聖なる樹のヒプノセラピー物語      

ヒッピーになりそこねた(40)

クラスにはブラジル人の男の子もいた。


あるとき、彼が、

「僕が住んでるオスタルはすごくいいよ、

ちょうど一部屋、空いてるよ」と話しかけてきた。


それで、ママはそこへ移ったのだ。



ママ: そのときはね、

  最初に住んでいたホームステイ先を出て、

  別の所にいたの。

  おばあちゃんが一人で暮らしていて、

  空いている2部屋を貸してたの。


  1部屋にはおじさんが住んでいたみたいだけど

  朝早く仕事に行って、

  夜遅く帰ってきていたから

  ほとんど顔を見たことがなかったし、

  私が行ってまもなく、おばあちゃんとケンカして

  出て行った。



このころ、ママはまだ

全くといっていいほど言葉ができなかったけど、

おばあちゃんはママのことをまるで孫娘のように

かわいがってくれた。



ママ: 市場へお買い物へ行くときも

  一緒に行こう、って。


  初めて「チリモジャ」っていう果物を食べて、 
  
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  あまりの美味しさに驚いて・・・・。

  果肉が濃厚なヨーグルトみたいな感じで、

  梨のような甘ったるさで。

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  こんな美味しい果物、食べたことない!!

  「美味しい、美味しい!」って言ったら、

  次からも買ってくれて。


  ほかの果物よりも値段が高かったんだけど。

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ヒッピーになりそこねた(39)

ママ: 中国人のクラスメイトのお店を訪ねたときは

  それはもうすごい歓迎ぶりで・・・。


  そもそもbar(バー)も併設された高級レストラン

  だったんだけど、

  豪華な中国料理が次から次へと運ばれてきて。


  食べるのは二人しかいないし、

  「もう無理」って言っても、どんどん出てくる。

  最後はついにギブアップ。笑


  ディスコにまで繰り出してね・・・・


  あのころは

  人種の違いとかあまり気にしなかったなあ・・・


  でも、国民性の違いを感じることはあった。


  そこの学校で遠足みたいなのがあって、

  バスで観光地を巡ったのね。


  白雪姫の舞台になったお城へ行ったとき、

  お城の上におびただしい数のカラスがいて。


  それを見た瞬間、デンマーク人の子が、

  「わあ!かわいい!」って興奮して・・・。


  (えっ?不気味、じゃなくて、かわいい?)


  おどろいた~! 笑


  「いつかデンマークへ遊びに来てね、

  日本人は珍しいからきっと家族も友人たちも

  驚くと思う」って言ってくれたけど、


  お互いに言葉もあまり話せなかったから

  学校が終わったらそれっきりになっちゃったけど。


  3ヶ月ぐらいは通ったのかな・・・

  う~ん、思い出せない。



私: でも、ママ、30年以上経ってから

  デンマークを訪ねる とになるんだから

  不思議だよね。


ママ: ほんとだね。

  いまや、現地では日本人は珍しくないけどね。笑

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ヒッピーになりそこねた(38)


さて、もう30年も前の話で

おまけに日記もメモも何もつけていなかったから

ママのおぼろげな記憶なんだけど、


おそらくそのスクールのあと、

また別の語学学校へ通ったはずだという。


どこでその学校の情報を手に入れたのかも

全く覚えていないって。



ママ: そこも少人数で

  すごく丁寧に教えてくれた。

  前のところとの違いは、

  いろんな国の人が来ていたところ。


ママと同い年の中国人の女の子もいた。

まだ25歳なのに、結婚していて、

おまけに子供もふたりいた。


ママ: 郊外でご夫婦でレストランを経営していて、

  お店が忙しいと学校を休むことがあったの。


  で、次の授業のときにノートを見せてあげると、

  ふんふんとうなづいて理解している様子なので

  「日本語なのにわかるの?」って聞いたら

  漢字を指差して、「わかる」って。


  「雷」とか「雨」とか、

  漢字だけを拾って読んでたみたいで・・・・。笑



驚いたけど、

そんなこともあってすごく仲良しになった。



ぜひお店に遊びに来てと言われ、

デンマーク人のクラスメイトと一緒に一度だけ

訪ねたことがある。


ママ: デンマーク人の女の子も20代前半で、

  その子はスペイン人の家庭にホームステイして

  いたの。

  無料で住ませてもらいながら

  現地の学校へ通って。


  その代わりに、

  ホストファミリー宅のベビーシッターや家事手伝いを

  やって、お小遣いももらえるっていうシステムだった

  みたい。


  ヨーロッパの若い子達は

  そういったシステムを利用しながら

  春休みや夏休み、冬休みを使って

  世界の国々で生活し、

  国際交流を深める経験を積んだりしてた。

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ヒッピーになりそこねた(37)

子供は親の話す「音」を耳で聞き、

それと同じ「音」を出すことで言葉を覚えていくのだと

痛感したんだって。


ママ: だから、

  生まれてから一度も「聞いたことのない音」は

  どうやって出せばいいのかがわからない。


  英語の「R」と「L」もそうだよね?


  「RA」と「LA」と、日本語の「ラ」の音の違いは、

  舌の位置なんだけど、

  エフちゃん、ちょっと、「ラ」って言ってみて?



私: ラ・・・


ママ: 舌の先が口内の上部に触れてるでしょう?


私: うん


ママ: 「LA」の場合は、

    舌先をその場所よりもう少し前に触れるの。


  「RA」は、どこにも触れない。


  でも、

  「ラ・リ・ル・レ・ロ」って言ってみればわかるけど、

  舌先は必ず口内に触れてるでしょう?


私: ラ、リ、ル、レ、ロ・・・・・。ほんとだ。


発音


ママ: 日本語には

  「RA」や「LA」が存在していないから、

  その音を出すような舌の動きを知らないんだよね。


  同様に、彼らも上下の唇を軽く触れ合わせて

  「プ」という音なんて

  生まれてから一度も出したことがないわけで・・・。

  

それに、子供のときは聴力がいいから

どんな音を聞いても真似ができるけれど、


20代から聴力は低下するといわれている。

そうなると、「音」を正しく聞き取ることができにくくなる。



ママ: ってことは、正しく発音することもできにくくなる

  ってことだよね?

  だから、小さいときに外国語に触れると

  ネイティブなみの発音ができるけど、

  大人になってから学んだ場合は

  そこまでうまくできない。

  絶対音感がある人は別だけど。


このときの体験が、

帰国後、英会話スクールに就職したママには

すごく役に立つことになる。


ママ: なにしろ、

  外国語を本当に一から学んだわけだから。笑

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ヒッピーになりそこねた(36)

それこは駅前にある古い建物の一室だった。

生徒は10人ぐらいでこじんまりとしていた。


ママ: 来ている人たちは全員アラブ人だったの。

  しかも男性ばかり。

  
  この教室での授業はとても良かった。

  少人数でわかりやすくて、丁寧だったし、

  女性の先生も優しかったから。



アラブ人の男の子たちも

スペイン語を「一から学ぶ」レベルだったので、

ママは気後れすることなく、楽しく学べたのだそう。


ママ: 面白いことがいっぱいあったの。

  たとえば、発音。

  ほら、日本人って英語の「R」と「L」の

  発音が難しいでしょう?

  彼らは難なくできるわけ。

  で、私が苦労しているのを見て笑う。


  ところがね・・・

  彼らは、


  「パ・ピ・プ・ペ・ポ」の音を出せないの。


私: え~?なんで?


ママ: 「パ・ピ・プ・ペ・ポ」の音って、

  考えてみれば、

  上唇と下唇を軽く触れ合わせて出しているでしょう?

  エフちゃん、ちょっとやってみて?


私: パ・・・ピ・・・プ・・・・

  ほんとだ!


ママ: ね?

  でも、彼らは母国語にそういう音を持ってないの。

  だから、出し方がわからない。


  懸命に両唇を軽く触れ合わせて

  「パ・ピ・プ・ペ・ポ」って言おうとするんだけど、

  どうしても、


  「バ・ビ・ブ・ベ・ボ」になっちゃう。



  スペイン語で「ドア」のことは

  「puerta(プエルタ)」って言うんだけど、

  何度やっても、「ブ、ブ、エルタ・・・・」って。笑


  顔を真っ赤にして、

  「ブ、ブ・・・」って言ってる様がおかしくて。



ママはこれが目から鱗だったんだって。

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