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聖なる樹のヒプノセラピー物語      

第13章~高次の存在(6)

「この子、死んでる!石みたいに固くて、全身が灰色になってる!」

そして、 「早く生き返らせなきゃ! 」と言った。
「早く魂を吹き込まないと!」

ママはどうしたらいいのかわからなかった。

T.Iさんは 「早く!早くしないと!」と叫ぶように言った。

その声を聞いた途端、ママはパッと閃いた。

もはや一刻の猶予もなさそうだった。
その閃きに賭けるしかない。

ヒプノセラピーにはマニュアルがない。
ひとりひとりに起きることが違うし、
セラピストはその時々の自分の直感と閃きを信じるしかないのだ。

「あなたの一番落ち着ける場所はどこですか?」とママは聞いた。

即座に「押入れの中」という答えが返ってきた。

それではその押入れの中に入ってください、とママは言いながらまた胸がチクンと痛んだ。

小さな子供が、一番落ち着くのは押入れの中だというのだ。
その心中は察するに余りある。

ママは押入れを光の空間に変えた。

それから、T.Iさんにその子をしっかり抱きしめてもらい、 天と繋がって愛と光を一杯に受けるよう、言葉で誘導した。

愛と光が天から降り注ぎ、T.Iさんの体を通して子供の小さなハートに流れ込む。

そんな誘導を続けながら、ママも一心不乱にその場面をイメージし続けた。

しばらくすると、T.Iさんが、
「あ、手が肌色になった!」と言った。

子供の体が灰色から肌色に変わり、 頬に赤味がさしてきたと・・・。

ママはほっとした。

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