聖なる樹のヒプノセラピー物語      

第21章~時空を超えた再会(18)

ママは教えることが大好きである。
ヒプノのセッションをやるのも好きだけど、教えるのも楽しくて仕方が
ない。

でも、Tさんとの勉強はある意味、「試練」だった。(笑)

理由は二つ。

ひとつは、Tさんがセッションをやっても、あまり見えないこと。
もうひとつは、「人が苦手」ということ。

おそらくどこの教室も、教える内容と言えば、
催眠についての説明、誘導のやり方、
そして、セッションのデモなどをやるのだと思う。
その後に、生徒同士で練習をする、という流れかな?

(ママが習った最初の教室では、デモはなかった。
説明の後は、すぐに生徒同士で練習をしていた。
だから、ママは残念ながら、先生のセッションを一度も見たことが
ないんだって)

ママとTさんはマンツーマンレッスンだったから、Tさんは毎回、ママ
にセッションを受けることになる。

誘導文に沿ったセッションを受けて、
「こんな風に見えるんだな」とか、
「こんな風に進めていくんだな」とかを体験してもらうわけだけど、
なにしろ、Tさんの場合は何をやっても、見えない。

何が見えますか?と聞いても、「何も」「まっくらです」
今、どんな気持ち?と聞いても、「別に」。

幼児期退行では、幼児期を体験してもらい、
胎児期退行では胎児になってお母さんのお腹の中を体験してもら
わなければならないのに、一体、どうすればいいんだろう?

まさに、前途多難だ・・・。

とりあえず、初回は催眠療法の歴史や、潜在意識についての説明、
そしてセッションはリラクゼーションを受けてもらったので、
「何かを見る」必要はなかったんだけど・・・・。

でも、ママが見本を見せた後に、「じゃあ、今度はTさん!」って
言うと、彼女は困ったような顔をして、
「あの・・・・、家で練習してきます」と言った。

人前で誘導文を読むのはできないって・・・。
小学校のころ、国語の時間に指されて教科書を読むのも、本当に
嫌で嫌でたまらなかったのだという。

ママは困った。
実技指導ができない~、どうしよう・・・。
それと同時に、不思議に思った。
こんなに見えないし、練習も恥ずかしいっていうのに、なんでヒプノ
を勉強したいと思ったんだろう???

その理由はわかったの?

「あのね、エフちゃん、勉強は全部で10回やったんだけどね、最終
回に感動的な結末を迎えるんだよ~」
って、ママはちょっぴりうるうるしながら言った。

そして、いつものように、こう付け加えた。
「人生って、本当に面白くできてるんだ」

PageTop