
そして、 「早く生き返らせなきゃ! 」と言った。
「早く魂を吹き込まないと!」
ママはどうしたらいいのかわからなかった。
T.Iさんは 「早く!早くしないと!」と叫ぶように言った。
その声を聞いた途端、ママはパッと閃いた。
もはや一刻の猶予もなさそうだった。
その閃きに賭けるしかない。
ヒプノセラピーにはマニュアルがない。
ひとりひとりに起きることが違うし、
セラピストはその時々の自分の直感と閃きを信じるしかないのだ。
「あなたの一番落ち着ける場所はどこですか?」とママは聞いた。
即座に「押入れの中」という答えが返ってきた。
それではその押入れの中に入ってください、とママは言いながらまた胸がチクンと痛んだ。
小さな子供が、一番落ち着くのは押入れの中だというのだ。
その心中は察するに余りある。
ママは押入れを光の空間に変えた。
それから、T.Iさんにその子をしっかり抱きしめてもらい、 天と繋がって愛と光を一杯に受けるよう、言葉で誘導した。
愛と光が天から降り注ぎ、T.Iさんの体を通して子供の小さなハートに流れ込む。
そんな誘導を続けながら、ママも一心不乱にその場面をイメージし続けた。
しばらくすると、T.Iさんが、
「あ、手が肌色になった!」と言った。
子供の体が灰色から肌色に変わり、 頬に赤味がさしてきたと・・・。
ママはほっとした。
「この子、死んでる!石みたいに固くて、全身が灰色になってる!」

