覚派でないクライアントさんは焦ってしまうよね?


だから、「何を感じますか?」とか、
その人のがどのタイプなのかを探りながら
クライアントさんが安心してセッションを受けられるように
言葉を注意深く使わなければいけないのだと言った。



ママだって今でこそ、回数を重ねながら
いろんなものが見えるようになっていってるけど
(つまり、”慣れ”だね)
初めてセッションを受けた時は悲惨だったんだって。


それはもう4,5年も前の話なんだけど。

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第3章(3)~最初のヒプノ体験

ママは
「今でも何故あの時、ヒプノを受けようと思ったのかわからない」と言った。
 

第一、「ヒプノ」なんて言葉さえ全く知らなかったし、
なぜ、受けに行ったのか、思い出せないんだって。


そもそも、ママはすご~く猜疑心が強く、かつ慎重な性格だし。


その時は、ネットサーフィンしていて、たまたま誰かのHPに行き当たり、
大きな悩みを抱えていたママは、思い切って行ってみたのかもしれない。


いざ、セッションに入っても、何も見えなかったんだって。


ず~っと、真っ暗なまま。


しばらくして、ようやく海らしき感覚がしたけれど、「海?」と思った瞬間、また真っ暗になってしまった。 



誘導を受け続けていると、突然、大きな木がふっと見えた。
そして、その大木の根元で無邪気に遊ぶ5歳くらいの女の子。


黒髪でおかっぱ。
白いブラウスに赤い吊りスカート。
「あれっ?何、これ? 私、何を見てるの?」


高い高い木の上の方には、まるで世界の叡智を知り尽くしたような、偉大な雰囲気の(まるで仙人のような)おじいさんらしき人の顔があるような気がする。 
そして、彼は優しいまなざしで女の子を見守っている。(ような気がする)


なぜか、このおじいさんは人間ではないような気がした。


次の瞬間、凄まじい光がぱあっと光って、まぶしさで何も見えなくなった。


再び、真っ暗。


しかし、数秒後には、またあの大木と女の子の場面に戻っていた。


そしてなんと、あの強烈な光が小さな太陽のような形に変わって
木の背後から女の子を見守っているではないか!


「(女の子に)動いてみてください」とセラピストが言った。


女の子(つまりママ)が横に動くと、その丸い太陽形の光は
ママの姿を目で追った。(ような気がした)


再びセラピストが、「上にジャンプして下さい」と言った。


ママが上にふわふわと浮かんでいくと、
その太陽形はす~っと飛んできて、風船のような球形になり、
ママを(安全なように)すっぽりと包み込んだ。


ママは突然、理解した。
「見守られている」ということを。


自分は一人ではない。
あのおじいさんと、そして光の存在。

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第3章(3)~最初のヒプノ体験-2

見えたのはこれだけ。
 

ママは正直、「ヒプノってこんなもの?」って思ったんだって。


ストーリーもなかったし。
意味も全くわからなかったし。
悩み解決にも直結しなかったし。


何となく「見えた」のは、木と女の子とおじいさん、そして光だけ。


でも本当に「見えた」のかどうか信じがたい。
「アレは私が自分で考えたものですか?」
とママはセラピストに聞いた。


「だとしても、あなたの中から出てきたものですよね?」


うん、言われてみれば確かにそうだけど・・・。
自分で思い描いたわけでもないけど・・・。


だけど、アレは何だったんだろう?
意味、わかんないし・・・。


何だか腑に落ちないまま、ママは帰路についた。


そして、ひと月もしないうちに、ヒプノのことなんてすっかり忘れてしまった。


この時に見た「木」には、実はとても重要な意味があったこと、
そして、潜在意識は常にその人に必要な物を選んで見せるのだということを、ママはまだ知る由もなかった。 



ママが今生の目的と決めてきた「ヒプノセラピスト」への道は
このとき既にスタートしていたのだ。

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第3章(4)~2度目のヒプノ体験

次にママがヒプノに関わったのは、それから2年後だったと思う。
 

この時もネットサーフィンしていて、たまたまユーリさんのHPに行き当たった。


ユーリさんというのは、 「中落合の仙人」とも呼ばれている人で、とても誠実で博学なベテランセラピストさん。 


2年前の苦い経験があるママは正直迷ったと思う。

あの12月中旬の寒い日、
あまり暖房の効かない部屋で、寒さとお香の煙にむせながら
セッションに集中できなかったことを思い出していた。
ヒプノセラピーに関してあまり良い印象はなかった。


でも、ママの悩みは深刻だった。
だから、この時もママは思い切って予約を入れた。


そして、これがママの運命を変えることになった。


何しろ、セッションの部屋に通された途端、、ママは目を疑った。


え? うそ! この部屋、知ってる!


ドアを入ると、すぐ左側に机。 右側にはベッド。
中央には丸いテーブルと、椅子が2脚。
そして、石油ストーブ。


ママの記憶では、ストーブではなく、暖炉だったんだって。
暖炉の赤い火をはっきり覚えているって。


なぜ、この部屋を知ってるんだろう?


ユーリさんは「どこかで似たような部屋を見たのかも知れませんね」と言った。


でも、違う。
ママは確かに、「この部屋」を知っていると思ったんだって。


さて、ユーリさんは不思議な人だった。


30分も話すと、ママはユーリさんのことがとっても好きになった。
大人になってから、しかもわずか30分くらいで、「この人、好き!」なんて思うことは滅多にない。
だから、ママは自分の感情にも驚いたらしい。


それもそのはず、ユーリさんはかつてママにとって「姉弟子」のような存在の人だったんだから。

それがわかったのは、この1年半後に再び会った時。
話をしていたら、突然ユーリさんの顔がインドの女の人の顔に見えた。
黒髪で、額に赤紫のビンディー。


このときは、ママはすでにヒプノの勉強をしていたのでそういうことがわかったのだと思う。


自分の人生で出会うべき人には、ちゃんと計画していたタイミングで出会うようになっているらしい。 

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第3章(5)~輪廻転生

話を戻すと、この日ユーリさんに受けたセッションでは、とんでもないことが起きた。
 

リラクゼーションの後、誘導を受けたが真っ暗で何も見えなかった。


ベテランのユーリさんは、
森の中の小路を進むとお城が見えてきます、
お城に入って2Fへ続く階段を上りましょう、
と上手に誘導を続けてくれた。


2Fの部屋から何が見えますか?


と、その時だった。
突然、2Fの窓辺に佇む女性が見えたのだ!


窓の外には、森に囲まれた小さな湖。
その湖を見つめながら、後悔の念にかられている女性の悲しみが痛いように伝わってくる。
いや、伝わってくると言うより、ママがその女性で、
悔やんでいるのはママ自身。


次の瞬間、湖に頭からぶくぶくと沈んで行く女の子がはっきりと見えた。
長い金髪の髪が水にゆらゆらと揺れながら沈んでいく。
年の頃は19歳。
胸元が白いレースになった、深緑色のワンピース。


ママの娘だった。
それは事故だった。


ママは娘を愛していたけれど、愛情表現が上手に出来なくて、
そのことを悔やみ、窓辺から湖を見つめては深い悲しみと後悔に苛まれていた。
何年も何年も・・・。



その時だった。
右上の方から、「また生まれてくるよ」というその女の子の声が聞こえてきた。


えっ?


次の瞬間、今度は左上にお兄ちゃんの顔がぱっと現れた。


「み、みつる?あなたなの?」


すると、はっきりした声が・・・。
「そうだよ、ママ、ぼくだよ」


もう、ママはパニックだった。


このとき事故で亡くした娘が、今の息子に生まれ変わっている?

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第3章(6)~お兄ちゃん

ユーリさんの家からの帰り道、電車の中でママはず~っと放心状態だった。
 

「あれは何だったんだろう?」


頭の中がぼ~っとしていた。


本当に生まれ変わりなんてあるの?
でも湖に沈んでいく女の子も、お兄ちゃんもカラーではっきり見えたし、声もはっきり聞こえた。 



その日、ママはお風呂に入っている時にあることを思いついた。
そうだ!ユーリさんがやってくれたみたいに、自分で自分のこと、誘導してみよう!


目をつぶり、階段をゆっくりと降りていくイメージをする。
ドアがある(とイメージする)。
あれれ?
階段を降りていくのは何だか、ヨーロッパの大きなお屋敷に住んでいる主(あるじ)みたい。
手には枝つき燭台を持っている。


ゆっくり木のドアを開けると・・・
その部屋はユーリさんのセッションルーム!
ではなくて、殆どそっくりの部屋。
入り口を入り、左側の机の上にそっと蜀台を置く。
中央の丸いテーブル、そして椅子。
その椅子に座っていた、在りし日の息子の姿(5歳くらい)を思い出し、悲しみに暮れる父親。 



息子の隣には、ミニチュアダックスに似た茶色い犬の姿も・・・。
なんとその犬は今、我が家にいるワンちゃん!
息子はみつるお兄ちゃん、そして父親はママだ。


部屋には暖炉もある。
ママがユーリさんの部屋を見て、「この部屋、知ってる」と思ったのは、この遠い過去世の記憶だったのかな。 


ママは、深呼吸をして、気持ちを落ち着かせた。
そしてもう一度目をつぶった。

階段を降りていく・・・、階段を・・・・(と再びイメージ)。
さっきとは違うドアが見えた(ような気がした)。
ドアを開けると一面のお花畑。
そのお花畑の中の小道を歩いている女の子の後ろ姿。
18、19歳くらい?
手にはパンや果物が入ったかごを持っている。
そして、長い毛がふさふさした大きな白い犬が、女の子の後ろからついていく。
これも今のワンちゃんだ。


海辺の小さくて粗末な小屋へ入っていく。
20歳くらいの男の子が病気で寝ている。
どうやら恋人らしい。


ここまでしか見えなかったけど、
ママにはこの男の子がまもなく亡くなったのが何となくわかった。
女の子はママ、そして男の子はみつるお兄ちゃん。


ママは頭がとても混乱したみたい。

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