
展望台から戦場跡を見下ろしていたTさんが帰ろうと思って
振り向いたとき、「石田三成陣跡」の碑と林が目に入った。
石田三成率いる西軍の武将と思われる人が、「ありがとう」と
深々と頭を下げているのを感じた。
その言葉には嘘偽りなく心の底からの感謝を感じるけど、
何だか言葉の周りにグレーの霧がかかっているような・・・。
Tさんが、「無念ですか?」と聞くと、
「無念だ」との返事が・・・。
Tさんは一生懸命光を送るが、霧はなかなか晴れない・・・。
霧のパワーが強くて、このままでは光が消えてしまいそう、
と思った矢先、
その霧の中からかわいい双葉が顔を出した。
そして、双葉の中にポッ!と光が生まれ、外に向けて放射し
始めた。
霧の中では双葉から光が、
霧に向けてはTさんが、光を送り続けていると、
霧がだんだんと薄くなっていって、やがて消滅した。
光に帰って行ったのだろう。
ようやく。
すべてが終わった。
早朝の「石田三成陣跡」にひとり佇むTさんの両肩は、
まるで「空席」を表すかのように、ぽっかりと空いていた。
振り向いたとき、「石田三成陣跡」の碑と林が目に入った。

石田三成率いる西軍の武将と思われる人が、「ありがとう」と
深々と頭を下げているのを感じた。
その言葉には嘘偽りなく心の底からの感謝を感じるけど、
何だか言葉の周りにグレーの霧がかかっているような・・・。
Tさんが、「無念ですか?」と聞くと、
「無念だ」との返事が・・・。
Tさんは一生懸命光を送るが、霧はなかなか晴れない・・・。
霧のパワーが強くて、このままでは光が消えてしまいそう、
と思った矢先、
その霧の中からかわいい双葉が顔を出した。

そして、双葉の中にポッ!と光が生まれ、外に向けて放射し
始めた。
霧の中では双葉から光が、
霧に向けてはTさんが、光を送り続けていると、
霧がだんだんと薄くなっていって、やがて消滅した。
光に帰って行ったのだろう。
ようやく。
すべてが終わった。
早朝の「石田三成陣跡」にひとり佇むTさんの両肩は、
まるで「空席」を表すかのように、ぽっかりと空いていた。

