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聖なる樹のヒプノセラピー物語      

第4章(1)~再会

翌日になって、ママはようやく正気に戻った(と言っていた)。
 

ブライアン·L·ワイス博士の『前世療法』も読んだことはあったし、
ママ自身、輪廻転生は信じているんだけれども、
それでも昨日見たものは衝撃的だった。


「母と娘でしょ、父と息子でしょ、そして恋人同士」
ママとお兄ちゃんは何度も出会っている。


ママは私を見つめた。
「あなたとも、ね」
そして、私をぎゅうっと抱きしめた。


「やっぱり、そうなのかな?
そうだよね?何度も何度も一緒に生きてきたんだよね?」


「だって、3つものストーリをにわかに作り出すことなんて不可能だもの」


親子や夫婦はその役柄を変えながら、何度も一緒に生まれ変わるとは 聞いていたけど・・・・。


後々になって、ママはこう言っていた。


「あの日から少しずつ、あなた達に対する気持ちが変わっていった」って。


もともと家族は大事だし、子供はかわいい。
だけど、「かわいい」から「愛しい」に変わったって。


何度も何度もこうやって一緒に生きてきたんだよね、と思ったら胸が一杯になって 本当に愛しくてたまらなくなったって。
 

ママが見た過去世では、ママはいつも子供や恋人(である、みつるお兄ちゃん)を先に亡くしていた。 
悲しくて切ない想いを沢山味わってきた。
でも今、再び出会って、家族として過ごしている。


あの時、湖に落ちて亡くなった娘が、
あの時、病気で亡くなった恋人が、
あの時、事故でなくした息子が、
今、ここにこうして一緒に生きている。


なんて、すごいことなんだろう。
なんて、幸せなことなんだろう。


時々、お兄ちゃんとケンカになると
今迄は腹が立ってたけど、
今ではそういったことですらも、再び一緒に生まれ変わったからこその現実なんだと思うと(もちろん腹も立つけど)本当に心の底から愛しく思えるんだって。 


ユーリさんのところへ行った目的は、人間関係に悩んでいたからなんだけど、
過去世ではそれは出てこなくて、
ママはひたすらお兄ちゃんとの過去世ばかりを見たことになる。


後になってわかるんだけど、この時のママにとっては
その人間関係の究明よりも、お兄ちゃんとの過去世を見ることの方がとっても大事なことだった。 

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第4章(2)~中間世

実は、お兄ちゃんとの過去世は、ヒプノの教室に通いはじめて1回目の授業の時にも見ている。 


ペアを組んで練習している時、
森の中の小道をイメージしていたら、
突然、その小道を抜けた所に小さなお城が見えた。
 

ママはそこで優しい両親と暮らしていた。
そして、年頃になって親の決めた人と結婚するんだけど
相手の人はママに対して愛情がなくて、ママはとても寂しい思いをする。


グランドピアノの傍に立っている、冷たい夫(これが今のパパ)と
金髪のくりくりとした巻き毛の5歳くらいの男の子(お兄ちゃん)、
傍に白い子犬(今のワンちゃん)


先生は授業でこう言った。
「中間世が大事です」


”中間世”と言うのは、亡くなった後、魂が戻る場所。


ヒプノセラピーでは、人間は輪廻転生する存在である、というのが前提になっている。


肉体を持って生まれ、死んで肉体を脱ぎ捨て魂に戻る。
この時、中間世に行く。
そして、再び自分で人生のシナリオを書いて、肉体に入って生まれてくる。
人生を終えると、魂に戻り、中間世へ。


この繰り返し。


ママの説明を聞いていたら、何だかヤドカリを想像しちゃった。
住処である貝(肉体)を出て、裸になり、次の貝(肉体)へ・・・。


中間世がなぜ大事かと言うと、
肉体を持っている間はわからないことが
魂になって中間世に戻ると何でもわかるからなんだって。


例えば、ママがこの時見た過去世では、
中間世に行ったときに、
セラピスト役の人がママにこう聞いた。
「この人生であなたが学んだことは何ですか?」


すると、魂の存在になっているママの意識では、すぐに答えが浮かぶ。


「どんな環境であっても、自分の人生は自分で切り開いていくことが大切」
っていう具合に。


「その人生で遣り残したことはありますか?」


「嘆いてばかりで何もしなかったことです」


「今度生まれ変わったら、どんな人生を送りたいですか?」


「自分の人生なんだから、自分で行動を起こして切り開いていきたい」


そして、この想いこそが、今生の自分に繋がってくるんだって。


困難な状況を設定して生まれ、そこから自分で人生を切り開くようにシナリオを作ってきたりするんだって。  
 

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第4章(3)~人生の青写真

ってことは、自分のシナリオ通りの人生を歩むために
親もあらかじめ決まってるの?
 

「うん、子供は親を決めて生まれてくるんだよ」
ママはそう言うと、にっこりして私を見た。


「ママを選んでくれてありがとう」


セッションでバースビジョンを見ると、それがよくわかるんだって。


バースビジョンというのは、ひとことで言うなら、「人生設計」みたいなもので、 人は皆、生まれた時に既に自分の人生の青写真を持っているんだって。


生まれる前の場面に誘導すると、大抵の人は雲の上のような所に行く。
その場所から、これから生まれる家を見下ろしてもらう。
お父さんもお母さんも見える。


「お父さんは今、どんな気持ちでしょう?」と聞くと、
クライアントはちゃんと答える。
「子供が生まれるから(仕事を)頑張らなきゃ、と思ってます」とか、ね。


「では、お母さんの気持ちを感じてみて下さい」


「ああ、お母さんは、初めてのお産なので少し不安のようです」


魂の時は何でもわかる。


そして、ママはもし必要と思ったら、こう聞く。
「なぜ、そのお父さんとお母さんを選びましたか?」って。


いろんな答えが返ってくる。


ある人は、「おばあちゃんが、おいで、って呼んだからです」


ある人は、「お母さんを助けるためです」


また、ある人は、「昔、双子だった姉が先にその家に生まれているからです。
また姉妹で生まれてこようね、って約束したの」


中には、「おじいさんが、そこへ行きなさいって言ったから」と答える人も。
この場合のおじいさんと言うのは、雲の上にいる存在の人らしい。


理由はどうであれ、みな自分の人生のテーマを果たすべく、
そのシナリオに必要な親を選択してくるようだ。


そして、もちろん、親のほうもそれを了承して受け入れる。
だけど、それは「魂」の次元での話しだから、肉体を持って生まれた時には、そんなことはすっかり忘れているんだって。 


「面白いのは、その後なの」と、ママは言った。

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第4章(4)~青写真の確認

バースビジョンのセッションで、
今度は、生まれてから現在に至るまでの人生を上から眺めてもらう。
 

「ここまでの人生は予定通りですか?」って。


今生の人生では何を学びたいのか、
どんな仕事をするのか、
どのような人と出会うのか、
自分が生まれる前に描いた人生がその通りに進んでいるのかを見てもらう。


たとえ事前に描いたシナリオがあっても、
人間の「自由意思」で人生はいかようにも変わるから。


意外と、「予定通りです」と答える人が多いんだって。


沢山の人が人生で様々なことに悩み、苦しんでいるにも関わらず、「予定通り」と・・・・。 



「つまり、人生のハードルは(あらかじめ)自分で作ってきてる、ってことだよね?」 



「だから、超えられないハードルはないんじゃないかな」と、ママは言った。


そして、
「もっと面白いのは、セッションでパラレルワールドをやったとき」だと言った。


パラレルワールド?

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第4章(5)~パラレルワールド

うん。
 
人間てさ、
「もし、あの時、こうしてたらなあ」とか、
「もし、こういう家に生まれてたら、もっと違う人生を歩めただろうにな」とか、 
「私に才能があったらなあ」
とか、思うことあるでしょ?


「その思い通りの人生をセッションで”仮に”やってみるの」


そんなこと、出来るの?


「うん。潜在意識下では何だってできるんだよ」


そして、ミミさんとセッションをやったときのことを話してくれた。


ミミさんは音楽や踊りが大好きだったんだって。
だからそれを最大限に取り入れた人生をイメージでしてもらった。


小さい時からバレエを習い、バイオリンを習い、
学校は常に自分の希望するところへ進学し、
バイオリンでは数々のコンコールで優勝。
音大を出て、外国へ留学し、世界中に注目されるバイオリニストとして活躍。
優しくて素敵な男性と結婚し、子供にも恵まれる。
もちろん、何一つ苦労も悩みもない。
つらいことなど一度も起きない。
常に幸せだけの人生。


ミミさんがやりたかったこと、憧れていたことがすべて叶った人生を、現在のミミさんの年齢まで展開してもらった。 


そして、最後にこう聞いた。
「今、見てきた人生と、実際のあなたの(現在までの)人生を
比べてどうですか?」


でも、ママ、自分の望むことがぜ~んぶ叶う人生だったら、
そっちの方がいいに決まってるんじゃないの?


「ミミさんはね・・・・・」


ママはその時のことを回想するかのように、ゆっくりとした口調で言った。
「今の人生の方がいいです、って答えたの!」


そのときペアで練習していた他の人達も、一様に同じ答えだったんだって。


へえ? なんでかな?


「何ひとつハードルのない望み通りの人生だと、”達成感”がないんだって!」
人生における充実感が全く味わえないらしい。


そうなんだ・・・・・。


「いろんな苦労があっても、今までの(実際の)人生の方がいい」ってミミさんも他の人も言ってたよ」 



「もし、人生が苦しくて苦しくて、”何で私が・・・”と八方塞がりの人がパラレルワールドを体験してみたら、少し何かが違ってくるかも知れないね」 
とママは言った。


「誰かから、何も悩みのない人生もつまらないよ、って言われたら
苦しみの真っ只中にいる人は到底納得できないと思う。
でもヒプノの場合は、自分で見て、自分で何かを感じることができる」


「そこがすごいと思うの」


 第5章~幼児期退行


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