聖なる樹のヒプノセラピー物語      

第21章~時空を超えた再会(17)

「だけどね、エフちゃん・・・・・」

ママはちょっとためらいがちに言った。

「あのね、ときどきね、
なんだか、ママじゃない人がしゃべってるみたいな気がするの」

ん? どういうこと?

「普通はさ、頭で考えてから話すでしょ?
でも、口が勝手に話してるときがあるの。
頭で考える前に、言葉が先に一人歩きしているような感じ」
と、ママは言った。

その現象は、奇しくも、みんながママの話を真剣に聞いてくれるよう
になった頃から起き始めたんだって。

咄嗟に言葉が口を突いて出る、というのとも違う。
自分の意志とは無関係に、勝手に口がしゃべっている。
そして、みんながママの話を一生懸命聞いてくれるのは、たいてい
そういうときなのだという。

ママはそのとき、どうしてるの?

「”え?なに、これ? 私、何言ってるの?” って驚きながら、
自分も一緒に聞いてるの」

それはヒプノの最中にも起きていた。

次はどんな風に誘導しようかなと考える前に、言葉が出ているとき
がある。

「そういえば、以前、ノリちゃんが言ってたんだけど、自分が頭で考
えて言ったことは後になっても覚えてるけど、そうじゃないときのは
記憶に残らないって」

それ、どういう意味なんだろう?

「うん。ノリちゃんって、いつも的確なアドバイスをくれるのね。
で、後々になって、あの時、こういう風に言ってくれたよね、って言う
と、”え~、そうだっけ?覚えてない”って言うの。
直感でしゃべったことは覚えてないんだって」

そういえば、ミミさんも同じようなこと、言ってたな・・・。

「何かを質問すると、とても説得力のある答えを即座に返してくれる
のね。考えたり、迷ったりすることもなく、いつも、ポン!と答えてく
れる。で、ママが、そっかあ!って納得して、メモをとるから、もう
一度言って、って言うと、もう同じことを言えないの」

へえ・・・・・・。

ママに起きているのも、似たような現象なのかなあ・・・・。

ヒプノの教室に通い始めた時、先生が、
「ヒプノをやると、みんな、どんどん変わっていく」と言っていたけど、
ママも、何十回とセッションを受けるうちに、自分では気づかないけ
ど、少しずつ変わってきたのかもしれない。

過去から引きずっているたくさんの感情を解放し、自分の潜在意識
と繋がり、人生の意味を知ることで物事に対する意識が変わる。

意識が変わると、変化が起き始める。

変化は目に見えないものもあるし、こんな風に、明らかに「何か」が
違ってくることもある。

そして、ママとヒプノの勉強を始めたTさんにも、例外なく変化の兆し
は訪れることとなった。

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