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聖なる樹のヒプノセラピー物語      

第5章(3)~感情の解放ー2

最初、ママは両方の足先がつったのかと思ったんだって。

あれ? どうしたんだろう? 足がしびれてきた、って。

突然、足先がぐ~っとしびれてきたと思ったら、
そのしびれは徐々にふくらはぎから膝へ、太ももへとあがってきた。

足がつった時のような痛みはなく、
強いて言うなら、足先からだんだん金縛りにあっていっているような感覚。

そして、さらに、お腹、胸、首までしびれてきた。

とうとう首から下は硬直状態になって、全く身動きできなくなった。

「先生を呼んで!」と、動揺したママは言った。

セラピスト役の人は、もちろんママがそんな状態になっているとは気づいていない。

先生がすぐに来た。
「どうしました?」

「首から下が硬直して動けないんです」
ママはさっき見た蛇の場面を説明した。
その場面が妙に頭から離れなかったから。

先生は、
「大丈夫ですよ。」と優しく言ってから、
「今、どうしたいですか?」と聞いてくれた。

「泣きたいです」
ママは自分でも思いがけない言葉が出た。

そして、涙がポロポロとこぼれ落ちた。
同時に、自然とこんな言葉が口をついて出た。
「ごめんね、ごめんね、こんなこと、したくなかったの」

そう、蛇に謝っていた。

「ああ、そっち・・・」と先生がつぶやいた。

先生は私の説明を聞いて、
「きっと、蛇を捨てに行くのが恐かったのだろう」
と思っていたらしい。

涙が出るのと同時に、硬直はす~っと解けていった。
まるで何事もなかったかのように、一瞬にして解けた。

ママは呆然としていた。

これは一体、何が起きたの?

先生は、「その(子供の)時、硬直するほど恐かったんでしょうね」と言った。

ああ、そうだ、きっと蛇を火の中に捨てる時、
恐怖でいっぱいだったんだ。
だって、蛇はママにとって神聖な生き物だったんだもの。
だから、思わず「ごめんね」って言ったんだ。
棒からするりと落ちそうなのも恐かったけど、
ママの心が硬直するほど恐かったのはこのことだったんだ。

そして、その「恐怖」の下にあった感情は「悲しみ」。

その「悲しみ」はママの心の中にずっと閉じ込められたままだったんだ。

「ごめんね」と言葉に出すことと、
涙で当時の悲しみを表現することで、
ママはようやくその感情を解放できた。

何らかの事実が起きた時、その事実に伴った「恐怖」「悲しみ」「怒り」などの感情が 、このように人の心の中に残っていることがある。
 

それはつまり、瞬間冷凍されて心の中に保存されているようなもの。
だけど、もう要らなくなった古い感情だ。


この「感情」を解凍して、解放することはとても大きな意味を持っている。
トラウマが解消されることもあるし、
自分自身が前向きになれることもあるし、
いろんな執着を手離せることもあるし・・・。

これこそがヒプノセラピーの醍醐味のひとつといえるかもしれない。

「だって、過去世や、(現世の)子供時代からのフリーズされた感情って、今の自分にすっごく影響を及ぼしているんだよ」


そうなの?

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